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【揺花草子。】(日刊版:2024年)  作者: 篠木雪平
2024年05月
134/365

【揺花草子。】[#4490] 成分分析。

Bさん「霞が主食と言われる仙人の皆さんですが。」

Aさん「主食なの?」

Cさん「阿部さんは『デュフフフかすみん食べたいでござるよ~~~』とか

    言っちゃってるし仙人の如き浮世離れ加減とは無縁よね。」

Aさん「そんな気持ち悪い発言した覚えないですけど?」

Bさん「ところでかすみと似た現象として

    もやきりがあるけど、

    阿部さんそれぞれの違いは分かるかな?」

Aさん「え? えーっと・・・。

    うーん・・・。」

Cさん「気象擁護的な観点で言うと、

    もやきりは空気中の水蒸気が水滴となり

    空中に漂っている状態の事を指して、

    水平視程が 1km 以上の場合は靄、それ以下の場合は霧と呼ばれるわ。」

Aさん「なるほど。見通しの良し悪しの違いですね。」

Bさん「他方霞かすみは靄や霧と違い、水蒸気由来だけじゃなく

    塵や煙なども含めた浮遊物によって視程が阻害される状況を指す。

    これは気象学的な用語ではないそうです。」

Aさん「ふむふむ。」

Cさん「阿部さんが吐き出す気持ち悪い粒子の所為で薄ぼんやりとした状況も

    状況的には霞と言う事になるわね。」

Aさん「ぼくがいつどんな気持ち悪い粒子を吐き出したって言うんですか?」

Bさん「ちなみに英語でも多少似ていて、

    先がそれなりに見通せるくらいの靄は『mist』、

    見通しが悪い霧は『fog』と使い分けられる事が多い。

    そして煙なども含んで漂うものが『haze』だね。

    なので霞は『haze』と訳すのが正しいと言う事になるかな。」

Aさん「ふむふむ。」

Cさん「ド低能がァーーッ!もしくはクサレ脳ミソがァーーッ!

    って感じよね。」

Aさん「『パープル・ヘイズ』って事ですかね?」

Bさん「ま、話を戻して霞。

    仙人は我々の理を超えた存在であるので、

    我々人間が生存に必要な栄養素を必要としない、

    つまり霞から摂取できる栄養素だけで生きる事ができると、

    そう考えて良いのでしょう。」

Aさん「えー・・・そうか・・・?」

Cさん「もしくは霞の構成物から人間の生存に必要な栄養素を

    体内で生成する器官が備わっているかどっちかね。」

Aさん「仙人すごいですね。」

Bさん「とは言え、霞って、薄ぼんやりと空気中に漂うものであり、

    決して美味しそうとは言えないよね。」

Aさん「えっ・・・なにそれ突然?

    霞に美味しいとか美味しくないとかある?」

Cさん「我々人類は食を楽しむと言う嗜好があるけれども、

    仙人たるものそのような俗世間の煩悩を

    既に捨て去っているのかも知れないわよね。

    だから霞は単なる栄養補給の手段に過ぎず、

    食事を楽しむと言う感覚は彼らにはないのかも知れないわ。」

Aさん「いや・・・霞を主食としてる時点で

    食を楽しむとかは土台無理な話かと・・・。」

Bさん「でも恐らく我々よりもずっとずっと長く生き続ける、

    あるいは生き続けてきたであろう仙人、

    その長い期間を無為に過ごすのはあまりに酷だ。

    俗世間と離れた暮らしぶりの中にも、

    何らかの楽しみを見出していきたいじゃない。

    そしてその対象として食を選ぶのは自然な事だ。」

Aさん「んん・・・まあ・・・分かるけど、

    でもその対象は食ではないんじゃない?

    もっと何だろう、学問の追究とか人の道の追求とか

    そう言うアカデミックな方向に行くんじゃないかな?」

Cさん「そう言うありきたりなのは仙人の中でも三流よ。

    他の仙人が思いもよらぬようなものに輝きを見出してこそ

    仙人界のリーディングヒッターになれると言うものよ。」

Aさん「仙人界にリーディングヒッターとかあるんですか。」

Bさん「と言うわけで、ぼくは、仙人の皆さんもきっと楽しめる

    素晴らしい霞のアイデアがある。」

Aさん「また海外記事の翻訳みたいな物言い。」


Bさん「『霞コンポタ味』とか『霞たこ焼き味』とか

    『霞チーズ味』とか『霞めんたい味』とかの

    バリエーションを作ればいいと思うんだ。」

Aさん「何まい棒だよ。」


 味のついた霞ってどう言う事?

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