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金が先だ

深夜に城兵から起こされて、まだ眠そうなブルー王が玉座の間の後方の扉を開き、入ってくるなり、驚愕の表情をする。

「アリサ王女ではないですか!なんてお姿だ!」

駆け寄ってきた王とにゃにゃーん大王の間にサッとへこみちとポエミーが立ちふさがると

「金が先だ」

「お金が先よ」

と言い放ち、ブルー王はきょとんとした表情をしたあとに

「あ、ああ、後で話し合おう。それよりも王女の縄を解いてくれ」

へこみちとポエミーは同時に首を横に振ると

「金が先だし、こいつはにゃにゃーん大王だ」

「そうよ。モンスターのボスのにゃにゃーん大王なのよ」

にゃにゃーん大王は泣きそうな表情で

「ブルー王……お二人にお金を……」

ブルー王は咳込みながら頷いた。


硬貨が詰まった布袋をジャラジャラさせながらへこみちとポエミーが

「五万か……少ないな」

「あと九十五万ヴィラ足りないわ」

不満げな二人にブルー王は

「世界に魔物が満ちていて、交易や農業での収益が減っているのだ。それで精一杯だ」

へこみちは仕方なさそうに縄を解いてにゃにゃーん大王をブルー王に渡した。安心したのかにゃにゃーん大王は、ブルー王の腕の中で気を失った。

「誰か!アリサ王女を介抱せよ!」

すぐに兵士やメイドたちが駆け寄ってきてにゃにゃーん大王は玉座の間から連れ出される。

「このはした金で馬車でも買うか」

「そうね。どうせはした金だし、自分たちへの投資にパーッと使いましょう」

失礼なことを言いつつ、早くも背中を向けて出ていこうとしている二人をブルー王は慌てて

「待つのだっ!今夜は城に泊まっていってくれ!」

と引き留めた。


翌朝、王と二人は王城の食堂で朝食を囲んでいた。

「……そうか、二人でモンスターの洞窟内のゴブリンを全滅させたのだな。森の延焼状況も含め、今日兵士たちに調査させよう」

へこみちはつまらなそうに

「俺はポエミーと魔王を倒しに行きたいんだ。洞窟のボスは引き渡したし、俺に人生の目標をくれたブルー王への恩は返したぞ」

ブルー王は不思議そうな表情をしたあとにやつれた顔で笑い

「1年も何をしているのかと思っていたが、意外と義理堅かったのだな。ポエミーさんは昨夜はどうだったかね?」

ポエミーは皮肉っぽく笑いながら

「彼、来なかったわ」

へこみちをジッと見つめる。彼は真顔で

「なんの話だ?夜は寝るものだろう?」

「紳士ね。そんなところも好きなんだけど」

ブルー王は、楽しげに

「お二人は知り合ってもう半年とかかね?息がピッタリのようだが」

へこみちとポエミーが同時に

「半日だ」「半日よ」

と返して、飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。

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