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不死の肉の話
今はなくなった国に伝わっていた話である。
その国に祀られていた神は、不老不死の妙薬と伝えられていた。過去、数多の人がその肉を喰らおうと、神山へ向かった。しかし、神の肉を喰らい不老不死となったものはいなかった。たまさかに神喰いに失敗した者と話す機会のある者がいた。聴くところ一言「臭い」と。
聴けば、神の肉は百千の肉が腐るよりも臭く、腑まで腐り落ちたような匂いだという。その肉を口に含んでも、あまりにおぞましい匂いに耐えかねて吐き出してしまうという。
国のなくなった今も神は祀られている。