偽りの僕
どこの誰かも分からない君。毎日は会えなくて、週一で会っていた。
毎週日曜日の朝~昼過ぎくらいまで。
月は、君に会える日曜日を楽しみにしていた。
月は話しているうちにいつの間にか君に恋していた。
他愛もない話。それでも楽しかった。君との時間はあっという間に過ぎた。
月は太陽が亡くなってから、自分を傷つけるようになった。
自分なんか、と思ってしまうから。でも君と出会って、月の中で何かが変わり始めた。
月は、学校でも蜜以外の友達の前でさえ、”本当の月”を出していない。
出せていない。出す必要がないと思った。そして、蜜以外の子達は、月が”本当の月”を
出せていない、出していないことには気が付かない。
何もかも飲み込んで、笑いたくなくても笑っているように見せて。
だから初対面の人にも、笑顔で接する。偽りの笑顔で。
君とも、初めはそうだった。
接していくうちに、誰も気が付かなかった事を君は気づいて、君は月に
「本当の月が見たい」と、真っ直ぐな目で月を見て言った。
君は、月の素をまだ見ていないことに気が付いていた。
でも月は、「いつの間にか、こうだったから。自分が分からないんだよね、」あははー、と
君に言った。確かにそうだ。家でも学校でも、素を隠していたので本当の自分が
分からなくなった。推しに騒いでる間は素を出せている気がする。多分。
月が君に「だから、ごめんね。見せれないどころか、分からなくて。」と言うと、
君は、「分からないなら一緒に探せばいい」と微笑んみながら、月の頭を撫でた。
君は優しい。誰にでもそうなのかもしれない。でも月は、君に惹かれていた。
月は、君が大好きになって、どんな時も何をしていても、君が頭によぎるようになった。
月にとって、毎週日曜日はご褒美の曜日で毎週の楽しみになっていた。
そんな中、月曜日の朝のHRで担任の先生が「今週の日曜日、交流会をします」と
言い出した。月のクラスは、運動が大好きなクラスなので、絶対勝つ!といき込んでいた。
交流会と言っても、近所の高校が集まり、各校で中を深めながら点数を競おう!という、
親睦会、兼、交流会という年間行事だそうだ。
交流会はドッジボールがメイン。他にも色んな種目はあるが、ドッジボールがメインだそうだ。
でも月はというと。「日曜日、、」とフリーズ。蜜は、「楽しみが日曜だもんねー」と
月の頭を撫でた。月は、せめて先週に言って欲しかった、と落ち込んでいた。
運動は好きだ。特にドッジボールは大好きだ。でも、でも、会えないのは、、!!
「やだっっ!!!!!!!」どしたの~。と安定のオムライスを食べながら、蜜が聞いた。
お昼に入っても、月は落ち込んだままで、中々立ち直れない。
交流会は良い。月も他校とドッジボールをするのは楽しみにしている。
会えないのは、良くはないけど、良しとして。行けないということを、君に言えない。
いや、言う必要はないのかもしれないけど。言ったほうがいい気がするから。
「先生、まじかよ、、」と落ち込みながら、お弁当を食べた。