第六話 成長しました。
この世界に来て6年。当たり前だが俺は6歳になった。未だ森暮らしだが、さしたる問題はない。食料は果実や魔物の肉で生活できた。なんと俺が炭にしてしまったダイナボアの肉が大変美味しかったのだ。今となってはすっかり俺の好物だ。風呂には入れないが生活魔法 清浄で体はキレイにしていた。おかげで病気などにもかからずに過ごすことができた。そろそろ人間の街も見に行きたいが、6歳の腰巻きしかない少年が魔の森から来たってのは流石に怪しまれそうだという理由で行ってない。それと、まだ強さに不安があるっていうのが大きな理由だろう。今の俺のステータスはこうだ。
ステータス
【名前】レノ・ヒイラギ
【種族】人間族 【性別】男 【年齢】6歳
【レベル】30
【称号】世界を超えし者
【HP】500/500
【MP】5000/5000
【筋力】100
【体力】100
【知力】300
【魔力】1000
【幸運】45
【ユニークスキル】魔法創造・森羅万象
【スキル】生活魔法Lv4 回復魔法Lv4 火魔法Lv6 風魔法Lv5 水魔法Lv4 雷魔法Lv8 身体強化Lv5 魔力操作Lv6 剣術Lv3 体術Lv3
各種ステータス、特に魔法関連が大きく成長した。使える魔法のレパートリーも増えた。魔法創造に内包されている魔法は飛行魔法、重力魔法、透明化の魔法、そして影魔法だ。あんまり増えてないって?そう簡単に新しい魔法は創れないってのが一つ目の理由。二つ目の理由は慣れない魔法を増やすよりも、今ある魔法を極めた方が良いと考えたからだ。そのおかげで魔法関連のスキルレベルはかなり上がった。
そして剣術スキルと体術スキルは適当にそれっぽいことしてたら獲得できた。効果としては動きに補正がかかるようだ。剣術なら剣を振ることに補正がかかるし、体術なら蹴りや拳打などに補正がかかる。まぁ、本人の技量が低いためあんまり当てにできないが無いよりはマシって感じだな。
この6年でBランクの魔物くらいなら楽勝ってレベルにはなったが、Aランクとは遭遇したことがない。理由は魔の森の性質にある。
魔の森は深部に進むほど魔物の等級が上がる。だから入り口付近で初めて遭遇したのがCランクのダイナボアだったわけだ。んで俺は修行としてだんだん奥の方に進んできたわけなんだが、まだAランクがいる領域ではないらしい。
現状の確認としてはこんなところだ。たぶん俺は世界最強の6歳児だと思う。なんせ本気で魔法を撃てば地形を変えれるんだから。ま、そんな魔法は滅多に使わないし、使うにしても周囲への被害は抑えるようにするから地形破壊なんてことはない。
魔法についての今後の目標としては空間魔法の開発を最重要としている。とりわけアイテムボックス的な魔法や転移魔法を開発したい。え?なんで創れてないのかって?
理由としては空間に対するイメージが掴めないからだろう。空間って何?って聞かれた時、俺は答えることができない。だから空間魔法も創れないのだ。まあこの6年間の成果を見せて無駄な時間じゃなかったことを証明してやろう。
「オォォォ!」
ちょうど良いところにオーガが来たようだ。コイツはBランクの魔物で、おとぎ話の赤鬼みたいな姿をしている。特徴としては単純明快、フィジカルお化けだ。まともに攻撃を喰らったら即死ってレベルでコイツは筋力が高い。ならばどうすれば勝てるのか、答えは簡単、当たらなければ良い。オーガは筋力も高いし動きもまぁ速いが、知能は低いので動きは単調だ。飛んでる俺には当てられない。とか説明してる今も避け続けてるわけだし。
攻撃が当たらないとしてじゃあどう倒すのか。こっちも簡単、威力の高い魔法をぶつければ良い。生半可な攻撃じゃこの筋肉ダルマにはかすり傷ひとつ付かないが、俺の魔法なら話は別だ。こんな肉団子、サンドバッグにしかならない。というわけで、そろそろ反撃しよう。
使うのは影魔法。
これは俺の6年間で創った魔法の中で1番使い勝手がいいんだ。形も自由自在、威力は十分。盾のようにすれば防御にも使える。イメージは影を生み出し、操る、それだけ。だが、魔力を込めて明確なイメージをすれば、その影は強力な武器となる。
生み出した影によって巨大な刄を創った俺は、それをオーガに向けて全力で振り下ろした。
「ガアァァ!」
断末魔の声を上げながらオーガは真っ二つになった。いくら強固な体を持っていたとしても、俺の影魔法の前には意味をなさない。Sランクの魔物とかには効かないかもしれないが所詮はBランクのオーガだ。サクッと二枚おろしにできる。オーガの肉は食べられないのかと考えてた時期が俺にもありました。結果は惨敗。魔力で顎と歯を強化して食べようとしても文字通り歯が立たなかったのだ。つまりオーガは本当にサンドバッグ以上の価値がないのだ。
とまあこの6年間で俺は相当強くなったと思う。でもまだ足りない。所詮は強力な魔法によるゴリ押し。魔法特化の典型的な魔法使いだ。身体を使った戦闘の技量も上げなければ最強への道は程遠いだろう。これからは体術を磨いていこうと思う。型などはないが、自らの身体にとって最適な動きを目指すのだ。わかりやすく言うなら、今の俺は5の力を込めたら1の威力の打撃ができる。これじゃあ非効率すぎるだろう?だから10の力で10の威力の打撃ができるようにする。それが今後の目標だ。
ちなみに今の俺の容姿はどんな感じかというと、黒髪黒目、典型的な日本人って感じだな。でも、顔つきは育ったら絶対にイケメンになるって感じだった。自分の顔を川で見たとき確信した、人生勝ち組確定なムカつくやつの顔だって。他人がこんな顔してたら殴りたくなるが今世では自分の顔だ。大事にしよう。
今日はもうダイナボアを食べて寝よう。いくら強くなったとはいえ今の俺は6歳、寝る子は育つ、だ。
早く話を進めたいので、次回また数年飛びます。主人公はどう成長したか、お楽しみに