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【揺花草子。】(日刊版:2024年)  作者: 篠木雪平
2024年02月
41/365

【揺花草子。】[#4397] 隠密。

Bさん「越後のちりめん問屋のご隠居いるじゃないですか。」

Aさん「水戸黄門かな?」

Cさん「あら知ってるのね。」

Aさん「いや、まあ、一応。

    と言うかブリジットが良くそんな話題

    出して来るもんだとは思いますけど。」

Bさん「じゃあ解説をお願いしていい?」

Aさん「え? えーっと・・・。

    あれだよね、ご存知時代劇『水戸黄門』の主人公である黄門様は

    お供の者たちとともに諸国世直し旅をしているけれども、

    旅先では身分を隠すために『越後のちりめん問屋の隠居』と

    偽って名乗っているって言う・・・。」

Cさん「そう言う事ね。

    そして悪者を懲らしめてまさにここぞと言うタイミングで

    『こちらにおわす方をどなたと心得る!!

     恐れ多くも先の副将軍徳川光圀公なるぞ!!!』

    ってなるわけよね。」

Aさん「うーん。様式美。」

Bさん「徳川光圀は水戸藩2代目の藩主で、時代的には江戸時代前期。

    将軍で言うと4代家綱から5代綱吉の時代に藩主を務めた人物だね。」

Aさん「なるほど。」

Cさん「1628年生まれでやんちゃな青年時代を過ごした後1661年に藩主に。

    1690年に藩政から退き隠居、このころ62歳くらい。

    以後1701年に死去してるから、73年くらいの生涯って事になるわ。

    ドラマで描かれているのはこの10年間の出来事って事ね。」

Aさん「ふむふむ。」

Bさん「60代で全国各地を徒歩で漫遊するって言うのは

    当時としては結構な健脚だったと言えるんじゃないかな。」

Aさん「いや・・・言ってもドラマの話だしね・・・。」

Cさん「それは確かにそうね。

    ところで件の『先の副将軍』だけど、

    徳川幕府には副将軍と言うポストはないし、

    そもそも光圀自身も幕府中枢に居たわけではないわ。」

Aさん「あれ、そうなんですね。じゃあ副将軍って言うのは?」

Bさん「水戸藩は徳川宗家に次ぐ家格として扱われていたから、

    その藩主は慣例的に『副将軍』って呼ばれていたと言う事らしい。

    光圀は前藩主であるわけだから、『先の副将軍』ってわけだね。」

Aさん「なるほど、そう言う事。」

Bさん「ま、ともかく、『越後のちりめん問屋のご隠居』と言う名乗りです。

    あの名乗りって実際に越後に行った時も使ってるのかな?」

Aさん「え、何どう言う事?」

Cさん「つまり実際に越後の地を訪れた際にも

    そう言う名乗りをするのかって事よ。

    『越後のちりめん問屋の・・・』

    『おうそうなのかい、なんて言う店だい?

     この辺りのちりめん問屋とはどことも長い付き合いだけど、

     あんたみたいな人がいるなんて聞いた事ないけどなあ。』

    『なんか怪しいな。あんた本当にちりめん問屋のご隠居かい?』

    『それは世を忍ぶ仮の姿なんじゃないかい?』

    みたいになるんじゃないかしら。」

Aさん「おっ・・・おぉ・・・。」


Bさん「設定の作り込みの甘さゆえに

    窮地に立たされる事もあるんじゃないかな?」

Aさん「設定の作り込みとか言うなよ。」


 越前のちりめん問屋のとか言えば良いんじゃないですかね。

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