君と出会うまでの日々
どんな時でも朝日は昇るもので、太陽が長い一日の始まりを告げる。
その長い一日の中で、人々は出会いと別れを経験する。
例え、その別れが一生の別れだったとしても。前を向いて生きていくしかないのだと。
月という女の子が描く出会いと別れを描いた物語。
どんな時でも朝日は昇るもので、太陽が長い一日の始まりを告げる。
その長い一日の中で、人々は出会いと別れを経験する。
例え、その別れが一生の別れだったとしても。
前を向いて生きていくしかないのだと。
この話は月という女の子が高校生になった日からのお話。
「蜜」という月の幼馴染も月と同じ高校で、一緒に通うことになった。
月と蜜は、同じクラスになった。
月は極度の人見知りで、蜜以外の子達と仲良くなるのに半年もかかってしまった。
蜜と月の家から高校は少し遠くて、電車を使って通うことになった。
月達が入学して、友達が増えた半年後。クラスの中で、カップルが増えた。
「彼氏ほしい~」と蜜が唸っていると、「みっちゃんは、すぐ出来そうだね」と、
月が言うと、「出来そうでも出来ないのが現実。」と、蜜は力尽きたように机に顔を伏せた。
月が蜜の頭を撫でると、四時間目開始のチャイムが鳴った。
四時間目は現代国語で、月は睡魔と闘いながら授業を受けていた。
蜜は睡魔に負けて寝ていたが、四時間目終わりのチャイムで元気に起きた。
「月~!ご飯行こ~」と、蜜が月に声をかけると「さっきまで寝てたのにね~」と
月が蜜に言うと、「えへへー」と蜜は元気に教室を出た。
蜜は食堂でオムライスを買った。月はお弁当持参の為、何も買わなかった。
月の学校では、週ごとに屋上を昼休みに使って良い学年が分けらている。
今週は、1年生が屋上を使って良い週だったので月達は屋上で食べることにした。
屋上の真ん中には卒業制作で植えられた桜の木があって、その木は、四月になると
綺麗な桜を咲かせるという。
月達が屋上のドアを開けると、屋上には沢山の1年生が楽しそうにご飯を食べていた。
人多いね、と月達は桜の木の近くにあるベンチに座った。
周りには、恋人と食べている人、友達とお喋りしながら食べている人、
一人で黄昏ながら食べている人。色んな人がいた。
「月は、部活とか入らないの?」あ、これ美味しいーと食べながら聞いてきた。
「興味がないわけではないかなあ」と月も食べながら答えた。
蜜は部活に入っていて、毎日楽しそうだが、少ししんどそうだった。
「ふーん。あ、この前さー、」と話が切り替わった。こんな日常だ。
六時間目は外が雨の為、体育は中ですることになった。
雨は、帰る時間までやむことはなく月が駅についても降っていた。
近所にもう一つの高校があるため、月が帰る時間は生徒で駅が溢れかえっていた。
電車に乗ってイヤホンをした。流れていく景色を眺めながら、ドアの端にもたれる。
駅に着いて、家まで歩く。「あ、そうだ」と月はスーパーに寄った。
月がスーパーから出ると雨はやんでいた。月が急ぎ足で向かった先は家の近所の公園。
おいで、と声を出すと茂みから子猫が出てきた。
月は毎日この子猫に、ご飯と飲み物をあげていた。「びしょ濡れだね、」と、
持っていたタオルで子猫の体を拭き、ご飯あげるねー、と、さっき買った物を
袋から出した。すると、どこからか、お皿を子猫が持って来て「ここに入れて」と
言わんばかりに、「ニャー」と鳴いた。誰か他にも、この子を可愛がっている人がいるのか。
と月は考えながら、美味しそうに食べている子猫を撫でた。