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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
第三章 商業国家アーティナイ連邦編
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『カームクラン』防衛戦4

 ほむらは見張り櫓へ向けた拳に装着されている籠手にマナを込める。


 バッシュウ!!


 すると、籠手から先端に錘のようなものが付いたワイヤーが勢い良く発射され、見張り櫓の軒先に張り付いた。


 ウィィィィン・・。シュタッ!


 そのまま、ほむらはワイヤーの巻き取り速度を調整して落下の勢いを殺しながら地面に着地する。


 ウィィィィ!!


 そして、軒先に先端が張り付いたままの状態で真上に伸びているワイヤーを再び高速で巻き取った。


 それにより上方向に勢いよく引き上げられたほむらは、軒先の高さを越えた時点で張り付いた先端部を切り離し、見張り櫓の高さよりも更に数十メートル程高く跳ね上がった。


 続いて一番近くを飛行している『ワイバーン』に狙いを定めて拳を向けると、再び籠手からワイヤーを発射した。


 バシュウウ!!ピトッ!


 ほむらは見張り櫓の時と同じ要領で『ワイバーン』に張り付いたワイヤーを巻き取りながら上昇すると、再び『ワイバーン』の飛行している高度よりも高いところまで舞い上がった。


「クラリスさんが『プラタナ』に搭乗する時に使っていた魔導具を籠手に搭載してもらって良かったです!本当にクラリスさんの魔導具は素晴らしいですね!」


 ほむらは空中で再び小太刀に手をかけながら呟いた。


 ほむらは『白銀の剣』との合同クエスト時、クラリスが出現させた『プラタナ』に搭乗する際に使用していた魔導具を見て、自分の戦闘スタイルにも生かせると考えた。


 そこで、ほむらはクラリスにお願いして自分用の籠手として魔導具の制作をお願いしていたのであった。



 シャキン!


「はあぁぁぁ!」


 ザシュッ!


 魔道具のワイヤーを駆使して空を飛び跳ねるほむらは、その後も『ワイバーン』を蹂躙し続けた。


「・・・・・」


 一方、ハンゾウとほむらを補助していたクウゼンは瞳を閉じて風の流れを感じ取っていた。


「・・・うむ、風の流れが変わった・・か。しばらくは某の補助は必要あるまい」


 シャララン・・。


 クウゼンは独り呟くと、錫杖を『ワイバーン』の群れへと向けた。


「某の風魔導は、元より攻撃に使うものである!」


 バッバッバッ!


 クウゼンが『印』を刻んで体内からマナを練り上げる。


「中級風属性魔導!『エアカッター』!」


 シャララン!


 クウゼンが詠唱(キャスト)を完了して錫杖を鳴らすと、その先から風による円形の刃が生まれた。


 まるでチャクラムのようになったそれは無数に生み出され、『ワイバーン』の群れへと真っ直ぐ飛び出した。


 ザシュ!ザシュッ!


「ギャアアア!!」


 そして、その風の刃は次々と『ワイバーン』を切り刻んで堕としていった。


 クウゼンは高位の魔導士であると同時に風属性魔導の素質が非常に高い。


 その為、『ワイバーン』を仕留めるに足る風属性魔導を連射することが可能であった。


 しかし、幾ら素質があるとは言え魔導発動に必要なマナが自身のマナ出力を上回る限りは、いずれ体内に蓄えられているマナも枯渇する。


 クウゼンはいよいよマナ切れにより額から汗を流していると、徐に懐に手を差し込んだ。


 バッ!


 クウゼンが懐から差し込んだ手を引き抜くと、その手はそれぞれの指の間に魔導結晶を掴んでいた。


 自分で魔導結晶にマナを込めることが出来る高位魔導士は、いざと言うときの為に自分の持つ魔導結晶にあらかじめマナを充填しておく者が多い。


「まだまだ戦いはこれからであるぞ!」


 クウゼンは手持ちの魔導結晶からマナを取り出すと、不敵に笑った。


 連邦軍と『旋風』等の冒険者達の活躍により『ワイバーン』はその数を減らしていく。


 しかし、それでも撃ち漏らした少数の『ワイバーン』達が『カームクラン』上空を飛行しながら市街地に向かって火球を放出しはじめた。


 ゴウウウ!


 ドガァァン!!



「くそっ!こっちの家屋も火の手があかったぞ!消火を急げ!」


「行きます!水属性魔導!『アクアレイン』!」


 ザアアアアア!


「よし!ここはもう大丈夫だ!次へ行くぞ!『旋風』ばかりにいいカッコはさせねぇぜ!」


「はいっ!」


『旋風』以外の冒険者達も自分達の持ち味をそれぞれ生かして、取りこぼした『ワイバーン』の討伐や火災の発生した建物の消火活動に当たっていた。


「うぁぁぁ!?熱いぃぃ!?いてぇぇよおぉぉ!」


 ワイバーンの攻撃により大火傷を負った冒険者が自分の皮鎧を脱ぎ捨てながらのたうち回る。


 そこに巫女服に身を包んだ『神社庁』の女性神官が駆け寄った。


「大丈夫ですか!今治癒しますね!・・・・・っ!『ヒール』!」


 パアァァァ!


 その巫女はポーチから魔導結晶を取り出して詠唱(キャスト)すると、火傷を負った冒険者に治癒魔導をかけた。


 それにより火傷の傷は完全とは言わないが、かなり軽減された。


「今は物資がないので完全回復とはいきませんがこれで大丈夫でしょう!」


「いや、かまわねぇよ!ありがとよ!可愛い巫女ちゃんよお!」


「か・・かわっ!?わ、私は自分の責務を全うしているだけですので!!あなたに女神ハーティルティア様の御加護があらんことを!!」


 巫女は治癒した冒険者の言葉で頬を染めると、汗を飛ばしながら次の怪我人の元へと向かっていった。




 ・・・・・・・・。





「今の戦況はどうかえ?」


「うむ、冒険者達が協力してくれているゆえ、『ワイバーン』の数は減っていっておる。このまま行けばじきに殲滅できるであろうな」


 詰所に控えるミウとシゲノブは『ワイバーン』討伐に確かな手応えを感じていた。


「市街地の負傷者はどうかえ?」


「それも神官達の治癒魔導によってかなり数は軽減されているな。まあ、それでも数十人は死傷者が出ているがな」


「『ワイバーン』の規模を考えたら十分な戦果じゃろう。これで『白銀の剣』も『邪神』討伐に集中できるじゃろて」


 そう言いながら、ミウは安堵の息を漏らした。


 皆が力を合わせることにより、『カームクラン』市街地防衛の戦いは終結へ向かおうとしていた。


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