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勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 中二


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27/71

私すげええええ

へこみちは侮っていた。岩の高さではな

い。自らの運動能力の高さをである。二十メートルの岩をロープ無しであっさり登りきった時、汗だくの彼女は初代へこみちが死んだ河を見おろして

「私すげええええ!!」

思わずガッツポーズをした。そして勇んで集落を見るために振り返り、そのまま全身をフリーズさせた。木造の家々の間の道には、白骨死体が山程転がっていた。

「……餓死したのね……」

へこみちはしばらくその場に座り込むと、立ち上がり、集落内を探索し始めた。


へこみちはすぐに、集落内が荒れていないことに気付く。白骨死体はそこら中に転がっているが、鍵の開いた家々室内はよく片付いている。

「生存者がいるのかな……」

その後もへこみちは集落内を探し続けたが、生存者は見つからず、とりあえず見つけたロープを巨石に垂らして帰ることにした。


河原かまた河に飛び込んで、当然のように溺れたへこみちを、これまた当然のようにカッパになった初代へこみちが水中で救って、対岸まで連れて行く。へこみちが河原で意識を取り戻したときは初代へこみちの姿はなかった。


へこみちがフラフラと河原のテントが立てられているところに戻ると、汗だくのポエミーや座り込んでいるよしこ、そしてロープを脱いで緑肌を晒し、汗を拭いているヴァヴァンチーが迎えてくれた。

「な、何かあったんですか……?」

と尋ねるへこみちにポエミーは

「襲撃があったのよ……何とか撃退したわ」

ヴァヴァンチーが皮肉めいた表情で

「道をつくりながらここまで来た上に、1週間も滞在したからな。しかも初代へこみちはいない」

よしこが吐きそうな表情で

「魔法撃ちすぎた……」

へこみちは慌てて

「とりあえず!テント片づけて馬車で離れますよ!」

と言った。

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