第一話 始まり
父は壊れた。もうどうしようもないくらいに。
私が小さかったときは全然違かった。父は婿養子だったが、学生時代学校で一番を取るぐらい成績が良かったそうだ。母も上位を取っていてお似合いと言われていたらしい。両親は相思相愛で、仲が良かったようにみえた。大きい企業の社長様で会社も売上を着実に伸ばしていたと思う。
でも、母が死んでから、話は変わった。父は会社の社長である母がいなくなったことで好き勝手するようになったのだ。後で知ったのだが父は外で愛人を囲っていた。私達は知らなかったが父には愛人とのこどもがおり、一年後に彼女と再婚した。きっと私達も金のためとしか思ってなかったのだろう。いつからか私達はこの家のメイドのようにこき使われた。小学校4年生の頃、体罰を受けるようになり、妹と一緒に家を出た。小学四年生の冬のことだった。児童相談所案件になった。父は会社の汚点になるのを恐れたのだろう。家に戻らせようとしていたみたいだが、私達が持っていた証拠によって、家庭に帰らせられないと判断されたので、児童相談所施設に行くのかと思っていたところ、母の親友だった方が引き取って養子にしてくださった。父親は養子になったことを知らないし、会社が揺らぐのを恐れてか私達のことは隠蔽したそうだ。と、今の両親から聞いていたが、もう関わる気がないのでいいと思っていた。
楽しく生きていたが、中学生の時、調べてみるとあの会社が財政赤字になっていることがわかった。
きっと元義母と義妹の金遣いが荒かったからだろう。
会社の財政赤字で給料が下がっているということも調べてわかった。このままじゃこの会社は倒産するだろう。あの人達が路頭に迷うのは別に良いのだが、会社の社員ー昔私に会社の運営について教えてくれた人たちが路頭に迷うのは嫌だし親切にしてくれた人たちもいっぱいいる。社長令嬢で少し調子に乗っていた私を。今思うとすごく恥ずかしい。それに、母親の会社が潰れるのが嫌だった。だからあの会社を取り戻そうと思った。
そこからが私の復讐が始まるー