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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
第一章 神聖イルティア王国編
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女神の力

『ハーティルティアァァァ!!』


 バババババッ!


 イラはデビッドの意識を乗っ取るのを諦め、露出した上半身から魔弾を連射した。


 ビシュッビシュッビシュッ!


 しかし、ハーティはそれらの軌道を全て見切って、打撃と蹴りの動きで受け止めた。


 先ほどの魔弾は女神化する前のハーティに接触するとその部位の身体を侵食していたが、今受け止めた魔弾は全てハーティに接触した瞬間に消滅していた。


「神技!『アブソリュート・フィールド』!」


 ハーティが極大防御魔導を一瞬で発動する。


 すると、本礼拝堂全体が白銀色の光に包まれた。


 その防御魔導が発動した後に、廊下からアンデッドが本礼拝堂と入ろうとすると、その光に包まれた瞬間に一瞬で消滅した。


 そして、ハーティはユナ達がアンデッドと交戦している方向に向けて掌を向けた。


「神技!『ホーリーライト』!」


 ハーティの放った『ホーリーライト』は、リリスの放ったそれとは桁違いの規模で発動して、本礼拝堂にいた全てのアンデッドが一撃で消滅した。


「・・・なんという、力なのだ・・・!?」


 その桁違いの光属性魔導を目の当たりにして、国王陛下は感嘆の声を上げていた。


「素晴らしいです!流石ハーティルティア様!圧倒的な力です!」


 リリスは、この世界では初めてとなる女神化したハーティの戦いを見て、賞賛の声を上げていた。


「・・・これで邪魔立てする者はいなくなりましたよ」


『・・・っく!おのれ!』


 魔弾がハーティに通用しないと悟ったイラは、デビッドの体の制御を奪ってハーティに迫る。


 そして、手足に高濃度の『闇の力』を纏って徒手空拳で攻撃を始めた。


 シュバババババ!


 バシシシシシ!


 その、目にもとまらぬ速度のラッシュをハーティは全て体術で受け流す。


 そして、そのままの勢いでイラに回し蹴りを食らわせた。


 ドゴォォォォ!!


 そして、それをまともに食らったイラはデビッドの肉体ごと吹き飛ばされていった。


『ぐぁぁぁぁぁぁ!』


 全身に可視化するほどのマナを纏ったハーティの蹴りは、イラ本体にも大きなダメージを与えていた。


『くっ、まだまだだ!!』


 すると、イラはデビッドが身に着けている『黒の魔導結晶』を取り出す。


 そして、手にした魔導結晶が光り輝くと、イラの体を構成する『黒い霧』がさらに巨大化した。


 それと同時に、イラが受けたダメージは消滅してさらに力が増したような様子となった。


『デスティウルス様復活の為に『黒の魔導結晶』の力は温存しなければならなかったが、出し惜しみは無しだ』


『貴様さえ亡き者にすれば、この世界の人間共が我々に対抗する手段はなくなる!その後でこの世界をじっくりと蹂躙してやるぞ!!』


(・・・『黒の魔導結晶』がどれだけの力を秘めているかわからない以上、このまま何度も回復されてしまっては厄介だわ・・)


(それに、この場所は私がアンデッドの侵入を防いでいるけど、王都では今現在もアンデッドが増え続けている・・)


(やはり、王都を救うには・・王都全体の浄化とイラを滅ぼすことを同時に行わないといけない・・・)


(それに・・これ以上デビッドを苦しめたくはないわ・・)


『これならどうだぁぁぁぁ!』


 ハーティが物思いに耽っていると、イラが先ほどよりも力を増して迫ってきた。


 バシィィィ!


 ハーティはイラの拳を受け止めて、そのままイラごと振り抜いた。


 バッキャアア!!


 その衝撃でイラがもんどり打ちながら吹き飛ばされて転がっていった。


 その隙に、ハーティはリリスの下へ飛び寄った。


「!?ハーティルティア様??」


「リリス、お願いがあるの」


「ハーティルティア様の願いであれば何なりと」


 そう言いながらリリスが跪いた。


「このままここで戦ってイラを滅ぼしても結局王都は救えない。だから私は()()を出すわ」


「!?」


 ハーティの言葉を聞いて、目を見開いた。


「今から私は最大級の広域浄化魔導を発動するわ。流石に意識を完全に集中するから、今この場に発動している防御魔導も一旦解除するわ」.


「その間、イラとアンデッドから時間を稼いで欲しいの」


「この魔導を発動したら、おそらく一時的にここら辺一帯の『エーテル』を全て使い切ってしまうから、大きな隙ができるわ」


「だからチャンスは一度キリなの。お願いね!」


「!!かつて『神界大戦』で邪神の軍勢を滅ぼした()()を使うんですね!畏まりました。必ず時間を稼ぎます」


「信じてるわ、お願いね!」


 そう言うと、ハーティは目を閉じて意識を集中し始めた。


「ユナさん、マクスウェル殿下!」


「今からしばらくハーティルティア様の防御魔導が解除されます!その間、押し寄せるアンデッドを食い止めてください!」


「それから神官の皆さん、今一度皆さんの持てるマナを振り絞って浄化魔導をイラにぶつけて下さい!」


「私も残存マナを出し切ります!」


「今こそ、顕現された女神ハーティルティア様へ女神教会の総力を捧げる時です!」


「皆さん、行きますよ!」


「「「はい!聖女様!」」」


 皆が意気込んでいると、国王陛下と王妃陛下が徐に王冠やティアラに嵌っていた大粒の魔導結晶を外して、リリスへ差し出した。


「聖女様、余のマナも使ってくだされ」


「妾のもお願いします」


「両陛下・・・」


「この国、いやこの世界は女神ハーティルティア様からもたらされたもの。『女神(イルティア)』の名を冠する国の主として、今こそ女神様にお力添えしたいのです」


 そう言いながら二人は祈るように手を合わせた。


「両陛下・・・」


 そして、とうとうハーティの防御魔導が解除されて、本礼拝堂にアンデッド達が雪崩れ込んできた。


「殿下!行きましょう!」


「ああ!」


 ユナとマクスウェルはそれを足止めする為に駆け出した。


『貴様、もしや!?ならん、ならんぞぉぉぉ!!』


 立ち上がったイラがハーティの意図を察したのか、動き出そうとしていた。


「そうはさせません!『ホーリーライト』!」


「「「『ホーリーアロー』!」」」


 動き出そうとしたイラを足止めすべく、リリスと神官達が浄化魔導を放った。


『ぐっ!小癪な!下等生物めが!!』


 神官達全員とリリスが放った浄化魔導の手数によって、動き出そうとしていたイラの動きが防がれていた。


『この程度の魔導で我を止められると思うなぁぁぁぁ!』


 イラはそれに両腕を振り回して抗っていた。


「・・・くっ、ハーティルティア様!こちらはあまり長く持ちません!なるべく急いでください!!」


「・・・・・・・!!」


 ハーティは瞳を瞑りながら顔を顰めていた。


 そして、いよいよイラとの戦いは最終局面を迎えようとしていた。



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