第15回書き出し祭り批評〜第3会場
1、習志野さんは今日も『自分』探しの旅の途中
とりあえず恒例の字下げ。
みかけしまったら、は『みかけちまったら』の誤字かな。
君以外死んでるのに、みーんな死んでいるのに、も『君以外、みーんな死んでいるのに、』でいいよね?
全体的に(意図してやっていると思われるのだが)読みにくく、読後の感想は気持ち悪いしか出てこない……。
会話だけで状況が分かりづらいのも、そうなる理由だと思われる。
引きが気になるかと問われると別にそれもないので、面白さは皆無だったなあ……。
2、出来損ないと蔑まれた少女、最強ドラゴンと友達になる
文章に突っ込むところはなく、読みやすく良い小説だと思う。
気になるのは、最後にドラゴンを出す必要があったかどうか。
いじめっ子をやり返した段階で話は綺麗にまとまっているので、ドラゴンの登場を促すよりは、もう少しやり返す時の描写を濃くするなどをした方が良かったのではないか? と感じた。
タイトルのドラゴンが回収出来ない、という点はわかるものの、書き出しとしてならこの後に出てくるのでは?と想像させるだけでもいいと思うので、そこが惜しいと思った作品。
3、いつか、君と星空のpas de deuxを
……ーーって使うの珍しいなあ……。かなり見ない。
眼福なんだら、は『眼福なんだから』の脱字かな。
改行がちょっと多いのは気になるけど、物語の構成は非常に良く、読み応えのある作品だった。
4、ペットがお尋ね者な男の異世界生活
字下げ……。
主人公の名前、憲一と賢一どっち?
この段階で地雷臭あったんだけど、本文なにこれ……? 改行多すぎて汚い……。
滑空してるだけどけどな、も『滑空してるだけだけどな』の脱字。
もう文章も読みづらいし、はっきり言うけど書き直して。無理。
5、停止世界の魔物たち
誤字脱字はなく、引きは綺麗だし、内容はいいけど、改行多いのが気になるなあ。
というか、この作品に限らず、改行が多いと、見せたい文章を改行してもインパクトがないってのは知っておくべきだと思う。
もうすこし詰めるのと、ダッシュや三点リーダの使い方でかなり良くなる作品だと思う。
6、人形技師の矜持
……改行……とは思うものの、物語の構成と見せ方は大変上手く、誤字脱字もない。
最後の方も思わず「ああ、そうなるのね」と納得させられる内容で、引きも良かった。
あと、場面転換を改行ではなく、別の形で表現して分かりやすくすると、かなり上位に行くと思う。
7、桃ちゃん先輩の鬼退治
まず『狗我武尊』が読めない。本文でルビ振る前に、最初に読まれるのはあらすじなのだからそちらにルビを入れるべき。
ベースは桃太郎とわかりやすく、必要最小限の部分だけで構成された内容は読みやすかった。
誤字脱字もないし、恋愛要素ありの現代バトルモノになるんだろうなあ、とは予感させるものだったので、続きは気になる。
8、いにしえの数え歌 ~昔の日々を夢見る人間に、忘れるべきだと竜は言い~
改行。
徐々にすべての物が見えなくなっていくさまは、闇が手当たり次第すべてを飲み込んで〜とあるけど、
徐々に全ての物が見えなくなっていく様は、闇が手当たり次第に飲み込んで〜とすると見やすくていいかなあ。
内容そのものは非常に良いと思うのだけど、こういった文章の拙さと、場面がわかりにくいのが今一つかな。
特に最初がわかりにくく、導入としては良いとは決して言えない。
こういう部分を直せばかなり続きの読みたい作品。
9、王立魔法省に課されたミッションは月へ行って石を持って帰ること。隣国よりも先にね!
字下げと改行。
あらすじに手抜きしてるの多いなあ……。
本文に入ると、今度は逆に改行多すぎて読みづらいし……。
展開が雑で内容が今一つ薄いし、飲み込みづらい。
もう少し状況を丁寧に描き、展開している内容を半分ほどに抑えた方がいい。
全体的に及第点にも届かないかなあ……。
10、花咲かお江戸のあやかし奇譚~お姫様にはお見通し~
字下げ。
まあそれはともかく(これも何回も言ったなあ)。
内容的には妖怪もので、しっかりとした構成でかなりびっくり。誤字脱字もなく、引きも良くて続きが気になった。
欠点らしい欠点は特になかった。
11、書き出し撲滅エンジェルズ!~エタった世界を完結わらせろ!~
設定やキャラのやり取りは勢いなんだなあ、という印象。
きちんと最後を締めてないのは、この作品がエタるという事なんだろうなあ……と思うと、続きも気にならないので、書き出しとしては失敗なのでは。
後、そもそも話を場当たり対処しただけで完結させてないので、その点でも続きが気にならない。
書き出しに不純な理由で参加した自分ではあるけれど、これはこれでダメじゃないかな。
12、君は輝く陰陽神
これも字下げと改行かー。あらすじ長い分、下手な字下げは目立つんだよなー……。
その髪にも瑞々しさは微塵もなく、見るに〜は『その髪にも瑞々しさは微塵もなく、見るからに〜』か『その髪にも瑞々しさは微塵もないところを見るに〜』のどちらかなのかな?
名前から蘆屋道満絡みだとは思ったけど、やっぱりそうなのね。
別の作品でも言ったけど、改行多すぎるのと、余白が多すぎるせいで暗い印象が非常に弱くて、作品の雰囲気と合わないのが最大の難点かなあ。
設定と内容は良いだけに、物足りない作品。
13、悪魔の左手は隻腕の王と夢をみる
あらすじで変に行間取ってる意味と、内容で改行してないせいか読みづらいね……。
そして本文が改行だらけ……。
2人一緒は、二人一緒の方が綺麗かなあ。漢数字を使う使わないは自由なんだけど、使うべき所は見分けてきちんと分けた方がいいかな。
今アタシと〜の部分は字下げ忘れ。
作品の内容はよく、ジャンルとしては好き。
だけど、もう少し見やすくする工夫としての行間詰めはした方がいい。
14、おいしく、ねかせてください
字下げ。
育った人間だ の後の句読点忘れ。
……過眠症……? 過眠症っていうより呪いの類では……?
逃げ出した聖女辺りまでは構成として面白いと思ったけど、最後の引きが疑問になるなあ。
最後の数行は確実に直した方が、もっと良い作品になると思う。
15、この世界はあらゆる方面に配慮されているため安全です。
字下げ。
それはまあともかく、中身は意外にもどういう方向に行くのか謎を持たせたままきちんと終えれているし、しっかりしてて上手だなあと思った。
16、変わり者食堂ストレンジ ~ただいま開店準備中~
本文も全く字下げしてないのは初だなあ。下手すると、最初の数行だけでポイ捨てされそう。
そこは、じゃなくてそれは、じゃないかなあ。
句読点の無駄が多い。正直言うと、半分も読まない段階でもうブラウザバックしたい。
あと、料理学校に行く=料理人になる、は流石に見識として狭すぎるのでは……。
目指したい所は『食戟のソーマ』っぽいのを狙っているのかもしれないけど、キャラに引かれるような印象もなく、ただの悪漢にしか見えないのが問題かなあ……。
これは全般的に直した方がいいかな。
17、JCTOS 統合対テロ作戦センター
これも字下げ……
あと、JCTOSがどうしたら統合対テロ作戦センターになるのか気になる。
いきなり『国の機関で捜査主任を務める〜』とあるけど、『どこの』国の『何の』機関で勤めているの……?
これも無駄な句読点多いなあ……。
シーン切り替えで時間や場所を表記するならせめて一工夫した方がいいかなあ。
在りか、は『在処』だよね?誤字?
銃の名前は全部それっぽいのを当て字にしてるのかな?
車の名前やメーカーは基本アウトなので、使わない方がいいかなあ……。
アクションシーンもそうだけど、描写の出来が半端で、どこを読んでも首を傾げてしまう。
24とか海外アクション物をイメージしているんだろうけど、要らない描写も数多くあり、読んでて重い。そのせいで勢いも弱く、読みにくい。
もう少しアクション物の翻訳小説などを読んで、どういう構成にしているか把握してからチャレンジした方がいいなあ。このままだと続きを読みたいとは到底思わない。
18、触るなキケンの聖女様とお飾り騎士の探偵業
これも字下げ。あと改行……。
あらすじの段階で聖女=教会って言われてもなあ。関連性と関係性が今一つ分からない。
ミステリで無駄に改行多いと、情報散って非常に読みづらい……。
「お告げを受けた」と言ってからピンポイントで〜の部分は、言ったのは聖女なのだから言われてからの方が正しいのでは?
錯綜する思いを呑み込んで〜とあるけど、前述の文章からすると全く錯綜してないけど……。
設定はともかく、本当に改行多すぎるのが読みづらい。構成の順番もチグハグだし、シーンの切り替えもわかりにくい。キャラの動きや関係性はきちんと描かれているだけに、かなり勿体無い作品。
19、最愛の皇帝陛下。わたくし、皇国に反旗を翻させていただきますわ。
この会場で最も気になっていた作品。
なんだけど、無駄な改行多いなあ……。あと、ダッシュが三つなのが気になる。
今の自分を美しいと言った、唯一の肉親ではない異性。
これも意味はわかるんだけど、表現としては
今の自分を美しいと言った唯一の、肉親ではない異性。
あるいは、今の自分を美しいと言った、肉親ではない唯一の異性。
とした方が通じる。
しかし、その辺の部分を直せば、第三会場の中では一番好みと言って良い作品。
タイトルが良い感じに不穏な空気を植え、しかし事実は違うという引きも見事で、先の展開が気になる作品だった。
20、ねぇ、破って?
これも改行……。
あと、せめて数字を使うときは半角じゃなくて全角。
本文最初の四行いるかなあ……。多分、後に繋がるための付箋として書いてあるんだろうけど、通しで読んでみると別に必要性を感じないんだよね。
構成で気になるのはそれくらいで、文章の出来としてはかなり上手い。
話がどう転がるかわからない事による期待感はあるから、期待したい。
21、推しカップルの幸せのためと聞いていたのですけれど?
それを見守っていた〜の部分は字下げミスかな。
ミスっぽいのはそれだけで、文章や構成に問題はない。一回読み終わった後、単語の確認の為にもう一周したけど、場面もすんなり入ってくる。
恋愛要素や冒険要素なんかもあり、タイトルからするとかなり意外に終わった作品で、続きを気にさせてくれる作品だった。
22、縁あって、よろずあやかし骨董屋に再就職しました。何故か退魔にも駆り出されます。
字下げ。
苗字が神崎と神前になってるけど、ルビからすると神崎が正しいのかな? ついでに別でも言ったけど、苗字と名前のルビは分けよう。
これも改行かあ……。
引きはちゃんと謎を含ませていて、良い引き。
ただ、内容として退魔にも駆り出されます、は必要かなあ……。
メインタイトル『縁あって、よろずあやかし骨董屋に再就職しました』
サブタイトル『何故か退魔にも駆り出されます』
という雰囲気なので、サブを別のに変えるといい感じだと思う。
23、使用人の幸福
あまり突っ込むところのない作品。
というか、全般的に良くて何も言うところがない。
技術的な部分ではこの会場トップの出来と言っても差し支えないんじゃないかな。
簡単に決着をつけるではなく、含みを持たせた引きも続きを期待させてくれた作品。
24、狗の王
字下げ。
それはともかく、内容や構成はよく出来ているけど、昨今の問題をうまく話に落とし込んでいるだけに、好き嫌いがはっきりと分かれる作品。
ある意味硬派で、個人的には気になる作品。
25、女奉行 伊吹千寿
女奉行が架空かどうかより、江戸時代のキャラ全員に苗字がある方が気になるかなあ……。
(出身などを考慮すれば苗字があってもおかしくはないので、単に気になるというだけである。逆に言えば、わざわざ但し書きをする必要はないと思う)
同志をつどり、は同志を募り、の誤字かなあ。
時代背景や文章、構成はとてもよく出来ていて、時代劇の構成としては満点だと思う。