ワイバーン討伐クエスト4
ヒュオォォォォ・・・。
ハーティはしばらくそれぞれの戦闘を空中で留まりながら眺めていた。
「ユナとクラリスはまあ・・いつも通りとして・・『旋風』の皆さんもなかなかやるわね」
「じゃあ、私もいきますか!!」
ジャキン!シュイイン!!
ハーティは腰に装着した『ガンブレード』を展開すると、『魔導莢』を装填し始めた。
「よし!」
ドォォォン!
そして、『ガンブレード』の装填が完了すると『ワイバーン』の方へと飛翔した。
初速で音速を突破したハーティは、爆風のような衝撃破を放ちながら『ワイバーン』へと肉迫する。
「たぁぁぁぁぁ!」
そのまま、超高速で接近することによりハーティの存在に気付いてすらいない『ワイバーン』に向かって、ハーティは毎度お馴染みの飛び蹴りをお見舞いした。
パァァァン!!
その凄まじい運動エネルギーを持ったハーティの飛び蹴りによって、防御魔導を持たない『ワイバーン』は成す術もなくその場で爆散した。
「グガガ??」
直後、仲間の爆散に気付いた他の『ワイバーン』数匹がハーティに向かって大口を開ける。
キィィィーゴウゥゥゥ!!
そして、素早くハーティを取り囲んだ『ワイバーン』達は自身の口から火炎魔導を放ってハーティへ集中砲火を浴びせた。
それらは全く防御態勢をとっていないハーティにすべて命中する。
チュチュチュドドドドーン!!!
それによる大爆発の衝撃が大気へと木霊した。
「な!ハーティ殿!!」
「ハ・・ハーティさんが!!??」
「なに!!?」
その爆発に気付いた『旋風』の三人が絶望の表情を浮かべた。
しかし、風で流れた煙の向こうには相変わらず無傷のハーティが空中に浮かんでいた。
「私にそんなしょぼい火炎魔導なんて効かないわ!」
ズバッズバッ!
「まあ・・当たり前ですね」
ギュイィィン!スバ!バシュ!
『ハーティはそんなヤワじゃないから安心しなさい!』
普段のハーティを見ているユナとクラリスは爆発を見ても全く気にも留めていなかった。
「次は私が炎をお見舞いする番よ!」
ハーティは『ワイバーン』の攻撃をやり過ごすと、体を回転させながら『ガンブレード』のトリガーを引いた。
バババババ!
ハーティがトリガーを引いたことにより、リボルバーが高速回転して心地よい炸裂音を鳴らしながら、装填された『魔導莢』の全てが赤熱した状態でパージされた。
チュドドドドーーーン!!
そして、それによりハーティを円状に取り囲むように複数の『爆裂魔導』が発動した。
ハーティは爆風に巻き込まれた『ワイバーン』が火だるまになりながら次々と墜落していくのを一瞥しながら、リボルバーに『魔導莢』を再び装填する。
「次はこれをお見舞いするわ!!」
ドゥルルルルル!!
『魔導莢』をすべて装填し終えたハーティは距離を置いて警戒しながら飛行する『ワイバーン』に向かって『ガンブレード』のトリガーを引いてミニファイアーボールを連射した。
ものの数秒で放たれた四百発分のミニファイアーボールは次々と『ワイバーン』の体へと吸い込まれていき、それを食らった『ワイバーン』は錐揉み状態で墜落していった。
その後も各自が次々と『ワイバーン』を仕留めていく。
「はあぁぁ!」
ザシュザシュ!
ほむらの小太刀が切り刻み、
「火遁」
チュドーン!
ハンゾウの『忍術』が炸裂し、
シャララン・・。
「エクスプロージョン!」
クウゼンの魔導が『ワイバーン』を薙ぎ払った。
シュバッ!
ザシュ!
「いよいよ終わりが見えてきましたね!!」
『ふん、数ばかりで大したことないわね!!』
それから数分ほど経過した頃。
「これで・・最後ぉぉぉ!」
パァァァン!!
ハーティが放った回し蹴りによって最後の『ワイバーン』が爆散した。
「はぁ・・はぁ・・・やりましたね!」
高木の天辺で直立するほむらは『ワイバーン』討伐の達成感を感じながら汗を拭った。
「本当に僅かな時間で討伐出来たでござるな」
「うむ・・・さすがは『一級冒険者』の英雄達だな」
『まあ、こんなところね・・・・うん?』
それぞれがクエスト達成の感想を言葉にしていた時、クラリスが遠くに不自然な影を発見した。
「クラリス?どうしたの?」
『プラタナ』へ近づいたハーティがクラリスへと尋ねる。
『ちょっとまって、何かがこちらに向かってくるわ。望遠モードで確認するから待って・・・あれは!!?』
「どうしたんですか?」
戦闘が終わって『プラタナ』の肩に乗っていたユナもクラリスに確認する。
『『ワイバーン』だわ!?しかも尋常じゃない数!!さっきあたし達が倒した数なんて比じゃないくらいの群れだわ!!それがこっちに向かってくるわ!』
「なんですって!?」
「真の話でござるか!?」
「なんということだ!?」
クラリスの言葉を聞いた『旋風』の三人の表情が一気に絶望色に染まった。
「そんな・・・こんなこと今まで一度もなかったのに」
「なにやら異常な事態が発生しているのかもしれないでござるな・・」
「・・・!見えたわ!あれね!」
そして、その間に群れは肉眼で確認できるまでの距離へと迫っていた。
「あの・・黒い塊がそうでござるか!?」
「あんなの・・いくら六人がかりだったとしても、無理ですよ!!」
「某のマナも殆ど残っておらぬしな・・」
三人が絶望の表情を浮かべる中、ハーティは一人空中で顎に手をやりながら考えを巡らせていた。
「うーん・・あのくらい高いところを飛んでいたらいけそうね!!」
『『いけそう』って何のこと?はっ!?まさか!?』
「その『まさか』よ!」
「!!」
ハーティの言葉を聞いたクラリスは言葉を詰まらせた。
「まずいわ!『旋風』のみんな!早く『プラタナ』に戻って!ここを離脱して可能な限り距離を置くわよ!」
「な!?確かに絶望的な状況でござるが、我々は敵を目前にして逃げるわけには・・」
『そういう意味じゃないわよ!ハーティが割と力を入れて魔導を放つ気満々だから安全なところまで退避するのよ!!』
『とにかくつべこべ言わずに早く戻って!!』
「わ・・わかったでござる!」
クラリスの必死な訴えを聞いた三人は訳も分からないまま『プラタナ』の掌へと戻った。
『じゃあ後は頼んだわよ!!!』
「うん!」
そして、クラリスはハーティに声をかけると一気にその場から離脱した。
「さて・・じゃあ行きますか!!」
『プラタナ』が安全な距離まで離れたことを確認したハーティは魔導の発動準備を始めた。




