天使
2代目へこみちに背負われている少女は意識を取り戻したようで
「ふむ……ここは魔王軍第5師団が攻めているブルーモリ王国じゃな、クママーンたちの横を通り過ぎて奥へと進むが良い」
へこみちは黙って言われた通りにする。巨大熊たちは雑談に夢中で、もうこちらを気にしていない。
薄暗い神殿の中を進んでいくと、大きな祭壇のような広い部屋へとたどり着いた。背負われている少女が
「ジャスティス教の祭壇じゃ。人間たちの中でジャスティスという姓や名を持つものはもはや滅びたが……もし、その親戚でも……」
「あー!」
「えー!」
へこみちとよしこが同時に声を上げて少女はビクッとなる。
「ジャスティスたからざきさん!」
「俺、親戚だよ!」
少女は慌てた顔で背中から降りると
「てっ、天使を召喚できるぞ……ピョミミーンはどこへ行ったか知らんが、竜に加えて天使も仲間にできるのなら、もはや我々が魔王軍と名乗れるが……」
よしこは期待に満ちた瞳で
「召喚ってどうやったらいいの!?」
「あ、ああ……祭壇の前に立ち、わしの言葉を復唱するが良い」
「うん!」
少女は祭壇の前に行くと思い出した顔で
「生贄が必要じゃが……」
へこみちをチラチラ見てくる。
「えっ……私はしませんよ!」
少女は落ち着いた表情で
「安心せよ。服を全て脱ぎ、祭壇にうつぶせに寝ていれば良いのじゃ。天使が降りてくる目印的なものじゃ」
へこみちはよしこから期待の視線を受けて
「さ、寒いから早く済ませてくださいね」
人の良さがつい出てしまった。
祭壇の上に自らが脱いだ服を敷き詰めて、一糸まとわぬへこみちはうつぶせに寝転ぶ。尻の根元から伸びてウネウネしている猫尻尾も寒そうだ。少女はその祭壇の手前で手を組み合わせて、よしこが同じ格好をしたのを確認すると、目を閉じ
「ライイング オン ストマック」
よしこも復唱する。
「シャイ」
「キャットイヤー」
「キャットテール」
「コンプリトリイ ヌード ガール」
「ゴールド ヘアー」
「ロング ヘアー」
「ブルーアイズ」
「テンプル」
全てよしこが復唱し終えると、少女は大きく息を吸って
「ゴッドプリーズ、プリーズヘルプミー、ゴッド、オーマイゴッド!」
よしこも復唱する。
「フー イズ ザ サクリファイス?イッツ イズ キャットガール!レリゴー!ゴッド!ゴッドカモーン!」
よしこも大声で復唱すると、祭壇の上に光が射してきた。
光は次第に2枚の白い翼を持った小柄な人の形となり、そしてうつぶせになっているへこみちの尻の上にムニュッっと座って着地した。
「ふー。ようやく蘇ったのよ。長い道のりだったのよ」
その聞き覚えのある声をへこみちとよしこは聞いて驚く。
「ポエミーさん!?」
「えっ!ピョミミーンに食べられたんじゃ!?」
翼を持った全裸のポエミーはニッコリと微笑むと
「細かいことは良いのよ」
と言った。




