逮捕
「ふう……寝れなくなったなあ」
下着姿のにゃにゃーん大王が窓際で優雅に夕日を浴びながらお茶を飲んでいると、扉がけたたましくノックされて
「警察だ!にゃにゃーん大王はいるか!」
「ひいいいいいい!あっ、開けますうう!」
にゃにゃーん大王は頭にターバンを巻いて猫耳を隠し、さらに急いでワンピースを着ると扉を開けた。外には厳しい制服を着た男性2人組が立っていた。
そのまま、警察署までにゃにゃーん大王は馬車に乗せられ連れて行かれ、真っ最な顔をしたまま、小さな角テーブルを四脚のィスが囲む、殺風景な一室に入れられると
「ここで待つように」
と言われて警官たちは出ていった。
「うう……お二人が何かやらかして、私も逮捕なのかなあ……」
にゃにゃーん大王がうなだれていると、スーツ姿のへこみちと機嫌がよさそうなポエミーが並んで入ってきた。
「とっ、とうとう逮捕ですか!?」
思わず尋ねたにゃにゃーん大王に二人は顔を見合わせて
「そうね。にゃにゃーん大王はどんな刑に服したいの?」
「常に語尾に、にゃ。とつける刑とかどうだ?」
「うっ……うう、どんな刑もいやですう……執行猶予つけてくださああい」
泣き声をだしたにゃにゃーん大王にへこみちとポエミーは爆笑して
「ふっ。モンスターは考えることが浅いな」
「ふふ。これから私たちは表彰されるのよ」
「えっ……どういうことですか?」
へこみちとポエミーは意味ありげに目を合わせた。
半時間後。
「地下にさらってきた子どもたちを隠していたという、故モスモッスン市長の悪事を暴いたお二人には感謝をしてもしきれません」
筋骨隆々とした中年の警察署長や、法服を着た真面目そうな老年高官たちに囲まれて三人は感謝されていた。へこみちは誇らしげに
「やつは前から怪しいと思っていた」
「そうね。不法侵入のリスクはあるけどいい機会だと思って屋敷に突入してみてよかったわ」
警察署長は微笑みながら
「いやー皆、あなたたちのように正義の冒険者ばかりなら良いのですが」
と言いながら、四角いバッジを差し出してきて
「今、モッスン市は大変な時でして、この国内フリーパス通行証くらいしかお礼ができません」
へこみちとポエミーは爽やかに笑い
「十分だ」「十分よ」
と言って受け取る。にゃにゃーん大王はずっと二人の後ろで茫然とした顔をしていた。