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勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 丑二


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転職

「あ、あの尻格闘家は、ヒップからの威圧感を出し入れしたりは……」

考えた末にそう言ったへこみちにギルドマスターは思わず吹き出した顔をして

「出来るに決まってんだろ!で、なるのならないの!?」

勢いよく聞いてきた。へこみちはその勢いに押されるように

「なっ、なります!」

答えてしまった。


まずよしこがギルドマスターから、榊のような枝を頭にシャカシャカと左右に振られ当てられながら

「なんじ、エスパーになり申す……エスパーになりもっす……なり申すーエスパーのーおなーりーエスパーンエスパパーンパンパンパパーン!」

ふざけた呪文を唱えたギルドマスターが枝を頭から離すと、よしこの体中が鈍く白色に発光し始めた。

「お、俺、なんか違う……」

ギルドマスターはニヤリと笑ってよしこにメモを渡し

「簡単な魔法と念力を使えるようになったぞ。後で使ってみろ」

発光が消えたよしこが頷くと、ギルドマスターは次はへこみちの旅装のズボンをはいた尻に枝を当てると

「すまん、セクハラじゃないからな」

と断りつつ、枝を左右に振りつつ

「なんじ、尻を極める者なり、なんじ、まじ卍、今なんじ、想念、大腿念、今なんじ、千代と舞って射手、溜池の落ち月、溜池の餅月!はああああああああ!新たなる尻となれ!」

と言いながら枝で軽く浣腸をした。

「いや!セクハラでしょ!訴えますよ!」

へこみちが飛び跳ねてから飛び退くと、へこみちの尻から真っ赤なオーラが立ち上り始めた。

「……うわー……お尻が変わってしまった……」

ギルドマスターは吹き出しそうになるのを必死に後ろを向いて止めると、へこみちに向き直り

「あとは、尻のコントロールができるようになれば……ブハッ……」

爆笑し始める。へこみちは顔と、オーラが噴き出た尻を同時に真っ赤にして、よしこの手を取りギルドから足早に出た。


この国に長くいるとろくなことが起こらないという意見が二人の間で一致したので、路地裏に戻り、まだ気絶している少女を背負うと、街を早々にあとにすることにした。


二人が深夜のジャングルを北へと向かって歩いていると、たまたまポエミーの墓にたどり着いた。

「お参りしないと」

「そうだね。二度と来れないかもしれないし」

二人が、盛り上がった土の前にしゃがみ込み、手を合わせたり祈りをささげていると、いきなり盛り上がった土から骨だけの手が出てきて、へこみちとよしこはその場に尻餅をついてしまう。

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