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【揺花草子。】(日刊版:2024年)  作者: 篠木雪平
2024年09月
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【揺花草子。】[#4627] 願望の産物。

Bさん「阿部さんはダイソン球の概念について知っているかな。」

Aさん「えっ・・・あれだよね、SF でよく用いられるモチーフの・・・。」

Cさん「概念を説明してみて?」

Aさん「えっと・・・正確に言えてるかどうかは自信ないですけど、

    太陽みたいな恒星系を広く囲う外殻を作って、

    宇宙に放射拡散される恒星のエネルギーを殻内に閉じ込めて利用する事で

    エネルギー問題を高レベルで解決する手法と言うかアプローチ・・・

    って感じじゃないでしたっけ。」

Bさん「ん、概ねその通り。

    恒星の光はもう何億光年も離れたところにさえ届くほど

    強大なエネルギーがあって、

    でもその恒星系の中の個々の惑星は単なる点に過ぎず、

    恒星のエネルギーのごくごく一部しか利用できない。

    そこで恒星系をぐるっと覆うような外殻を作り、

    外に無駄に漏れ出すエネルギーを内側に留める事で

    桁外れに膨大なエネルギーを利用可能とするのが

    ダイソン球の基本的なアイデアだ。」

Aさん「ふむふむ。」

Cさん「と言っても、本当に完全に卵のように外殻で恒星系全体を

    覆うのは問題があるわ。

    それだけの資材をどうやって調達するのかと言う問題とは別に、

    エネルギーを漏らさず内側に留めたりしたら内部はあっと言う間に

    熱で干上がってしまうからね。」

Aさん「んん・・・まあ、それはそうでしょうねえ。」

Bさん「そこで、余熱に関しては赤外線放射などの手段で

    外殻の外側へ逃がしてやる必要があると考えられている。

    そう言う系を外側から観測すると、

    光はあまり強く見えないけど赤外線だけはやたら出ている

    と言った形で観測されるだろう。

    そう言うものがもし観測されたら、それはダイソン球を実現させるほど

    超高度な文明が存在する証拠になると、そう言う風にも言われるわけだ。」

Aさん「ふむふむ・・・。」

Cさん「もともとこの概念を提唱したダイソン氏の名前から

    ダイソン球と名付けられているこの構造物だけど、

    元々は球体の外殻のようなものを想定していたのではないと言うわ。

    ダイソン氏の最初の論文では『sphere(球)』ではなく

    『biosphere』つまり『生物圏』と表現されていたようよ。

    構造的には軌道上に等間隔にプラットフォームが整然と並ぶリングが

    円周方向に多数構築される形が想定されると言うわ。」

Aさん「ふむふむ。適度に隙間があるって事ですね。」

Bさん「それが今日良く語られる球殻上の構造物のイメージになったのは

    SF 作家たちが無意識に、あるいは意図的に

    『biosphere』を『sphere』に誤認した事が原因だと言われる。

    確かに恒星系全体をまるっと覆ってしまうって言う派手な見た目は

    SF のモチーフとしては非常に見栄えが良いだろうしね。」

Aさん「なるほどね。」

Bさん「つまり物事を都合良く解釈したと言う事だ。」

Aさん「んん。」


Bさん「登場する女の子がみんな可愛くて明るくて

    とっても前向きなきらら世界観みたいなね。」

Aさん「この話からそんな結論になる?」


 きららもまたひとつの世界の姿。

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