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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
第二章 魔導帝国オルテアガ編
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第五十三回発導機起動実験

「ああ、ハーティルティア様!!やはりいつ見ても偉大でお美しい・・!」


 相変わらずユナは瞳を潤ませながらハーティのことを褒め称えていた。


「・・・・」


 ハーティはクラリスの驚いた様子を見て満足したので、早々に再び擬態魔導を発動して髪飾りを付け直した。


「ああ・・なんと勿体ない」


 ハーティがいつも通りの姿に戻り、ユナは心底残念そうな表情をした。



「・・・」


 そして、相変わらずクラリスは惚けた顔のまま固まっていた。


「・・これでおわかりいただけましたか?」


「っは!?あなたのさっきの姿を見たら全く動けなかったわ。あたしは『女神教』なんてこれっぽっちも信じていなかったけど、あんな姿見せつけられたら考えを改めないといけなさそうね・・」


「・・・まあ、初見では刺激が強かったようですね。まあ、この機会に更なる信仰心を積むのですよ」


「こらユナ。なんで『ようこそ、こちら側の世界へ』みたいな素振りしながら布教活動しているのよ」


「この信仰心のかけらもない腐った国に一人でも『女神教』の信者が増えてあるべき姿に戻るといいですね!」


「爽やかにやり切った感出してるんじゃないわよ!」


「・・ていうか、あなたイルティア王国出身なのよね?あの国は『女神教』に狂ってるっていうじゃない?あなたがそんな感じなのに大丈夫なの?」


 その言葉を聞いたハーティは死んだ魚のような目で遠くを眺めた。


「大丈夫にみえます?」


「・・・聞いた私が悪かったわ」


「ハーティさんはだいぶ王国で()()()()ましたからね。王族たちが皆ハーティさんの前では平伏して、国内でハーティさんを悪く言った人間は次の日には消されて行方不明になるくらいには。ええ・・・」


「いや、本当に何やらかしたのよ・・」


「・・まあ、過ぎ去った事は忘れて!早速このマギうんちゃらなんちゃらかんちゃらーを神白銀(プラティウム)にしましょう!」

 

「『マギ』しか合ってないわよ・・」


「・・てかこのまま神白銀(プラティウム)にできるの!?」


「え、できますよ?私何かつくるセンスが皆無なので、いつもあらかじめ魔導銀(ミスリル)で作られたものを『練金』でそのまま神白銀(プラティウム)化するんです」


「あなたって、何から何まで規格外ね・・」


「じゃあ始めますよ」


「・・お願い」


 ハーティは静かに瞳を閉じると、『マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』と素材になる魔導銀(ミスリル)へ掌を向けた。


 すると二つは白銀色に淡く輝き始め、素材になる魔導銀(ミスリル)の方が白銀の粒子に分解されて、神白銀(プラティウム)化する発導機に向かって飛んでゆく。


 そして溶け合わさっていくうちにそれは美しい白銀色へと変わっていった。


 やがて素材の魔導銀(ミスリル)が残り僅かになる頃にはクラリスの発導機は完全に白銀色に染まっていた。


「・・・ふぅ・・こんな感じでどうでしょうか?ってえ!?」


「あ゛り゛がどうっう゛れじぃよお゛ぉ」


『練金』が終わって一息ついたハーティにクラリスが鼻をすすって泣きながら抱きついていた。


「ほら、まだ実験がおわってませんし!落ち着いてください!ね?」


「う゛んっずびっ!ぐすっ!」


 そのまましばらく鼻をすすっていたクラリスはようやく落ち着きを取り戻した。


「はあ・・白銀で滑らかな美しいフォルム・・素晴らしいわ。ハーティ、本当にありがとう。あなたへの感謝はいくらあっても足りないわ。私もこれからは気持ちを切り替えて『女神教』を信じることにするわ」

 

「あんなこと見せつけられたら信じるしかないものね」


「くれぐれも今見たものやこの神白銀(プラティウム)のことは内密にお願いします」


「約束するわ!」


 クラリスはそう言うと、乱れた白衣を羽織り直してコンソールの前に立った。


「では、これより第五十三回『マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』の起動実験を始めるわよ!」


「五十二回も失敗したんですね・・・」


「け、研究に失敗は付き物よ!・・でも、きっとこれが最後になるわ」


「もし、神白銀(プラティウム)でも駄目なら・・・『神様』でも作れないなら、私には到底無理だもの」


  クラリスは静かに呟くとコンソールにあるマナを込める為の球体に手を置いた。


「あたしは発導機の本体に注意をするから、悪いけどユナは助手としてコンソールの情報を教えてくれる?」


「わかりました」


「ねえ!私は何を手伝ったらいいですか?」


 ハーティはキラキラした顔でクラリスに尋ねた。


「あなたは・・とりあえず成功を祈ってくれる?」


「わかりましたよーだ・・」


 予想通りの回答にハーティは頬を膨らませた。


「ハーティさん、祈るのも大切な役目ですよ。何せ『女神様』直々のお祈りです。御利益が無いはずがありません」


「それもそうね!」


「・・じゃあ、いくわよ!」


 クラリスが言葉と共に魔導演算機のコンソールにある球体部分を両手で包んでマナを込め始めた。


 シュィィィン・・・。


「発導機始動用マナ入力開始、初期始動用魔導式発動!」


「・・初期始動用魔導正常発動、続いてエーテル収束フェーズに移行!」


「空間エーテル収束率五十五パーセント、尚も上昇中!」


「よし、いける!エーテル・マナ変換術式を始めるわよ!」


「マナ変換開始!」


 そして、クラリスがコンソールを操作した瞬間、発導機から眩い白銀の光が溢れ始めた。


(((!!)))


 それはその場にいる誰もが目が眩んでしまうほどであった。


「くっ!眩しくて見えない!こんなの今まで一度も無かった!ユナ!今のマナ出力は一体どのくらいなの!!」


 クラリスの言葉を聞いてユナが目を擦りながらコンソールの数字を読み上げた。


「十九・・」


「たったの、十九サイクラ!?嘘でしょ!この輝きはどう見てもマナの奔流に見えるのに!前の半分も出力が上がらないなんて・・」


 そう言いながらクラリスは項垂れた。


「いや、目が眩んで最後まで見えないんです。ちょっと待ってください・・いち、きゅう・・」


「!」


 そして、コンソールを見ていたユナが目を見開いた。


「いくらなのよ!」


「十九・・万・・!?十九万七千サイクラです!!」


 ガタッ!


 ユナの言葉に驚いたクラリスはスネをコンソールに激しくぶつけていた。


「いっつつ・・痛ぁ・・ごめん、私の聞き間違いか桁を思いっきり間違えている気がするんだけど・・・」


「いえ、ですから二十万二千ってまだ上がってますよ!!」


「・・おそらく素材に使われている神白銀(プラティウム)のマナ抵抗が全くないからエーテル・マナ変換で連鎖反応が発生して想定より遥かに高いマナ出力を実現しているのね・・」


「!とにかくこのままだと目が潰れるわ!一旦止めましょう!」


 ィィィィン・・・。


 発導機を止めると、光が収まって倉庫内には再び静けさが戻った。


 クラリスは呆然と立ち尽くしながら停止した白銀の発導機を眺めていた。


「・・・あのー、クラリスさん?」


 ハーティは動かなくなったクラリスをつんつんと指で突いていた。


「・・・わよ」


「??」


「つくるわよ!魔導機甲(マギ・マキナ)!」


「あなたたちも屋敷に泊まって手伝って頂戴!!」


「ええー!!」


「まだ魔導銀(ミスリル)も残ってるわ!ありったけの魔導銀(ミスリル)を使うわよ!」


「ハーティ!あなた魔導銀(ミスリル)でケーブルを作ったらそれを神白銀(プラティウム)にできるわよね!」


「そりゃできますけど・・・」


「よし!いける!いけるわ!」


「こんなに馬鹿みたいなマナ出力がある『マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』があるのよ!」


「あぁもうこれはそんなものじゃ無いわ、人工的に作った神の力!そうね、これからあたしの魔導機甲(マギ・マキナ)は『人工女神(アーク・イルティア)』と呼ぶことにするわ!」


「今まで妄想で諦めていたあんなものやこんなものを全部搭載できるわ!」


「腕がなるわ!さああなたたち!今日は徹夜よ!」


「ええー・・お腹空いたんですけど・・・」


「シェフを連れてくるからなんでも好きなのをここで食べたらいいでしょ!」


「えー、シェフのご飯なんていらないです。屋台飯がいいです!」


「執事を呼ぶからなんでも市場に買いに行かせなさいよ!」


「やったね!」


「おのれ!食べ物で釣ってハーティさんを扱き使うなんて・・・」


 ユナは悔しさで拳を握りしめた。


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