表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 丑二


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/71

鍛えましょう

「はーい、ここでワンッ!」

「ワッ、ワンッ!」

映りの悪いテレビがつけっ放しの部屋で、四つん這いになったヴァヴァンチーの背中に女子が乗り、グルグルと部屋の中を回っている。ヴァヴァンチーは顔を真っ赤にしながら

「こっ、これを外でずっと?」

「うん。ここではお友達、お外ではワンと鳴く間抜けな馬、動いていない時は足置き。お馬と足置きは服を着ないでしょ?」

「こ、ここでは着ても……」

恐る恐る尋ねたヴァヴァンチーに少女はニッコリ微笑んで

「だーめ。私、恥ずかしがったり、怯えて漏らしてるヴァンちゃんが尊くて愛おしいの。もう死ぬまで服と毛はありませーん」

「くっ……くうう……」

ヴァヴァンチーは、口から涎と鼻水、さらには少し涙を垂らし

「でっ、でも……命は助かった……」

「ふふっ、死ぬより恥ずかしいめにたーくさんあわせてあげるー無能な裏切り者には制裁をだー」

「あっ……やっ……そんな……魔王様あ……お慈悲を……」

少女は後ろ向きにまたがって、ヴァヴァンチーの股に手を伸ばし、いじり始めた。



その頃

洞窟では、輝く盾を手に取ったへこみちが

「し、尻に挟む……これを?」

未だ戸惑っていた。するといきなり目の前の湖から「ザバアアア!」と大げさに水しぶきをあげながら、カッパになった初代へこみちが現れた。

「それは魔王将の盾だ。尻に挟めば、自動で全ての攻撃を八割の確率で防いでくれる」

「なっ、何で知ってるんですか」

「ふっ、カッパの叡智だ」

初代へこみちはニヤリと笑うと、再び湖に消えた。2代目へこみちは意を決して尻に盾を挟む。そして両手を離すとすぐに盾の重みで落としてしまった。

「……無理ですよね……これ」

そう言ったへこみちのすぐ背後から

「諦めたらそこで修行終了なのよ」

というポエミーの声がして、へこみちが振り返ると、全身が半透明なポエミーが立っていた。

「あの、透けてますよ?」

「死んだのよ。逃げ切れずモンスターに囲まれてやられたのよ」

「……いやさらっと言いますけど、幽霊ってことですよね?」

「細かいことは良いのよ。これからはへこみちに取り憑いて存在し続けるのよ」

「ちょっと待ってくださいよ!」

近寄ってくる半透明のポエミーに湖に落ちる寸前までへこみちは追い詰められる。ポエミーは微笑んで

「さあ、お尻の筋肉を鍛えましょう」

と言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ