第五話 初めての戦闘と今後の課題
飛行魔法を開発したことで移動が楽になったことで少しこころに俺は食べ物を探して森の中を飛んでいた。
すると、木に真っ赤な果実がなっているのを見つけた。とても美味しそうに見えるが毒があるかもしれないので、一応森羅万象で見ておく。
アプルの実 栽培がしやすく味も良いことから庶民の間で親しまれる果実。
いやリンゴじゃねえか!名前も見た目も完璧にりんごと一致してやがる。
そう思うと俺は身体強化を使ってアプルの実を採り、地面に座って齧った。
…間違いない、これはリンゴだ。味も完璧にリンゴだ。異世界にきて初めて食べるものの味が前世でも慣れ親しんだリンゴになるとは不思議なものだ。その後も夢中になってアプルの実を食べ続けた。
その時の俺は油断していた。久しぶりに食べたリンゴの味に気を取られて、俺は忘れてしまっていたのだ。この森には危険な魔物が生息していることを。
「ブオォォォ!」
そんな声が聞こえた途端、俺は何者かによって吹き飛ばされた。
痛ぇ!咄嗟に身体強化しなかったらヤバかったぞ!飛行魔法で体勢を整えながら、俺は俺を吹き飛ばした元凶を睨む。森羅万象、あれは?
ダイナボア ランクC
強力な突進によって対象を吹き飛ばす。熟練の冒険者でも複数人で挑みたい相手。皮膚がとても硬く、生半可な攻撃は通用しない。
えーと、強くね?生半可な攻撃が通用しないって今の俺じゃどうしようもなくないか?幸い俺は飛べる。逃げようと思えば逃げられるだろう。
だけど、俺を吹き飛ばしたコイツに仕返ししないと気が済まない。よってコイツはボコして俺の糧にする。
そうと決まればどうやって倒すか考えなきゃな。とはいえ今の俺じゃあ攻撃が通らないのも事実。
なら、アイツに通用する魔法を今この場で創ればいい。俺にはそれができるのだから。
コイツの特徴はその硬い皮膚だ。それを貫通させなきゃ決定打にはならないだろう。
イメージするのは槍。構成するは雷。幸いにもMPはたっぷりとある。どでかい花火をあげてやろうじゃないか。俺は残ってるMP800のうち500をこの魔法につぎ込む。俺の手に不格好ながらも巨大な雷の槍が創られていゆく
北欧神話の主神オーディンが持っていたとされる槍の名を冠したこの魔法の名は
「神雷魔槍!」
ドオォォン!
その名に違わぬ威力を発揮したこの魔法はダイナボアを消し炭にし、大きなクレーターを作った。
…やりすぎちゃったかも。てかレベル1が撃つ魔法の威力じゃないな、これ。明らかなオーバーキルだ。
調子に乗ってMPを使いすぎた。魔法の強力さに対して知力が足りないから形も不格好。制御もお粗末。改善点は山ほどあるだろう。
それでも、俺にとっては初めの勝利だ。喜んでもいいだろう。レベルも上がったようだし新しいスキルも獲得してるだろう。ワクワクしながら俺はステータスを見た。
ステータス
【名前】レノ・ヒイラギ
【種族】人間族 【性別】男 【年齢】0歳
【ジョブ】なし
【レベル】5
【称号】世界を超えし者
【HP】50/50
【MP】1500/1500
【筋力】10
【体力】10
【知力】70
【魔力】180
【幸運】10
【ユニークスキル】魔法創造・森羅万象
【スキル】火魔法Lv1 雷魔法Lv6 身体強化Lv3
魔力操作Lv4
どうやら神雷魔槍は雷魔法に分類されたようだ。威力の通りスキルレベルも高い。
身体強化と魔力操作もレベルが上がってるのは嬉しい誤算だ。称号に感謝だな。
ステータスはとりわけ魔法関連の伸びが良い。将来は大魔法使いになれそうだ。それに比べて身体に関するステータスの伸びが悪いのは俺が赤子だからだろう。まぁ、成長すればいずれ伸びるはずだ。
とまぁ、今回の成果はこんな感じだな。とても良い成長だ。今後の課題としては防御系の魔法の開発が大事そうなのと、使い勝手の良い攻撃魔法の開発だろう。流石に神雷魔槍は威力が高すぎて普段使いは無理だ。MPの消費も激しいし。
そして、今すぐの問題は寝床の確保だろう。安全な場所を探さないとこの赤子の体には厳しすぎる環境だ。
考えをまとめた俺はさっきダイナボアに吹っ飛ばされた時の怪我が痛むことを思い出した。さっきまではアドレナリンのおかげか忘れられていたがかなり痛む。ひとまず回復魔法を創ろう。イメージは、癒しと身体の修復だな。治癒
スキル回復魔法を獲得しました。
あんな適当なイメージでも出来るのか。体が治る細かい理論はよくわからんが、そんなこと言ったら俺の飛行も創れなかっただろうし、そんなもんなんだろう。
怪我も治ったことだし今夜の寝床を探そう。
結果、割とすぐに見つかった。飛行魔法が便利すぎたのと大きな森なだけあって木の中にも大きな空洞があったりした。寝心地は悪そうだが幸いにも俺には捨てられた時の籠がある。あれは取りに行ってから寝ればいいだろう。寝床も見つけたし食料もある、十分生活はできそうだ。
魔物との戦闘以外は特に目立ったこともなく、俺の異世界生活1日目は終了した。
次回、ちょっと時間が飛びます。