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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
第四章 エルフの国リーフィア編
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リーフィアの女王1

「クロード、落ち着いて聞いてね。彼は『ナラトス』と言って、確かに『邪神』と言われる存在よ。帝都ではお互いに全力で戦い合ったこともあるわ」


「だけど、それから色々あって、今は私にとって大切な仲間となったのよ。さっきの巨人型の魔導具・・『人工女神(アーク・イルティア)』と言うのだけど、あれに乗って『アーティナイ連邦』でも一緒に戦ったわ」


「だから、彼のことを恐れないでほしいわ」


 ハーティの言葉を静かに聞いていたクロードは『ふぅ・・』と短く息を吐いた。


「わかりました。たとえ『邪神』であったとしても女神ハーティルティア様がお認めになった方、我々からは何も言う事はございません」


「ありがとう。で、こっちが『クラリス』で彼女が『ニアール』と言うのよ。『ユナ』はもう知っているわね?皆私の大切な仲間達よ」


「よろしくお願いします」


 クロードはハーティが紹介した人達へ順番に握手をした。


「で、繰り返しの話になるのだけれど、私達は『リーフィア』の女王陛下に聞きたいことがあってここまで来たんだけど、お会いする事は可能かしら?」


「もちろんですとも!至高なる女神様がお会いすると仰るのであれば、陛下は喜ばれるでしょう」


「陛下は『リーフィア』建国の時代から、ずっとハーティルティア様のことを偲んでいましたから」


「では、さっそく宮殿へ向かいましょう!!おい!誰か神輿を持ってきてくれ!」


「うえっ!?神輿!?いらない!いらないから!」


 ハーティは神輿を用意しようとするクロードを慌てて静止した。


「大丈夫です!神輿は女王陛下が公務で使うものです。何せ『リーフィアの樹海』は道らしき道が無いので・・ですから乗り心地は問題ありません!」


「問題だらけよ!私はそんなのに乗るのは嫌だわ!ここから大して距離も無さそうだし、歩いて行くわよ」


「ぐ・・わかりました。ではせめて街に入りましたら馬車を用意しますのでそちらにお乗りください。・・ユリシア!」


「はいっ!」


 クロードはユリシアを呼ぶと、彼女に何やら耳打ちした。


「御意!ではハーティルティア様、わたくしは先に失礼します!」


 シュタッ!ガサガサ!シュタッ!


 ユリシアはハーティに向かって『最敬礼』をすると、器用に枝の間を潜り抜けて去っていった。


「ではハーティルティア様、ご足労かけますが『リーフィア』までご案内します。王宮騎士達はハーティルティア様とお仲間を護衛しろ!その他の兵士は先行して枝葉を払って道を作るのだ!」


「「「御意!!」」」


 そして、ハーティ達はクロードの案内で『エルフの国リーフィア』へと向かったのであった。






 ・・・・・。

 ・・・・・・・。






 程なくして顔パスで関所を通過したハーティ達は、クロードが用意した馬車に乗って『リーフィア』の王宮へ向かっていた。


 ちなみに関所の衛兵は、ハーティを見た瞬間に拝みながら咽び泣いていた。


「王宮の馬車って聞いたけど、普通の貴族の馬車と変わらないわね。うちのレゾニア男爵家の馬車の方が豪華なくらいだわ」


「クロードさん曰く、『リーフィア』の女王陛下はあまり豪華なものを好まないらしいですね。自身が長く生きているので自ずと実用性を意識するようになったとか」


「そもそも平坦な道が少ない国だから馬車に乗って移動する習慣がないのであろうな」


 ナラトスが言うように、『リーフィア』の街は谷の斜面を利用して発展している為、高低差が大きく平坦に舗装された街道は少ない。


 主な街道は関所と街の中心にある王宮を結ぶ主街道のみで、あとは階段や坂道の多い枝道が伸びているような街並みであった。


 家屋などの建物は豊富にある樹海の樹木を用いた木造建築が多く、中には大木の幹をそのまま利用したような住居もあった。


 他国と交流せず、自給自足で生きているということもあり、自然と共存する独自の文化を持つ様子が街並みからも感じることができた。


 そして、ハーティがやってきたことに対して街が騒ぎになる事を危惧していたハーティであったが、クロードが送り出したユリシアによる先触れが伝わったのか、街にいる人々は騒がずに道の端で揃って『最敬礼』をしていた。

 

「騒ぎを嫌うハーティルティア様に配慮して静かに『最敬礼』をする、まさに『女神教』信者としてよく統率された民達ですね」


 そして、そのまま何事もなく主街道を進んでいくと、やがて王宮が見えてきた。


「あれが・・王宮・・」


 ハーティが思わず言葉を漏らす程、『リーフィア』の王宮は幻想的であった。


 王宮の中心には、『リーフィアの樹海』にあるどの木々よりも高くて巨大な木が聳え立っており、その大木からはマナと思われる白銀色をした光の粒子が輝いていた。


 そんな幻想的な大木を取り囲むように複数の煉瓦積み建築が建っており、城壁は大木を中心にした円の形状をしていた。


 その城壁にも木の根やツルが巻き付いており、広大な城の背後に聳える谷の頂上からは幾つもの美しい滝が地上に向かって流れ落ちていた。


 その幻想的な光景は、ハーティがかつて存在した『神界』の一部を切り取ったようであった。


「素晴らしい・・とても美しい王宮だわ・・!」


 ハーティが感激している間も馬車は敷地の中を進んで行き、とうとう王宮建屋前の馬車停車場まで到着した。


 そこには既に数十人にもなる侍従や文官、騎士達が『最敬礼』で待機していた。


 馬車が完全に停車すると、クロードは扉を開け放って片膝をつきながらハーティをエスコートした。


 そして、ハーティが馬車から降りた瞬間にクロードは声高らかに登場を皆に知らしめた。


「女神ハーティルティア様の御成ーー!」


 パパァァー!


 直後、大音量のトランペットの音が響き渡った。


「なんか、あんたが女王様になったみたいね」


 ニアールの指摘は言い得て妙であった。


「・・なりませんっ!」


 その時、城の内部から小さな話し声が聞こえてきた。


 バァン!


 その声を聞き取った門兵達が巨大な扉を開け放った。


 すると、開け放たれた扉の向こうから、ティアラを戴いた美女とそれを嗜めている様子の美男がハーティ達の方へと向かってきた。


「落ち着いてください、陛下!陛下は陛下らしく玉座で待っていただかなくては威厳というものがっ!!」


「黙りなさい!これが落ち着いていられるものですかっ!むしろわたくしの方からお迎えにあがるのが筋と言うものです!そんな威厳など、犬にでも食べさせたら良いのです!」


「 『エルフ』ってみんな見た目が若いから、誰が偉い人なのかわかりにくいわね」


 ニアールが言う通り、目の前にいる女王陛下らしき女性と宰相らしき男性はどちらも若い見た目をしている美男美女なので、側から見ればただの痴話喧嘩のように見えてしまっていた。


 そして、宰相から視線を外した『リーフィア』の女王とハーティの視線がパチリと合った。


「・・・・っ!」


 その瞬間、『リーフィア』の女王は両手で口を覆って頬を赤く染めながら感極まった表情となった。


「ああ・・五千年・・どれほどこの日を待ち侘びたことか!!」


 そう言うと、女王は豊かな胸をたゆんたゆんと揺らしながらハーティへと駆け寄った。


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