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勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 中二


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弔い合戦

それから数日間、森に潜んだへこみちたち3人は魔王軍第七師団の巨大ゴーレムや金属製の人形のようなモンスターを破壊し続けた。


破壊自体は簡単だった。へこみちがモンスターの背後から忍び寄りその足元に、へこみちの尻に挟んだ盾を思いっきり当てるだけだった。盾を当てられたモンスターは轟音と共に崩れ落ち、その度にへこみちは

「あれ、なんか身体が軽い……」

「レベルアップしてるのよ」

「おお……強いモンスター倒したからか」

と言った調子で強くなっていった。


ポエミーの遺体の骨はよしこが枝を組み上げたソリを作って乗せ、木の実などと共に乗せ引きずっていった。

五日目の朝、へこみちとよしこが木の実を食べているとポエミーが

「そろそろ時間なのよ、人生の最後に大冒険できて楽しかったのよ」

と言うと木々の間から差し込む朝日に溶け込むように空へと昇っていった。

よしことへこみちは啞然とした表情でそれを眺めると

「うそ……ポエミーさん逝っちゃった……」

「うわーお墓作らないと!」

「グリグランまでお骨を持って……帰れないか……」

二人は太い枝で穴を掘り始める。


昼過ぎに土が盛られた簡素なお墓に遺体を埋葬し終えた二人は

「弔い合戦しないとね!」

「そうだね!初代へこみちさんの分もね」

魔王軍第七師団を根絶やしにしようと決めた。


3日後には、二人は第七師団の残ったゴーレムと鋼鉄人形たちを樹海から駆逐し尽くした。よしこがワープで囮になって、隘路に誘い込み、待ち構えたへこみちが一体ずつ物質系モンスターを倒していくという作戦が面白いようにうまくいき、二人ともレベルアップし続け、残すは本営のみということなった。


二人は久しぶりに街に戻る。へこみちも普通の服に着替え街をよしこと歩き、モンスターから奪った有り余る金で宿の部屋をとり、室内に入るとへこみちは、いきなり、気が抜けたようにストンッと座り込んでしまった。よしこはその背中をさすりながら

「……俺たち、二人だけになっちゃったね……」

「こっ……殺しても死ななそうな二人が……あっさり死んじゃった……」

うなだれる二人を窓の外から河童に転生した初代へこみちがシリアスな表情で見つめていた。



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