漫才 「BL漫才」
二人「はいどーもー」
ボ「これから漫才させていただきますー」
ツ「ツッコミですー」
ボ「ウケですー」
ツ「よぉし、さっそくちょっとおかしいね、ウケて、ボケでしょ?」
ボ「いや実はね僕、最近新しいBLを思いついたんです」
ツ「漫才を思いつこうか」
ボ「その名もBL漫才」
ツ「なるほど、こう繋がると、てかBL漫才てなに?」
ボ「ボーイズラブ……(美声)漫才です」
ツ「説明になってないねぇ」
ボ「僕思うんですよ」
ツ「はいはい」
ボ「お金が欲しいって」
ツ「あれ急に汚くなったね?」
ボ「今やBLって一大産業なのはご存じですか?」
ツ「まぁ、そりゃねぇ、僕らもねぇ、その(手でお金のマーク」
ボ「汚っ」
ツ「うっさいわ!」
ボ「そこで僕、考えつきました、BL漫才、お笑いとBLこの巨大産業をカップリングしようって」
ツ「なるほど、こう繋がると」
ボ「お金になるって」
ツ「やらしいね」
ボ「そこで考えてきました」
ツ「聞きましょうか」
ボ「お笑い誘い受けのBLヘタレ攻め」
ツ「まってね、思ってたのと大分違うけど、これ一般のお客様はわかる? 大丈夫? 掛け算は大丈夫かな? 説明するね?」
ボ「で、次はお笑い健気受けのBL鬼畜攻め」
ツ「BLが鬼畜な攻めをしても、お笑いは健気に受けるという内容です」
ボ「お笑い誘い受けのこいつ鬼畜眼鏡」
ツ「だれが鬼畜眼鏡や、でてないよ、たぶんでてないよ」
ボ「具体的な漫才の内容も考えてきました」
ツ「仕事が早いね」
ボ「その名もBL小説漫才」
ツ「なるほど、今回ね小説家になろうさんとのコラボだから、BL×小説×漫才と」
ボ「3Pですよ」
ツ「やらしいねぇ」
ボ「じゃぁ僕が小説役をやるんで、○○君、一人で漫才役をやってください」
ツ「…………まって、寂しい、それは僕寂しい」
ボ「僕が小説の語り部をしますので、○○君はそれに合わせて漫才をしてください」
ツ「一人で?」
ボ「始めますね」
照明がフェードアウトしながら、
ツ「え、おいてかないで? ねぇ、まって、ちょっと、寂しいんだけど……ねぇ!」
照明の雰囲気に変わる。ボケだけに照明。この間にツッコミは舞台袖で着替える
ボ「その夜、○○は一人の男を買おうと決めた、アルコールだけでは埋められない穴を、誰かに埋めて欲しかったのだ。便利な時代だ、ピザでもデリバリーするように男が買えるのだから」
ボ「○○はマンションの一室でスマホを片手にワインを飲んでいた。胸にあったのは大きな罪悪感と小さな好奇心、金で男を買うのは初めてなのだ、多少は善悪の境で足踏みをしたが、アルコールで罪悪感を流し込んで、好奇心で電話をかけた。痩せ型の長身、眼鏡が似合う黒髪、少し乱暴にして欲しいと早口で告げると、電話を素早く切った」
ボ「あれから1時間、そろそろかなと玄関とリビングの間をご主人を待つ子犬のようにせわしなくウロついていると、チャイムが鳴った」
SEピンポン
ボ「胸の高鳴りが酷い、まるで初恋と告解と懺悔を同時にする気分だった、○○は震える指先でロックを開け、扉を開いた」
ツに照明、黒いスーツに眼鏡、艶めかしい雰囲気で
ツ「はい、どうもー(ダンディ声」
ボ「現れたのは黒い天使だった、美しい顔立ち、低く湿った重い声、漆黒の髪に黒いスーツ、すこし汗ばんだ頬、そういえばマンションのエレベーターが点検中だったことを○○はすっかり伝え忘れていた、男は既に自前の立派なマイクを片手で握っていた……」
ツ「今から、漫才させていただきます……ツッコミの○○です(ダンディ声」
ボ「そう、今から○○はこの男と漫才をする、夜通しだ、ベッドで疲れ果て、二人の吐息が重なり合うまで漫才をする、この男に、乱暴に突っ込まれ続けてしまうのだ」
ボ「○○はもう我慢できないと、躾のなってない犬のように男のもつマイクへとボケをかました」
ボ「すぐに突っ込まれると思った、いや、突っ込んで欲しかった、むちゃくちゃになるほど激しく突っ込んで埋めてほしかった! ……なのに男は突っ込まない、まるでこちらを値踏みするような冷たい視線、どんなボケも心を掴まれる魔性の微笑み、片手で髪掻き上げ、自分の唇を湿らせるように舐めると、マイクを持ったもう一方の手で○○を追い込むようにして壁をドンっと叩いた! そして耳元で、こう甘く囁いた」
ツ「……なんでやねん(色っぽく」
ボ「そのあまりの美しさに○○は涙を流した、この夜、○○は、本当の男の、本当の突っ込みを知ったのだ」
照明点灯
ボ「ていう感じなんですけど、どうですか?」
ツ「もうええわぁ……(色っぽく」
二人「どうも、ありがとうございましたー!」
もし面白かったら、もう一作品あげておりますので、そちらもどうぞー