【揺花草子。】[#4371] 追われる。
Bさん「アウトローって言うのは本義的には
法やモラルを意に介さず傍若無人にふるまう無法者の事を
指すわけではありません。」
Aさん「ん・・・?」
Cさん「本来の意味のアウトローってどう言う意味か知ってる?」
Aさん「えっと・・・あれですよね、法外放置。」
Bさん「それはそうなんだけど・・・。
もう少しちゃんと説明すると、
アウトロー、阿部さんも言った法外放置者と言うのは
『法の保護を剝奪される宣告を課されたもの』と言うのが
本来の意味です。」
Aさん「ふむ。」
Cさん「法の保護の剥奪と言うのは社会的な死と同義だわ。
あらゆる権利を喪失し、殺されても文句が言えない状態。
逆に言えばあらゆる義務も負わないと言う事にもなるんだけど。」
Aさん「ええ。」
Bさん「法治主義の論理的矛盾の体現となる法外放置の宣告は
少なくとも現代の法治国家ではもはや存在しないと言ってよい。
いかなる場合においても人はその国の法において
権利の対価として義務を果たすべきと規定されているわけだ。」
Aさん「ふむふむ。」
Cさん「法外放置の宣告はいわば
『お前は人間クビだ。』みたいなものだからね。」
Aさん「人間クビだはだいぶドラスティックな言い方ですね。」
Bさん「アウトローの宣告を受けると、
基本的にはまともな社会生活は送れなくなる。
契約行為は当然行えなくなるわけで、
つまり身分を証明しなければいけない場面で詰んでしまうわけだ。
コンビニやスーパーで日用品を買い物する、
飲食店やパブなどに飛び込みで入るくらいなら
身分を隠して行えるから乗り越えられるだろうけども、
相手がアウトローだと知って関わってしまうと
関わった側にも類が及ぶ事になるのがルール。
アウトローだと知られてしまったら食事や宿の提供も
受けられない事になるわけで、アウトローは根無し草のその日暮らしを
余儀なくされる事になるわけだね。」
Aさん「うーん、そうなるか。」
Cさん「特に食事を得られないのは辛いわよね。
林野に入り人目を忍んで狩人として生きるスキルがあるなら
何とかなるかもだけど、早晩足がついてしまうでしょうね。」
Aさん「まあ、余程のところじゃなければそうでしょうね。」
Bさん「そうなるときっとお魚とかは食べる機会はなくなるだろうねえ。」
Aさん「まあ・・・人が通わない絶海の孤島に
辿り着くとかすれば別かもだけど。」
Cさん「お魚が恋しくなるでしょうねえ。」
Aさん「ですかねえ。」
Bさん「アウトローの皆さんのお口に合うトロも
あるだろうにね・・・。」
Aさん「何言ってんの?」
ゆうべはお刺身だったそうです。