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勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 丑二


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24/71

詐欺に気をつけなさい

「奥義!一体集中攻撃斬り!」

そう叫んだへこみちが血塗られた棍棒を横に一閃すると回避の間に合わない石像とゴーレムが数体吹き飛んでいった。さらにへこみちは神の彫像たちが放った魔法の炎や雷を横ステップで軽く回避して

「ふっ。俺は全ての魔法が効かない完全属性耐性持ちだ!」

ととんでもないことを叫んで、真に受けたモンスターたちを少し後退させた。


ヴァヴァンチーが心底驚いた表情で

「そっ……そうなのか?」

ポエミーに尋ねると、彼女は小声で

「全部ウソなのよ。あなた、詐欺に気をつけなさい」

よしこがガラ空きになった前方を指さして

「まっすぐ走れば、陣地の外に抜けられるよ!」

と叫ぶとへこみちは荷台に飛び乗り、ニャンスコルが馬車を急発進させた。瞬く間にモンスターだらけの切り開かれた広場を抜け、馬車は獣道に突っ込んでいった。へこみちは御者席の後ろに立ち

「奥義!ソニックかまいたち!」

と叫ぶと、その場でジャンプして血塗られた棍棒を横になぎ払い、珍しく必殺技名そのままの激しい衝撃波を前方に放ち、獣道が瞬く間に走りやすい道に切り開かれていく。

「ああ……なんてかっこいいんだ……」

ヴァヴァンチーが恋する乙女の表情になっている横でポエミーが

「へこみち!追ってきているわ!」

後方から迫ってきている足が車輪になっているゴーレム達を指さす。へこみちは荷台の後ろまで駆け寄ると、両目を閉じて

「今こそ……これをやる機会だ……この大地の力、全て……俺に託してくれ……」

ヴァヴァンチーが期待に満ちた表情で

「ポエミー……へこみちは何をするんだ?」

ポエミーはニヤリと笑って

「ちょっと早いけど、いい機会ね」

よしこは黙って3人から離れると、自分が投げられそうもないことを悟ってホッとした顔をする。気をため続け、尋常でない雰囲気になったへこみちが

「はあっっっっ!超奥義!マイラブインラストナイッ」

と言うと、自らのポケットに入っていた汚れた白い布切れをポイッと後方に捨てた。警戒した車輪つきゴーレム立ちが一斉に停止して、瞬く間に馬車から離されていく。ヴァヴァンチーが拍子抜けした表情で

「な、何を、投げたんだ……?」

ポエミーに尋ねると、彼女は満面の笑みで

「ニャンスコルの◯◯のついた◯◯◯よ。昨日、私といーっぱい◯◯◯◯◯◯したから◯◯でびしょびしょよ」

へこみちはうんざりした表情で

「ポエミーがモンスターに投げろと言ったんだ。俺はポケットが汚れるから嫌だった」

ずっと真顔だったニャンスコルがこらえきれずに

「ちょっと!なんてもの投げたんですか!?セクハラでしょこんなの!?」

と叫びながら前方を見ながら手綱を握る。ポエミーは追撃を諦めて小さくなっていくモンスターたちを見ながら

「効果抜群ね」

と満足げに言った。


その後、またへこみち先頭で獣道を切り払いながら樹海を南に進み続けると、目の前にグルっと河に囲まれた、高さ二十メートル直径数キロメートルはありそうな、巨石の上にそびえ立つ木造集落が現れた。ヴァヴァンチーはその集落をみあげながら

「たぶん岩石町ガガガーンだ。ババーン第二の人口の町だな」

と言った。

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