超獣王国ババーンへ
その日は結局一日宿屋で休んだり、旅の準備に使い、その翌朝、へこみちたちはテウテウ市から南へと旅立った。
街のすぐ南は高い崖や山々があるので大きく迂回する旅路である。
御者をするニャンスコルは、言葉少なで何処か気恥ずかしそうな感じを漂わせている。他の仲間と荷台に乗り、風を浴びているポエミーがヴァヴァンチーに
「第七師団の弱点を教えて」
「……物質系なので、強烈な打撃に弱い」
へこみちが後ろを向いてニヤリとした。ヴァヴァンチーは、さらに苦悩した表情で
「融通が利かないんだ。やれと言われたことをやり遂げる力はあるが、その場その場での対応は苦手だ」
そして俯いて黙り込んだ。ポエミーはニコリと微笑んで
「もう十分よ。あなたからは聞かなかったことにするわ」
と言った。
時折襲撃してくるモンスターを追い払いながら、山道や丘陵、さらに集落のある盆地やその先の平原を南へと進んでいくと、視界いっぱいに広がる鬱蒼とした広大な樹海に突き当たった。
「道がないわね」
ポエミーがそういうとへこみちが荷台から飛び降りて
「道がなければ作ればいい、俺たちが通った跡が道だ」
ばどと何処かで聞いたようなセリフを言いながら、血塗られた棍棒で木々を薙ぎ払い、道を作り始めた。ヴァヴァンチーは頬を赤らめ
「へこみちは本当にかっこいいな……私の師団にあんな将軍がいたら、卑劣なブルー王になど負けなかったのに」
ポエミーはニヤーッとその背中を眺め、よしこはさらに後ろから二人の背中を見つめ
「大人の世界って複雑だなあ」
と欠伸をしてから、食料品の入った布袋からクッキーを取り出してかじりだした。
道を作るへこみちを先頭に、馬車が樹海を進み続けるといきなりモンスターたちの野営地らしき木々が切り開かれた場所に出た。瞬く間にへこみちと馬車は動いている巨大な石像たちや大小十数体のゴーレム、そして数体の神を象ったらしき彫像などに囲まれた。
ヴァヴァンチーはフードに顔を隠しながら
「クソッ……フェイクゴッドが居るぞ……」
「あの彫像たちは高レベルモンスターよね」
ポエミーは落ち着き払っている。
「そうだ。師団に参加しているとは……よほどてこずっているのか」
馬車外のへこみちは嬉しそうに血濡られた棍棒を両手持ちした。




