ソレ
ソレは点と線が回り、限りの無い広さを描く。
意識の中で、暗く静かな場所で。
何も無い空間、何も聴こえない空間。
深い孤独を感じる空間。
闇の中で静かに点が極限まで小さくなり、
すぐに膨張していく様は恐怖を与える。
トラウマになってしまう。
線は回転する豚を追い越して、
点に戻ってくる。
繰り返される前に目を覚まし、
ソレを忘れようと努力する。
時には努力してもすぐに意識に入り込む。
だからまた起きて、テレビでも見て、
また目を瞑る。
大人になると、ソレは減った。
だけどやって来た時には再び恐怖が支配する。
繰り返されるソレがいつか
完全に消滅する事を願いながら、今日を生きる。
ソレが分かるのは自分だけ。