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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
第二章 魔導帝国オルテアガ編
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ユナの旅立ち2 〜ユナ視点〜

評価を頂いた方に心より御礼申し上げます。

この場にて御礼申し上げます。

 ユナとリリスが城門に到着すると、二人の姿を見るや衛兵は慌てて二人を城内へ案内した。


 そしてすぐに国王陛下への謁見を手配するということで、二人は控え室で待機していた。


 因みに通常であれば、ここに辿り着くまでにあらゆる武器やスクロールの類は一時取り上げられるのたが、何故かユナが腰に携えている剣はそのままであった。


 それもさほど間がない状態で、二人はいよいよ謁見の間へと続く扉の前で国王陛下の声がかかるのを待っていた。


「ユナさん、陛下の前では私がメインでお話します。陛下の御前です。どんなことがあってもあまり驚かれないでくださいね」


「・・・わかりました」


 二人が会話していると、扉の向こうで動きがあったことをユナは肌で感じた。


「二人とも、入られよ」


 威厳のある声を二人が耳にすると、陛下の御前へと歩き出した。


 謁見の間は国王陛下はもちろんだが、二人の王妃や大臣、マクスウェルと錚々たる面子が揃い踏みであった。


 二人は御前につくと、素早く跪こうとする。


「・・・よい」


 しかし、その動きを国王陛下が制止したので、ユナは頭に疑問符を浮かべながらも、そのままでいた。


「ユナよ」


「はっ!」


 突然国王陛下から声がかかったので、ユナは更に緊張して起立した。


 何せ、ユナはハーティの侍女であるが、平民である。


 本来であれば国王陛下と正対して会話することなどありえない身分なのだ。


「此度の王都での戦い、詳しく聖女様より伺った。また余も本礼拝堂で目の当たりにした」


「そなたの活躍、誠に大義であった」


「勿体なき御言葉にございます」


 ユナは起立状態で礼をした。


「聖女様から伺うに、そなたは女神ハーティルティア様より神剣を賜ったと聞く」


「その腰に携えたものであるな?」


「左様でございます」


「で、あるからしてこの場においても余はそなたに帯剣を認めたのだ」


女神(イルティア)の『神剣』は例え余であっても触れることは叶わぬからな」


 神聖イルティア王国にとって『神剣』とはまさに神聖なものである。


 なので持ち主であるユナ以外が触れることは女神ハーティルティア様に対して失礼であると国王陛下は考えたのだ。


「そして、我らが『神聖イルティア王国』は『女神ハーティルティア様』に深く信仰を捧げる一族として、『神剣』の正当な持ち主であるそなたを唯の平民としておくわけにはいかぬ」


 それを聞いたユナ以外の誰もが納得したように肯いた。


「よって余は神聖イルティア王国国王ジル・グレイル・サークレット・イルティアの名に於いてユナに『騎士爵位第一位』の身分を授けるものとする」


「「おぉ」」


 国王の言葉を聞いて場がざわつく。


 騎士爵位とは一代限りではあるが、貴族の身分である。


 つまり、国王陛下はユナを貴族にしようとしているのだ。


「ちなみに、騎士爵位『第一位』としたのは、通常の騎士よりも上位の位を今回新ためて設けた為である」


「同時にそなたには『聖騎士』の称号を授ける。また家名として『エインヘリアル』姓を名乗る事を許可する」


「よって、そなたはこれから『ユナ・エインヘリアル』を名乗ると良い」


「また、『騎士爵第一位』は当代限りでなく受け継がれるものとする」


「そなたの『神剣』はこれから『エインヘリアル家』に子子孫孫と受け継がれるだろう」


「その『神剣』を神聖イルティア王国の為に振るって欲しい」


 国王陛下がそう述べると、リリスがユナへ小声で謁見の作法について伝える。


「私の剣は女神の為。民の為。国の為に」


 ユナはリリスの言葉を聞いた通りの言葉を口にしながら、拳を胸元に置いて跪いた。


「ユナ、よくやった。オルデハイト家当主として私は君の事を誇りに思う」


「勿体なきお言葉でございます」


 そして、場に居合わせたレイノスがユナに一声かけた後、騎士の勲章を手渡した。


 続いてユナはそれを左胸に装着すると、国王陛下はレイノスから受け取った宝剣でユナの両肩に触れた。


「これを以てユナ嬢の騎士爵位授与を完了とする」


「続いて、此度の爵位授与と褒美による金品の授与の話に本来は続くのだが、その前に重要な話を一つ行いたい」


 そういうと、国王陛下は神妙な顔をした。


「此度の事件についての詳細について聖女様より話を聞いたので、今回はこの場にいる者にそれを共有したい」


「まず、本礼拝堂の戦いで『邪神イラ』が語っていた『黒の魔導結晶』についてだが・・・」


「聖女様の話によれば、今回の事件を巻き起こした『黒の魔導結晶』と同様のものが現在世界中に散らばっているらしい」


「そして、邪悪な者がそれを手にする事により『邪神デスティウルス』が復活する可能性がある」


 ざわざわ・・。


 国王陛下の言葉を聞いて、事の仔細を把握していない大臣達が騒ぎ出した。


「皆が知っての通り、『邪神イラ』は女神ハーティルティア様の神技により滅ぼされた。だが、聖女様が言うには、他の『邪神』も復活している可能性があると言う」


「しかし、女神ハーティルティア様は此度の戦いにより力を使い果たして再びお隠れになられた」


 その言葉を聞いて、場にいる誰もが悲しい顔をした。


「女神ハーティルティア様は再び大いなる厄災が起きた時に再び我らに救いの手を差し伸べるとおっしゃられたが、我々としても邪神復活は何としても阻止しなければならない」


「だが、『黒の魔導結晶』について未だなんの情報がないのも事実である」


「そこで、我々は各国に調査団を派遣して『黒の魔導結晶』についての手がかりを探すことにした」


「これについてはこれから同盟国とも協議しようと思う」


 国王陛下はユナの方へと目をやった。


「もし、『邪神イラ』以外の存在が復活していた場合、我々の調査活動に対して『邪神』共からの妨害も考えられる」


「これについては聖女様を筆頭に『女神教会』が現在、『邪神』に対して有効となる上級浄化魔導について研究をしている」


「しかし、今のところ、女神ハーティルティア様がお隠れになり、『邪神』を滅ぼすことができるのはそなたの『神剣』のみである」


「そこで、そなたには我々の筆頭となって『黒の魔導結晶』の捜索を頼みたい」


「ついては、先ほどの金品授与の話に戻るのだが、調査の任務にあたり、その支度金としてハーティルティア金貨三千枚をそなたに授与したい」


「そして、そなたには調査団の筆頭となってもらい、必要な人や物品は国から望むものを支給することとする」


 ざわざわ・・。


 国王陛下からの破格の提案に再び謁見の間が沸き立った。


 しかし、そこでリリスが一歩前に出た。


「畏れ多くも申し上げてもよろしいでしょうか」


「何より聖女様であります。構いません」


 国王陛下はそう言いながら微笑んだ。


 『女神教』を信仰するイルティア王国にとって『聖女』や『総司祭』は国王陛下とて無下に対応することができない存在である。


 なので、このような丁寧な言い回しになるのだ。


 リリスは国王陛下に促されて口を開いた。


「『黒の魔導結晶』の調査については、今のところユナ様単独にて動いて頂いた方が良いかと思います」


 そう言いながらリリスはユナに目配せした。


 その目を見て、ユナはリリスの考えを何となく汲み取った。


 ざわざわ・・。


 そして、リリスの提案に皆が騒ぎ出した。


「理由を伺っても?」


 国王陛下は顎に手をやりながらリリスに尋ねた。


「はい、まずは『黒の魔導結晶』の存在については内密にしておくべきだからです」


「今回の事件のように『邪神』はあらゆる人間の心の弱みにつけ込み、『黒の魔導結晶』を用いることで正気を失くさせて『闇の力』を与えます」


「また、そうでなくても『黒の魔導結晶』を、悪用しようと言う人間も存在するはずです」

 

「『邪神』に対する有効な対処法がない今、『聖騎士』になられたユナ様以外が闇雲に『黒の魔導結晶』の調査を大々的に行うのは得策ではないと思います」


「更にはユナ様以外がもし調査の時に『邪神』と相対した場合はむざむざ『黒の魔導結晶』についての情報を奪われてしまう可能性もあります」


「それは、たしかにそうですが・・・ですがこの大陸だけでも広大です。手がかりもないままユナ嬢一人きりでどのようにすれば・・」


 そう言って国王陛下は苦悩の表情をした。


「そのことについてですが、ハーティルティア様がお隠れになる前に私へ授けていただいた『神託』の中に『神剣の騎士』であるユナ様を『魔導帝国オルテアガ』へ向かわせよとありました」


「おそらくハーティルティア様はそこに何らかの手がかりを見出されたと思われます」


「おおなんと・・」


「ハーティルティア様が・・」


 実際はそんなことは全くないのだが、聖女であるリリスの発言を疑うものは誰もいなかった。


「そのような『神託』であれば、我々は従うしかあるまい。だが、せめて『魔導帝国オルテアガ』までは護衛の部隊を付けたいのだが・・・」


 それに対してリリスがすかさず反対の意を表した。


「いえ、それも避けるべきです。いずれにしても万が一道中で『邪神』と遭遇した場合に対抗手段がない護衛の方は逆にユナ様の弱点になります」


「また、魔獣や盗賊の類に『神剣』の持ち主であるユナ様が負けるとも考えにくいです」


「寧ろ、秘密裏に動く為にユナ様の『聖騎士』としての身分は隠すべきと思います」


「だが、そうなれば他国で活動する為に必要なたしかな身分がないのでは?」


 国王陛下の意見は尤もであった。


「ですから、ユナ様には『二級冒険者』の位を別にお渡しして、冒険者として活動するというのはいかがでしょうか」


「『二級冒険者』であれば、どの国に行ったとしても門を閉ざされることはないでしょうし、ユナ様の実力をもって王都の冒険者ギルドへ国王陛下が直々に推薦して頂ければ、いきなりその位を得ることも可能かと思います」


「もちろん、その間に更なる『邪神』への対抗策は私たちでも追求していきます」


「うむ。確かに具体策がない以上それが一番でしょうか。では聖女様の言葉に倣い、そのようにしましょう」


 そう言うと国王陛下は一度咳払いをする。


「神聖イルティア王国国王ジル・グレイル・サークレット・イルティアより『聖騎士』ユナ・エインヘリアルへ命ずる」


「はっ!」


 その言葉にユナは姿勢を正した。


「そなたには準備が整い次第、直ちに『魔導帝国オルテアガ』を足がかりとして『黒の魔導結晶』の回収を命ずる」


「これは如いてはイルティア王国だけではなく、全世界を救うための過酷な任務である。かならず、やり遂げよ」


「任務達成の際には其方にさらなる褒美と名誉を授けることを約束しよう。心して進まれよ」


 それを聞いて再びユナは拳を胸にやって跪いた。


「女神ハーティルティア様にかけてかならずや遂行してみせます」


 そして、ユナはこの日『公爵家令嬢の侍女』から『二級冒険者として密命を受けた『聖騎士』となった。



 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・・。


 そりから数日が経ち、金に輝くギルドカードを手にしたユナは王宮で盛大に見送られた後、リリスと王都の外周門の外から離れたところで佇んでいた。


 ユナはこれからの冒険に備えていつもの侍女服ではなく、下は黒のニーハイソックスとショートカットブーツに白のミニ丈プリーツスカート、上はヘソ出しのチューブトップに皮を舐めした半袖のショートブルゾンを羽織るという、いかにも冒険者風の装いになっていた。


 もちろん、その腰には『神剣』である『女神(イルティア)(・レ・)(ファティマ)』を携えている。


 そして、リリスはユナと内密な話をする為に、護衛の人間も一時的に声の届かない距離へと外していた。


「聖女様。今回は私のためにありがとうございました」


「いいえ、礼には及びません。これは『私の為』でもあります」


 すると、リリスはきりっとユナに視線を合わせた。


「ハーティルティア様は大変慈愛に溢れるお方ですが、なにぶん自身のことは無頓着です」


「本当は私がハーティルティア様の側で侍りたいのですが、立場がそれを許しません」


「ですからユナさんがハーティルティア様のことを支えてください」


「・・はいっ!」


 そう言うユナの瞳は潤んでいた。


「時が来れば、私もかならずハーティルティア様の元へ向かいます」


「それまで、親愛なるハーティルティア様の事を頼みます」


「わかりました!」


「では、しばしのお別れですが・・お気をつけて」


「聖女様も、王都を頼みます」


「ええ。わかりました」


 その言葉の後、ユナは瞳を閉じて呼吸を整えると『ブースト』を発動する。


 ドゥン!


 そして、勢いよく駆け出した。


『ブースト』により強化された脚力による全力疾走により、ユナの視界から景色が勢いよく後方に流れてゆく。


(待っていてください、お嬢様・・)


(今、あなたの元へ『ユナ』が参ります!!)


 ドゥン!!


 ユナは晴天の下、東に向けさらに加速して駆け出した。







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