【揺花草子。】[#4567] 勧誘。
Bさん「昨日はつい先日決勝が行われたハンガリー GP の話をしました。」
Aさん「んん。マクラーレン内に燻る火種。」
Cさん「今回の一件をかつての『マルチ21』事件を想起させると
論じる向きもあるみたいよ。」
Aさん「あぁ・・・まあいろいろ前提は違いますけど、
トップ争いでチームオーダーが絡むと言う構図は
確かに似ているかもですね。」
Bさん「マルチ21。
それは2013年マレーシア GP でレッドブルチーム内で
起こった事件だね。」
Aさん「そうだったね。」
Cさん「序盤からミックスウェザーとなった難しいコンディション。
全社インターミディエイトタイヤでスタートしたものの、
序盤速い段階でドライタイヤにスイッチ。
その後数回のタイヤ交換を経て、レース後半のタイヤ交換を終えて
レッドブルのウェバー選手が首位、次いでベッテル選手が2番手。」
Aさん「ええ。」
Bさん「タイヤのデグラデーションが厳しいと目されたこのレース、
無理に争ってタイヤを消耗しないようにと言う事からチーム内では
最後のピットストップを終えて前にいる方が
そのまま順位を維持してチェッカーを受ける、
つまり2番手は首位とは争ってはいけないと事前に取決めがあった。
ウェバー選手はこの取決めを遵守し最後のタイヤ交換後に
ペースを落としたんだけども、2番手のベッテル選手は
そのチームオーダーを無視してウェバー選手をオーバーテイク。
そしてそのまま優勝と言う結果になったわけだ。」
Aさん「んん・・・!!」
Cさん「表彰式前のクールダウンルームではウェバーがベッテルに対して
『セブ、マルチ21だろ?マルチ21だ。』と
厳しい表情で詰問する映像が残っているわよね。」
Aさん「ですね。今も事あるごとに振り替えられる象徴的なシーンです。」
Bさん「この『マルチ21』と言うのはチーム内の符丁で、
カーナンバー2つまりウェバー選手と
カーナンバー1つまりベッテル選手のオーダーを維持せよ、
と言う意味だと言われているよね。
レース中お互いのドライバーにはチームラジオで
この単語が伝えられていたと思う。」
Aさん「うんうん。」
Cさん「クールダウンルームで厳しく詰問されたベッテル選手だけど、
その表情は自分の行為を恥じ入るような後ろめたいものではなく、
もちろん苦言を聞き流すような意にも介さないものでもなかったわ。
敢えて言うなら、
『うわこの人なんか知らんけどむちゃくちゃ怒ってるなんで』
みたいな、非常に困惑した表情だったと見えるわ。」
Aさん「言われてみるとそんな感じだったかも。」
Bさん「そう考えると、『マルチ21』の意味が、
つまり『ポジションを維持せよ』と言うチームオーダーが
ベッテル選手には伝わっていなかったのではないかと思うんだ。
即ちベッテル選手にとっては
悪質なチームオーダー破りと言う感覚は最初からなくて、
『なんかマークがペース落としたぞトラブルかじゃあ俺がトップだ』
みたいな感じでさっと抜いていったみたいな。
もちろん実際どうだったかは分からないけどね。」
Aさん「うーん・・・。
つまりコミュニケーションミスであったと言う事?」
Bさん「ベッテル選手的には
『なんで今ネットワークビジネスの話をして来るんだ?』
って感じだったのかも知れないしね。」
Aさん「マルチ商法!!???」
『まがい』だとまずい。