【揺花草子。】[#4583] 呪い。
Bさん「『きみら昨日のあの話で怪談ノルマクリアしたつもりでいるの?』
とナカPから詰められました。」
Aさん「さもありなんだよね!!?
全然怪談じゃなかったもんね!!?」
Cさん「証拠の音声は録音済みだから
これを持って弁護士に掛け合おうとしているところよ。」
Aさん「何らかのハラスメントとして訴えに出るつもりですか!!?」
Bさん「ま、それはともかく、ここらへんでちょっとちゃんと
怪談らしい怪談をしておこうかと思うよ。」
Aさん「お・おぉ・・・。」
Cさん「例えば落語なんかだと古典落語と創作落語なんて区別があるわよね。
同じように怪談も古典怪談と創作怪談に分けられるんじゃないかしら。」
Aさん「そっそれは・・・思わぬ着眼点ですね?
そう言う意味では『耳なし芳一のはなし』とか『雪女』とかは
古典怪談の部類に入るって事ですかね?」
Bさん「そうなるね。
ただし雪女が
『誰にも話してはいけないと言ったのにどうして話しちゃうの。
キャバクラでペラペラ喋っているのを
私が気付いていないとでも思っているの?
あなたは信頼できないわ。
子供とともに出ていくので慰謝料1億円と
養育費を毎月200万円払って』
何て言い出したらこれは古典とは言えなくなるかもね。」
Aさん「創作にしても筋が悪すぎない?
要求額が怖いって言う話?」
Bさん「ま、ともかくぼくらはナカPからのプレッシャーを跳ねのけるため
怪談話を一席ぶつより他ない。」
Aさん「怪談ってぶつものなんだっけ?」
Bさん「これは、あるおじさんが少年だった頃の話だよ。
少年はゲームが好きで、特に RPG が大好きだった。
学校を終えて帰って来ると、外に遊びにも行かず晩ご飯まで、
ご飯の後も親御さんの目を盗んでゲームに没頭していた。」
Aさん「おぉ・・・。」
Cさん「自分の事かなって思った?」
Aさん「いやぼくそこまでじゃなかったと思いますけど。」
Bさん「けれど、学校や習い事が疎かになりがちだった少年に
親御さんはとうとうゲーム禁止を申し付けた。
習い事も宿題も終えた後、晩ご飯までの短い時間だけ許可、
晩ご飯の後はゲームは禁止と言いつけた。」
Aさん「あらまあ。」
Bさん「1時間かそこらのプレイ時間では深く長いダンジョンを
踏破するのは難しい。
少年はコツコツと探索できる範囲を広げて最善手を磨き続け、
何日もかけてダンジョン攻略に挑む事を強いられる事になった。」
Aさん「むしろそれは時間は掛かるけどプレイの質は上がっているのでは?」
Cさん「でもその頃少年が遊んでいたゲームは
当時同年代の子供なら誰もが遊んでいた有名タイトルで、
少しでも早く進める事に誰しもが躍起になっていたの。
ネタバレでマウントの取り合いを繰り広げる浅ましい子供たちが
たくさんいたのよ。
もちろんその少年も含めてね。」
Aさん「おぉ・・・。」
Bさん「しかし、ゲーム時間をガッツリ削られる事になった少年は
いつしか仲間内のネタバレトークに耐え切れなくなり、
友達から距離を置くようになってしまった。
ゲーム時間とともに友達との関係も失ってしまったんだよ。」
Aさん「あれー・・・。」
Cさん「少年を嘲る内容で溢れるチャットアプリの非公開グループが
存在するなんて噂を耳にするほどにね。」
Aさん「え、何ですか、子供たちの未成熟な精神に起因する
未熟さゆえの悪意が怖いとかそう言う話ですか?」
Bさん「話はこれで終わりじゃない。
生活を改めたおかげで学校の成績や習い事もうまくいくようになり、
少年は上々の結果でサマーブレイクに突入した。」
Aさん「夏休みの事サマーブレイクって言うのは一部の業界だけでは?」
Bさん「『甲』が並ぶ成績表を持ち帰った少年に親御さんもご満悦。
夏休みの間は宿題をしっかり予定通り進めた後は
普段よりちょっと長くゲームで遊んでも良いと許可を出した。」
Aさん「甲乙丙で評価する学校なの?」
Cさん「親御さんの差配に有頂天になる少年。
コツコツ進めてシナリオ的には終盤まで来ていたゲーム、
この夏休みの間に攻略を一気に進めるぞ!とテンションを上げて
ゲーム機の電源をオン。
でもテンションが上がりすぎてコントローラーを
グイっと引っ張ってしまい、ゲーム機が痛恨のフリーズ!」
Aさん「ああ・・・コントローラーが本体にケーブルで繋がってる世代の
ゲーム機なんですね・・・?」
Bさん「『おきのどくですが
ぼうけんのしょはきえてしまいました』」
Aさん「絶望過ぎる!!!!!」
それ怪談・・・か・・・?