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【揺花草子。】(日刊版:2024年)  作者: 篠木雪平
2024年03月
71/365

【揺花草子。】[#4427] 未来を見据える。

Bさん「今日は3月11日です。」

Aさん「うん・・・そうだね。」

Cさん「あれからちょうど13年になるわ。」

Aさん「13年・・・早いですね・・・。」

Bさん「この時期になると毎年テレビのニュースで

    あの日の出来事が取り上げられるけれども、

    確かに年を追うごとに全国ニュースでの扱いは小さくなり、

    我々被災者の居住県での地域ニュースに収まる事が

    増えているようには思う。」

Aさん「それは確かに。」

Cさん「13年ともなればあの出来事の後に生まれた子供たちが

    それなりに分別もつく年頃だわ。

    言い方を選ばず言えば、この地域に住む人でも

    あの出来事を知らない人も着実に増えているわけね。」

Aさん「まあ・・・それは確かにそうです。」

Bさん「まだ13年だからぼくらをはじめ現役世代が大多数ではあるけど、

    これが20年30年、あるいは50年と過ぎたとき、

    あの日の出来事は過去の歴史に埋没していく事に

    なってしまうのかなって気がする。

    101年前の出来事である関東大震災が我々にとって

    教科書で習う歴史上の出来事であるようにね。」

Aさん「そうだね・・・。」

Cさん「それ自体は当然だと思うし、そうあって良いものだとは思うのよ。

    過去の惨劇も時代を下ればその事実に直面した人たちもいなくなり、

    史実として記憶され記録されていく出来事になる。

    それでも人々はもし次に同じような事が起こった時に

    その過去に起こった出来事を教訓にうまくやってくれれば

    良いんじゃないかしら。」

Aさん「ですね。」

Bさん「あらゆるケースを想定して全てのシーンで危険がないような準備ってのは

    現実的に無理筋だと思う。

    世界は何でもかんでも人間の予想通りの範疇に

    収まるわけではないからね。

    大きな痛みを受けても、その痛みを決して無駄にせず、次に活かす。

    そうやって連綿と人の世を続けていくより他ないと思うんだ。」

Aさん「まあ、初めての出来事に100%完璧に対応できる保証は

    現実的ではないよね。」

Cさん「今年は年が改まって早々に大きな天災が発生し、

    今なお不自由な暮らしを余儀なくされている方たちも随分いらっしゃるわ。

    13年前に私たちが、さらに言えば29年前、46年前、101年前、

    他にもたくさん、多くの人たちが受けた苦しみから得た学びが

    彼らの助けになってくれれば本当に嬉しいと思うけど。」

Aさん「そうですね。

    この国は自然災害の多い国ですが、逆説的に言えばその分

    いざと言う時のノウハウが多く蓄積されているとも言えますしね。」

Bさん「そうだね。

    13年前の出来事は一生のうちそう何度もない出来事かも知れないけど、

    かと言って一生出会う事もない出来事とも言い切れないレベルだと思う。

    もしかしたらぼくらが生きている間にもう1度2度、

    同じような出来事が起こらないとも限らない。

    その時は13年前よりもうまくやれればいいなと思うよね。」

Aさん「確かに。そうやって着実に進んでいければいいよね。」


 備える事はとても大切。

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