なわけないし
その依頼書にはこう書かれていた。
樹海西部のモンスター陣地に楽器を置き忘れて来てしまいました。
西側の樹海を攻めている部隊は私が見たところレベルが低いです。
報酬7000ヴィラ 依頼者 名もなき詩人
「これは、またシロカミだわ……」
首をかしげるギルドマスターにテウテウ市でのことを言うと、慌てて取り下げようと言ってきた。ポエミーはしばらく考えて
「受けるわ。何か手に入るかもしれない」
と言った。
ギルドから出て雑踏を歩きながらよしこが
「シロカミって実はよく知らないんだけど」
尋ねると、ヴァヴァンチーが
「無属性の神で、世界の間違いを正すジャッジのような存在だ。魔王様も気にかけられていた。我々というか、ポエミーたちは完全に目をつけられたようだな」
ポエミーが苦笑いしながら
「あなたもよ」
と言った。
四人は街で食料品の買い物を済ませると、馬車に戻ってきて、食事と馬の世話をし始めた。ポエミーが干し肉をかじりながらポツリと
「短い付き合いだったけど、愛していたわ」
と初代へこみちのことを呟いて、他3人もしんみりとなる。2代目へこみちが聞きにくそうに
「……お二人は肉体的繋がりが?」
「ないわ。あの人は清い身体のまま天使になったの……」
2代目へこみちは後ろを向いて小声で
「カッパになってるし、あのへこみちさんが清い身体のわけないし……言えない……とても言えない……」
無闇に苦悩し始めた。
結局四人は出発する気にならなかったようで、馬車の横でテントを張りそこで一晩過ごした。




