それ何の役に立つの
「お尻の筋肉を鍛えるにはスクワットなのよ」
「くっ……」
半透明なポエミーに見られながらへこみちは尻に小石を挟んで、スクワットを始めた。最初のうちは尻から小石が落ちていたが次第に落ちなくなり、少し大きめの石を挟むということを続けた結果、数日後には盾を挟むことができるようになっていた。
「二百二……二百三……くわっ……」
盾を尻から落としたへこみちをポエミーは腕を組んで眺めると
「次の段階に進むのよ」
「ちょっ……ちょっと待ってくださいよ。数日、水以外まともに飲んでませんよ?」
「……よし、木の実を取りに行くのよ」
「ん、もう持ってきたよ」
「よしこちゃん!?生きてたの!?」
布袋を被ったよしこが、自分の着たそれの中から木の実を山ほど出してへこみちに渡してくる。
3人は座って語り合い始めた。
「ワープしたら余裕で魔物から逃げれた。それからポエミーさんを追ってここまで来たけど、何か透けてるし、お姉ちゃんは尻に石挟んで変なことしてたから様子見てた」
へこみちは真っ赤になりながら木の実をかじってから
「う、うん……正しいよ。おかしくなったと思うよね」
ポエミーは真顔で
「みんな揃ったからには私の遺体を探して欲しいのよ。お墓作りたいのよ」
「あの……ヴァヴァンチーちゃんは……」
「魔物に連行されていったの見たよ」
「所詮は魔物なのよ。数に入れてないのよ」
「そ、そうですか……短い付き合いだったなあ……」
へこみちは戸惑いながらそう言った。
「で、できた!できた!」
食べ終わったあとに盾を尻に挟んだへこみちは、落とすことなく歩いたりジャンプしたりと急にできるようになった。
「天才だったのね」
「それなんの役に立つの?」
よしこから真顔で尋ねられたへこみちは赤面しながら
「たっ……たぶん戦闘に……」
と目をそらしながら答えた。




