借りられた物
一斉に走り出した1年生。その周りで応援している生徒。
青春だねー。と月と蜜は話していた。月は、お腹空いたなぁ。と思っていた。
蜜が駆り出されたときは驚いたけど、月は楽しみながら見ていた。
蜜が駆り出されたお題が、他校の仲の良い異性だったそうで、仲良いんですか?と、
先生に聞かれて、「それなりに?いや、待てよ、?」とふざけながら答えていた。
蜜が帰ってきてからも、月と蜜は二人並んで見ていた。
告白されている人を見て叫んだり、先生と先生が手を繋いで走っているのを見て笑ったり。
月達の番になった。出席番号的に、蜜が先。蜜のお題は、「一番大好きな人」。
蜜は他校など書いてなかったので、月を引っ張り出した。「月!!」「おしゃー!」と
二人仲良く手を繋いでゴール。会場にお題発表。月は学校名、名前を言った。
月はまだ走っていなかった為、元の場所に戻った。
月のお題は、「助けってもらった異性の他校の人」。
ボールを取ってくれた人しかいないと思った。
その人と同じジャージを着ている学校の人が座っている元に行く。
名前は、、知らない。「さっきボールを取ってくれた人居ますか!」
月は、その人が着ていたジャージと同じ人たちの前で叫んだ。「いないのか、?」と
月が困っていると、後ろから「いくよー」と手を握られた。「え」と月が振り向くと、
「あれ!?俺じゃなかった!?」と、ボールを取ってくれた人が居た。
「あなたです、、」と月が笑うと「行くよー」と手を引かれ、二人でゴールした。
お題を言う番になって、月がマイクの前に立つと会場がざわついた。
告白?と言っている人もいた。「お題は、、助けてもらった異性の他校の人、です。」と
月が言うと、後ろからボールを取ってくれた人が出てきた。名前は、「光」。
光は、帰り際に「光でいいよ」と頭を撫でていった。
借り物競争は終盤。月は、お腹空きの限界で競技を見ていなかった。すると、
「こっち来たよ!」「え、やばいって!!」と周りが騒がしくなった。
月は体育座りをして、顔を膝に伏せていた為周りを見ていない。
すると、月の目の前が暗くなった。「?」と月は思ったが、まあいいか、と伏せていた。
女子がとてつもなくうるさい。「君に。会いたい。」そう思った。
「 月 」
君の、声が。匂いがした。バッと前を向くと、君が居た。
「月。迎えに来た。」と月に手を伸ばす。月は、君が今、目の前に居ることが信じられなくて。
嬉しくて、泣きそうだった。君は、月が動かないから、別の人か?となったが、月の頬に
流れる一粒の涙で確信した。が、中々動かない月を「すまない、後で殴るなりしてくれ」と
月に一声かけた君は、月をお姫様抱っこしてクラスから連れ出した。
あちこちで聞こえる悲鳴。月のクラスの女子はもちろん、蜜も叫んでいた。
月は今の状況に頭が追い付かず、夢なのか、?と混乱していたが、
沢山の悲鳴が聞こえる中、君は月を抱きかかえたままゴールをした。
全員ゴールしたという合図の笛と沢山の悲鳴が会場に鳴り響いた。