第1話 クソッタレぇ!!
受験前にこんな事してていいのかなと思う反面楽しくてやめられない…
更新できるうちにしときます。
不定期更新です。受験終わったら安定する…かな?
あれから何年か経ち、だんだんと言葉を覚えてきた。それに伴って、様々なことが分かった。
まずはじめに、やはりここは地球ではなかった。文明が発達しきっておらず、中世ヨーロッパくらいだと思う。ただこれだけだと、時代を超えて生まれ変わるという意味不明だが可能性は無きにしもあらずなことかもしれない。
んー、自分で言っててわからなくなってきたが、そうではない決定的な証拠を俺は目撃した。それは俺が3歳のとき、妹が産まれたときである。
流石に産まれる瞬間を見ることはできなかったが、産まれてすぐの妹を見ることができた。ちなみに最初に俺の隣にいた女の人は母だった。ネアリーというらしい。
話を戻そう。はっきりと言ってしまえんば、とても可愛かった。前世では一人っ子だったので、産まれたての赤ちゃんを見ることはテレビか自分のアルバムくらいでしかなかった。いざ実物を見ると、それはもう可愛かった。ああ、俺はシスコンなんだな、と速攻で悟った。
その時である。母のネアリーが何かをつぶやいたかと思うと、妹の体を淡い光が包んだ。しばらくすると、次第に光は消え、元に戻った。俺は覚えたてのこの世界の言語(フーカ語と言うらしい)で、
「母、赤ちゃ、光った。なに?」
と聞いた。すると、
「カーム、これは魔法って言ってね、不思議な力を使えるんだよ。これで赤ちゃんをお病気から守ってあげるの。カームもいつかすっごい魔法を使えるようになるわよ。なんてったって、私の自慢の息子なんですもの。」
と答えてくれた。カームというのは俺のことらしい。
そして、これが決定的な証拠である。そう、この世界には魔法が存在するッ!
男の子なら誰もが想像したことのあるであろう、魔法。その圧倒的な力で敵をなぎ倒し、ラスボスを倒してお姫様を救う、そんな魔法がこの世界には存在するというッ!
他にも重要な情報はあった。この家がメープラウス家というこの国の中ではそこそこいい貴族であること、自分はその長男であること、それから自分の名前がカーマルトであるということだ。
だがそんなことよりも、魔法の存在はとても大きい。聞くところによれば、この一族は先祖代々魔力の扱いに長けているという。これは俺の魔力も期待が持てそうだ。
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さて、今日は俺の5歳の誕生日だ。この世界では、少なくとも貴族の間では、子供の5歳の誕生日にその子供の魔力を測るらしい。
魔法を使うための力には主に3つの構成要素があるらしい。
1つ目は魔力量だ。水鉄砲に例えるとわかりやすいだろうか。いわば水を入れるタンクと同じである。多ければ多いほど、使うことのできる魔法数は多くなり、長時間の魔法使用もできる。この3つの中で等に重要なところだ。
2つ目は魔法操作力だ。長いから魔操力とでも言おう。これは水鉄砲でいうと連射力や使用者のエイムだ。使い手の技術が高ければ、水鉄砲はより当たるだろう。つまり、魔法を巧みに操ったり、調節したりする。また、発射口が複数あったり2機あったりするものもあるだろう。ほとんどの水鉄砲は単機よりその方が効率がいいはずだ。これによって一つの魔法を維持したり、複数の魔法を同時に行使することができる。
3つ目は、魔錬力だ。そのまま魔力を錬る力、だ。これは発射された水の飛距離や圧力に当たる。圧力が高く、つまり魔力をより多く錬れば、より大きな効果をもたらす。いわば火力を司っている要素だ。
これを測定する専用の魔道具があるらしく、それにより解析·鑑定を行うらしい。一人の男が俺に近づく。
「カーマルト様、これに御手をおかざし下さい。」
「わかりました。」
俺は素直に返事をし、手をかざした。ちなみに普段は素直な親思いの子供として過ごしている。変に賢くしても気味悪く思われるだけだからだ。
おっと、話が逸れてしまった。俺が手をかざしたその瞬間、閃光が迸った。だがそれもすぐに収まり、そこには一冊の巻物らしきものが浮いていた。男はそれを手に取ると、うやうやしく開いた。そして読み進めていくうちに、感心した表情や驚愕したような表情など、一人顔芸大会を繰り広げていたが、最後に少しだけ表情を曇らせて、巻物を両親へ手渡した。
「鑑定式は以上になります。」
そう男は言い残して、部屋をあとにした。にしても、最後のあの曇った表情は何だったんだ?そこはかとなく嫌な予感がするのだが…。
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鑑定の結果だが、まず魔力量。これが驚いたことに、ものすごく高かった。どれくらいかというと、5歳の時点で平均的な大人一人分ほどの魔力量だったのだ。これは歳とともに増えて行くので、成長すればどうなるのか予想もつかないそうだ。
次に魔操力。これもかなり高く、魔力量ほどではないが平均より大きく上振れしているそうだ。
さて、これを読んでいるそこの貴方。どうせ、
「はいはい、まーたお馴染みの異世界チートだろ。もう飽きたんだよ。」
とでも思っているところでしょう。それが違うんですよねぇ。まあ、続きをお読みください。
ハッ…、俺は…?何かに取り憑かれていたような…気のせいか?まあいい。では、最後の一つの要素、魔錬力だが…。『過 去 最 低 値』だ、そうだ。は…嘘だろ?俺の、俺の憧れは、理想は、どうなるんだよぉぉぉぉ!!………
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自己紹介が遅れたな。
俺は野﨑 紅葉。が死んで転生した、メープラウス家の長男、
メープラウス カーマルトだ。そんな俺は、異世界で、魔力量だけの男ということが発覚した。
気分はまさに、大きなタンクに意識を持っていかれて、肝心の威力が全然な不良品を掴まされた小学生のそれである。
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…くぅそっったぁれぇぇぇぇ!!……………