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勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 中二


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やれんのか

瞬く間にへこみちたちの小舟の眼前には、巨大なピンクのウサギの顔が広がった。

啞然としてピンクのウサギを二人が見上げていると、ウサギはその口から

「ペッ」

と少女を吐き出して小舟に乗せる。少女はケガもなくスースーとよく寝ているようだ。そしてピンクのウサギは、かわいらしい顔に見合わない野太い声で

「やれんのか?」

と問いかけてきた。へこみちたちが固まっていると

「わかってんのか?ここはリングなんだよ。リングに上がったものはやるか、やらないか!それしかないんだよ!お前はやれんのか?」

「いやちょっと意味が……」

ウサギは上半身まで湖の上にせり出してきて右腕の力こぶを見せながら

「力とはパワーなんだよ!パワーとはつまりワールドだ!リングはパワーってまだわかんねえのか?パワーこそ資本だ、俺はお前にやれんのかって聞いてんだよ」

よしこが思い切って前に出て

「やれます!やってやります!」

ピンクのウサギはニコッと笑うと

「そうだ!やるしかねえんだよ。お前も分かってきたじゃねえか。リングのパワーはワールドってことだよ。じゃあ行くとするか」

と言いながら何かをバリバリと咀嚼しだした。そしてゴクンと飲み込む。

へこみちが青い顔で

「ポエミーさん、ウサギさんに食べられちゃったんじゃ……」

「ポエミーさんなら死んでも死なないから大丈夫だよ!」

確信に満ちたよしこにへこみちは答えられずにいると、ウサギが巨大な腕でへこみちたちの小舟を持ち上げようとして、何かを思い出した表情でもとに戻すと

「いいか?ワールドに対してやれると言ったからにはやるんだぞ?パワーとはつまりリングなんだよ!ワールドとはリングだ。俺はもう一回その覚悟のほどを尋ねるぞ?そこの猫耳、お前もやれんのか?」

よしこはへこみちの背中を叩いて

「やれるって言って!」

「う、うん……」

へこみちは息を大きく吸い込むと

「やれます!やってやります!」

ピンクの巨大ウサギは不満げな表情で

「わかってんのか?俺はやれんのか?って聞いてるんだよ。リングとはつまり覚悟なんだよ!ワールドとはリングで上がったからにはやるか、やらないかしかないんだよ!パワーをやれるかどうか、やれないかどうか、そこが重要なのをお前はわかってんのか?」

よしこが思いついた顔でへこみちに

「おしりで答えて!」

「おっ、おしり……や、やってみる」

へこみちはウサギに背を向けると、ズボンを下げて半ケツになり、尻を突き出すと、ウサギの方を振り向いて

「やれます!やってやります!」

と力を込めた。その瞬間、へこみちの尻が真っ赤に光出し、荷物の中から魔王将の盾が浮き上がり、へこみちのズボンがストンッと落ちると尻の割れ目に盾が収まった。

巨大ウサギは満足そうに何度も頷くと

「よくわかってきたじゃねえか、俺が見たかったのはその覚悟だよ。お前たちはやる、そして俺もやる。それこそリングで生きるものたちにふさわしい。パワーこそワールドなんだよ」

小舟を持ち上げて、水しぶきを上げながら大瀑布へと進みだした。へこみちは下半身丸出しのまま、盾を尻に挟んで固まる。

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