表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
第二章 魔導帝国オルテアガ編
77/230

人工女神『プラタナ』稼働実験

 ドーンドーン!

 

 上昇しながら瞬く間に音速を突破した『プラタナ』は二度の衝撃波(ソニック・ブーム)音を発しながら高度を上げていく。


「・・まずは最高高度の実験ね・・」


 そしてそのままの勢いのまま『プラタナ』は上昇を続ける。


「高度千・・二千・・・三千・・・っは!?」


 コンソールの高度計を見ていたクラリスは、ハーティが()()()()()()()()()ことを思い出した。


「ごめん!ハーティ!()()()って言ってもここまでは厳しいよね!だいじょう・・・」


『大丈夫だよー!』


 クラリスが視線を横にやると、きっちりと一定の距離を保ってついてきていたハーティが手をぶんぶんと振っていた。


 その間にも高度計の表示は五千、六千メートルと瞬く間に上昇していった。


「・・・・本当に彼女は人間なの?」


「女神ハーティルティア様の転生体であるハーティさんに出来ないことはありません」


「いや・・そうだけども・・なんだかちょっと自信を無くすわ」


「はぁ・・はぁ・・・」


「・・・っく・・」


 そう言う間にコクピットにいた二人は徐々に息苦しさを感じていた。


「・・・高いところに行くほど空気が薄くなるというのは知っていたけど・・ここまでとはね」


「・・はぁはぁ・・息苦しいですね・・それに寒い」


「・・高度一万メートル・・・これ以上は厳しいわね」


「ハーティ、いったん高度を落とすわよ!」


『わかったよー!』


 クラリスは操縦レバーを操作して『プラタナ』の高度を落としていった。


「そもそも飛ぶことなんて想定していなかったから、コクピット内の()()()については考えてなかったわ。まあ、こんな高度で飛ぶ機会なんてあまりないだろうからしばらくはこのままでいいけど、コクピットの気密性と加圧については今後改善の余地ありね」


「ハーティ、次は最高飛行速度の実験をするわ。可能な限りついてきてね!」


『おっけー!勝負だね!!』


「よし、『プラタナ』の発導機出力を一気に上げながら加速するわ。ハーティ!カウント・ゼロで加速するわよ!」


『了解!』


「『プラタナ』加速までカウントスタート、五・・四・・三・・二・・一・・スタート!!」


 グイ・・!


 カウント・ゼロと同時にクラリスが操縦レバーを限界まで前方へ押し込んだ。


 コンソールに表示されているマナ出力値が一気に上昇すると、コクピット内の二人は一気に前方へと引っ張られる衝撃を感じた。


「・・・っく!防御魔導である程度加速の衝撃は防がれているけど・・それでも体に来るわね!!」


「ユナ、しっかり掴まっていてよ!」


「・・わかりました!」


「時速千・・千五百・・二千・・・二千五百・・・」


「・・三千・・ハーティ!大丈夫!!」


『・・・これ以上は『プラタナ』の防御魔導が持たないかもしれないよ・・!』


『私の防御魔導もそろそろ厳しいかも知れない!!』


「・・発導機の限界出力を知りたかったんだけど、これ以上は機体が持たないわね・・・」


「・・・ていうか・・・ハーティ・・はぁ、もう何も言わないわ・・」


 音速をはるかに超える超高速で飛行する『プラタナ』に平然とついてくるハーティにクラリスはため息をこぼした。


「次は戦闘実験よ!!」


 そう言うとクラリスは『プラタナ』の飛行進路を『ロック・キャニオン』へ向ける。


 超音速で飛行する『プラタナ』とハーティは瞬く間に『ロック・キャニオン』へと到着した。


「・・・いた!手ごろなゴーレムを発見したわ!いくわよ!!」


 クラリスは『プラタナ』をゴーレムの前に着陸させる。


 ハーティもその直後にそれから少し離れた場所へと降り立った。


「さあ・・行くわよ!まずは格闘!」


 ドゥン!


 クラリスが操縦レバーとフットペダルを器用に操作すると、それに連動して『プラタナ』が高速でゴーレムに迫る。


 突然の『プラタナ』の襲来に気づいたゴーレムが防御態勢を取る。


 バァァァァァァン!


 しかし『プラタナ』が放った打撃がゴーレムに命中すると、そのゴーレムは後方に吹き飛びもんどり打ちながらはるか彼方の地面に激突した。


「・・・す・・すごい威力ね・・自分で作っておいてなんだけど、ちょっと引くわ・・」


 想像以上に強烈な『プラタナ』の打撃力にクラリスは一人戦慄した。


 そして『プラタナ』は追撃の為に飛翔しながら倒れたゴーレムとの間を詰める。


「・・次はいよいよ武器のテストよ!!」


「リデューシングソード!!」


 クラリスがコンソールを操作すると、『プラタナ』の背部左側で大剣を保持している補助アームが動き出す。


 そのアームの動きに合わせて持ち手部分が下向きになっていた大剣が縦向きに回転する。


 そして大剣の持ち手部分が左脇下をくぐって、右腕で抜刀しやすい左腰前の位置まで動いた。


『プラタナ』はそのまま日本刀を抜刀するように右腕で大剣の持ち手を掴んで、大剣を鞘から引き抜いた。


 シュイイイイイイン!


『プラタナ』が大剣を構えて、握っていた持ち手にあるトリガーを押すと、その剣の刃になっている部分が白銀色に発光し始めた。


 ギュィィン、ズバッ!


 そのまま『プラタナ』は高速駆動してゴーレムを大剣により袈裟切りで斬りつけた。


 ズズズ・・・ドォォォン!


 何の抵抗もなく胴体を斜めに切断されたゴーレムは、綺麗な切り口を露わにしながら崩れ落ちて行った。


「・・・このハーティが施してくれた『還元』の術式は凄いわね!これだけでも兵器利用されたら大変なことになるわ!」


「それにこの戦闘能力・・本気を出したら『プラタナ』単機で帝国が滅ぼせるわね・・」


「平和的利用・・」


クラリスがこぼした物騒な発言をユナはジト目で牽制した。


「わかってるわよ!」


「・・・まあ、今回は魔導銀(ミスリル)が足りなかったから膨大なマナによる劣化は避けられないけど、いずれこの『リデューシングソード』も神白銀(プラティウム)製にしたいわね!」


「それに各躯体も戦闘機動をすればマナ抵抗による劣化が予想以上に激しいわ」


「伝達系にはマナ抵抗で劣化しない神白銀(プラティウム)ケーブルを使っているけど、それでも二百時間以上の稼働は厳しいわね・・」


 ハーティがいそいそとゴーレムの額から魔導結晶を取り出すのを見届けると、クラリスは帝都へと『プラタナ』の機体を向ける


「ハーティ・・・ユナ・・・本当にありがとう。あなた達のおかげで私の夢が叶ったわ」


「これから何か困ったことがあったら何でも言って頂戴。レゾニア家は一度受けた恩は絶対に忘れないわ」


「あなた達が必要とすれば、私と『プラタナ』は全力であなた達を助けることを約束するわ」


 そう言うクラリスの瞳からは一筋の涙がこぼれていた。


 そして、まるでその涙を見せたくないかのように服の袖で拭って見せた。


「・・・まあ、『プラタナ』の更なる強化にもっと神白銀(プラティウム)が必要だしね!あたしも魔導銀(ミスリル)を必死に集めるから、二人ともこれからも頼んだよ!」


「・・結局それが目的なんですね・・」


『もう!感動して損したわ!』


 ちゃっかりしているクラリスに二人は呆れ果てたのであった。


~設定資料~

人工女神『プラタナ』


挿絵(By みてみん)


 帝国魔導省筆頭研究者であるクラリス・フォン・レゾニアが開発した魔導機甲。

 当初は動力源となる発導機の開発で躓いて完成が危ぶまれたが、その後ハーティ達の協力によって完成した。

 もともと帝国の国家予算で開発していた為に機体は帝国の管理下にあったが、研究が頓挫した時にクラリスが自費で買い取って開発を進めた為に現在はクラリスの個人所有財産になっている。


 女神の力を借りて生み出した発導機のマナ出力は計り知れなく、その有り余るマナによって惜しみなく発揮される機体性能は同じ魔導機甲である『メルティーナ』よりも遥かに高い。

 今後はマナ抵抗による劣化を防いで稼働時間を延ばすことが課題となっている。



スペック


人工女神『プラタナ』

全高19.4メートル

乾燥重量 58.9トン システム重量 64.5トン

動力 プラティウム・マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター 

動力伝達系 プラティウム・ケーブル

装甲 ミスリル合金

定格出力 196000サイクラ 最大出力 不明(機体によるテストが不可能な為測定不能)

最高飛行速度 時速3000km/h(機体耐久性能による)

想定耐用時間145時間(定格出力稼働による)

搭載魔導

飛翔魔導 上級防御魔導 

還元魔導 『リデューシングソード』に搭載

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ