ドドーン祭り町
河原をガガガーンの背後に周り込むように一周すると、樹海へ伸びていく河に沿うように道が出現していた。
「少し前に来たときはなかったのに……」
へこみちは怪しみながらも道に馬車を走らせる。河を横目に樹海の中を道なりに三十分も疾走していくと、いきなり道が開けて、天に向かって伸びる十数本の大樹と、その幹や枝に寄生するように穴が掘られ、橋がかけられその中や先に住居が建ち並んでいた。そこを歩き回る筋骨隆々とした人々は、半裸やほぼ全裸である。大樹群の下にも藁葺き屋根の家々が延々と並んでいて無数の人々が歩き出会っている。
ヴァヴァンチーが慌ててロープを着てフードを被りながら
「間違いない……ババーンの首都、ドドーン祭り町だ」
御者のへこみちがうなだれながら
「どこも変なネーミングですけど、この国、油断したら人が死にますからね……」
と言いながら、近くの広場に馬車を停めた。
フンドシとサラシしか身につけていないへこみちが何か着ようと荷台に行くと、ポエミーが服を脱ぎながら
「郷に入れば郷に従え、なのよ」
と下着だけになった。よしこも脱ぎだしてヴァヴァンチーは申し訳なさそうに
「私は隠さないとダメだ」
へこみちはポエミーに
「脱がないと駄目ですか?私はこのまま?」
ポエミーは両目をキラリと光らせて
「もっといけるわ」
と逃げようとしたへこみちの腕をつかんだ。
5分後。
両乳房の先端と局部に白いペイントをして、自らの尻尾を股に巻きつけて前を隠したへこみちを先頭に、四人は進んでいく。
「うう……恥ずかしいけど、なじんでますねえ……」
ポエミーとよしこは下着姿で顔や腹、腿に呪術的なペイントをしている。そして三人に囲まれるようにフードで顔を隠したヴァヴァンチーが進む。道行く人たちは、女性でも堂々と半裸で身体中に入れ墨やペイントが描かれていたりするので、四人は全く目立ってはいない。
そのまま進んでいくと、冒険者ギルドらしき茅葺き屋根の建物があったので、四人が入ると、中は閑散としていて、カウンター奥の普通に洋服を着た男性のギルドマスターがへこみちを見て、一瞬吹き出した。
「くう……変態女だと思われた……」
全身を真っ赤にして顔を伏せるへこみちを横目にポエミーはカウンターにちかよると
「戦況はどうなの?」
ギルドマスターは何とも言えない表情で
「ここは平和だな。森は攻め込まれてる」
ポエミーは頷いて
「ボスの居場所はどこ?」
「……やめといた方がいいぞ。あんたらレベルが、35、37、14、22とかだろ。平均40は欲しいとこだ。あのロープの女、レアモンスターだろ?良いのか?」
少し離れているヴァヴァンチーをギルドマスターはチラッと見る。ポエミーは頷いて
「レベルあげできそうな依頼書はある?」
ギルドマスターは1枚の依頼書を渡してきた。




