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【揺花草子。】(日刊版:2024年)  作者: 篠木雪平
2024年01月
9/365

【揺花草子。】[#4365] 早口で言うとそう聞こえなくもない。

Bさん「ジャパニーズスナック菓子は

    海外からお越しのお客様にも人気だそうですよ。」

Aさん「あぁ、うん、なんかそう言う話聞くね。」

Cさん「前にも話したけど観光先としての魅力調査で

    1位になったりする事もある日本ね。

    少し前に発表されたニューヨーク・タイムズ紙の記事では

    盛岡市が取り上げられた事でも話題になったわね。」

Aさん「そう言えばありました。」

Bさん「日本は多くの地域が四季折々でガラッと印象が変わる多彩さがあるし、

    島国特有の独特な文化習俗が他国の旅人を引き付けるのでしょう。

    そしてその文化の中には独自に高度に発展した食文化も欠かせない。」

Aさん「うんうん。

    食目当てでやってくる外国の方も随分多いみたいだしね。」

Cさん「急峻な山地を抱えつつ海に囲まれた地形である国土は

    山の幸海の幸に恵まれ、非常に多様な食の営みが育まれているわよね。

    そして何より昔から渡来の文物を自国に取り入れるのが上手な日本人、

    外国から入ってきたものをうまくアレンジして

    自分たち独自のものに作り替えてきたわ。」

Aさん「洋食とかお菓子とかですかね。」

Bさん「そんな中でも、コンビニやスーパーで手に入るようなお菓子も

    独自の発展を遂げ今では外国からの来訪者もお土産に選ぶほど。

    逆に日本から海外に行く際に相手先に渡すものとしても

    日本ではとてもありふれているチョコ菓子やスナック菓子が

    存外喜ばれるなんて話もあるね。」

Aさん「ふむふむ。」

Cさん「こうしてきのこたけのこ戦争が世界戦争へと拡大して行くのよ。」

Aさん「やめて下さい。

    そう言う無駄に火の粉を振りまくのやめて下さい。」

Bさん「でね、スナック菓子としてそこそこ知名度の高い

    『ドンタコス』ってあるでしょう。」

Aさん「んん、あるね。」

Cさん「ジャンル的にはトルティーヤチップスってやつで、

    『ドリトス』と言う先行商品を研究して生まれたものらしいわ。」

Aさん「確かに『ドリトス』もたまに見かけますね。」

Bさん「あるお休みの日、ぼくはお家の近くのショッピングセンターで

    晩ごはんの買い物をしていたのね。」

Aさん「ほほう。」

Cさん「珍しく私も一緒にね。」

Aさん「普段は晩ごはん担当はブリジットですもんね・・・。」

Bさん「スナック菓子の通路に入り込んだところ、何やら挙動不審に

    ウロウロキョロキョロしてる外国人と思しき男女2人組の姿。」

Aさん「んん。」

Bさん「こう見えてぼくらは見た目だけで言えば完全に外国人なわけで、

    彼らの目には『慣れない日本で苦労しながら生活する異邦人』

    みたいに見えたんだろうね。

    何やら親しげな笑みを浮かべ、こちらに近付いてきた。」

Aさん「おぉ・・・。」

Cさん「実際にはブリジットは物心付く前から日本暮らしで

    母国語もろくに喋れないエセ外国人なのにね。」

Aさん「カトリーヌさん実の娘に対する物言いよ。」

Bさん「で、その2人組は、どうやら日本のスナック菓子を探していたらしい。

    ぼくに近付いて、恐らくは彼らにとっても母国語ではないであろう

    やや不安定な英語でこう言うわけさ。

    『Excuse me, where's Don Tacos?』」

Aさん「ドンタコス指名買いか。」

Cさん「日本語が十分には読めない方が

    パッケージに書かれている商品名などからはどれがお目当てのものか

    確とは判断できず戸惑うって言うのは外国人旅行者あるあるね。」

Aさん「なるほどなるほど。

    確かに観光地や外国人が多く居住する地区ならともかく、

    普段のスーパーやコンビニなどで売られているものの大半は

    日本人が消費する事を念頭にしているって部分はありそうですよね。」

Bさん「バーキン家はもとからあまりスナック菓子を食べる方じゃないし、

    この通路に入ったのもその向こうの生鮮食品コーナーに

    向かおうとしていたためだから、

    ドンタコスはどこって訊かれてもちょっとすぐには答えられない。」

Aさん「んん。」


Bさん「だから正直

    『Don't ask us!』

    って答えたかった。」

Aさん「ドンタコス!!???」


 ちゃんとカトリーヌさんが教えてあげたそうですよ。

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