探索
宿屋で一人寝ていたにゃにゃーん大王は悪夢にうなされていた。
「ぐっ……逮捕だけはやめてくださあいい……うぐぐ……訴訟もだめですうう」
シーツをつかんでしばらくベッドの上を左右に転げたあと、体と纏っている下着を汗だくにして彼女は起きた。ベッドから降り、しばらくお尻と金毛の長い尻尾を振って、その後自らの疲れで垂れている猫耳を触って、大きくため息を吐くと
「お二人とも大丈夫かなあ……犯罪を犯してないといいけど……」
ポツリと呟いた。
その頃、へこみちとポエミーは人けのない屋敷内を探索していた。書斎の本棚をポエミーは漁りながら
「金目のものはないわねえ。如何にも本読んでませんけど教養あるって見られたいですってラインナップだわ」
「ポエミー、俺にはわかる。この壁は隠し扉だ」
へこみちはいきなり白壁に血濡れた棍棒を振り下ろし大穴を開けたが、その先には小さな空洞があるだけだった。ポエミーはその穴の中に手を突っ込むと
「下からの空気の流れがあるわね……へこみち地下室に行くわよ。もしかしたら隠し部屋がさらに下にあるかも」
「おう、メイン軍師の財産ゲットだぜ!」
「その意気よ」
二人は地下室へ続く階段を降りていった。
地下室内は、雑多に掃除用具や古い家具が置かれていた。ポエミーはランタンに火を灯し、床を丹念に調べると
「入り口からこの壁の手前まで埃がないわ。へこみち、この壁を破壊して」
「任せろ!奥義!全力横スイング!」
へこみちはそう叫びながら両手持ちした棍棒から渾身の縦振りを壁に向けて打ち込んだ。
派手な破壊音とともに壁が壊れ、下に続く階段が出現した。二人はニヤリと顔を合わせて笑う。
さらに下へ降りていくと、ポエミーが鼻を摘んで
「あー……そういうことね」
「臭いな……まるで、風呂入ってないやつがたくさんいるような……」
二人は階段を降りきった先にあった牢屋を照らすと、その中には虚ろな目をして、ボロ布一枚や半裸の、十数人の少年少女がひざを抱えてうずくまっていた。