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第5節 あれ、結構チートじゃないですか・・・

チュチュムさま。


素晴らしい寝具で眠れなかったようです。


しかも朝から一波乱。貧乏くじひきそうですよ・・・

次の日、俺は貴賓室で目が覚めた。


素晴らしい布団セット。ふかふかの羽毛枕。立派すぎてなんか熟睡できなかった・・・どんだけ貧乏症なんだろう・・・疲れがとれなかったよ・・・


「お目覚めになりましたか?」


明るい女性の声だ。俺がもぞもぞしている気配を察するなんて・・・やるな・・・声の主のメイドさんらしき人が入ってきた。


お召し替えになりますか?と服を持ってきたが、富豪か王様のような服・・・俺は即座に断った。いやこの白いのでいいですと断った。目立つのはよろしくないからだ。


朝食が出たが、夕食のようだった。一汁一菜でいいんですよと思いつつ、一応全て残さず食べた。朝からお腹がいっぱいだなんて・・・眠くなる。


食後には、総督がやってきた。早速相談しようと思うことがある。


「おはようございます。チュチュム様」


「おはよう。アントニオ総督」一応、賢者らしくしないとな・・・朝から疲れるぜ。


「チュチュム様、今日は明日に迫ったトリチェッテイ王国との作戦会議がございます」


「え、明日なの?」


「はい、明日です!」


「会議は何時からなの?」


「今からです!」


随分あっさりというな・・・

それ、時間なさすぎでしょう・・・困った。赤子の貧乏神を探さなければならないのに・・・


「あの・・・」


「なんでしょう?」


「わかりましたが、実際トリチェッティ王国の次はいつなんですか?」


「はい、一日おきの予定でございます」


俺は絶句した。元いた世界で貧乏神やっていたほうがよかったような気がする。唖然とした表情の俺を見て、総督はメイドさんを呼んで、お茶をいれるように申し付けた。


目の前でお茶をいれてくれるようだ。かなり高いところからカップに落とす入れ方をするようだ。香が立つからね。気分転換にはなるね・・・一種の職人芸だ。


高く掲げられたポットから、紅茶が出た瞬間、時が止まった。注ぎ口から20cmぐらい茶色い液体が空中で止まって固体のようになっている。気づいたら目の前のテーブルに女神さまが座っていた。


「女神様・・・」


「チュチュム様 お元気ですか」


髪型を変えて可愛らしい感じの女神様だ・・・俺は興奮した。とくにチュチュって時になんとなくキッスのような口に・・・いやいや、俺は妄想しそうになるのを必死で堪えた。心読まれるんだからね・・・変態認定だけは嫌だ。会ってくれなくなったら嫌だ。


「女神さま~参りました。女神様は、運命は担当してないんですか?俺の新人生ハード過ぎませんか」


「うふふ、残念ですけど・・・運命の女神は私の妹なんですよ。でも他の神の分野には口がだせない決まりなの・・・」


うは、運命の女神様に会いたくなってきた。どうやったら会えるのだろう。いや今はそんなこといってられない。


「女神様、明日また外国と合戦なんだそうですよ。どうしていいのか・・・」


「あら、またあの凄い力を発揮すればいいじゃないですか?」


「いや、どうやったら発揮できるのか、掴めていないんです」


「あら、無詠唱でしょ?思っただけでできるはずですよ」


「そうなんですか!」


「私はそうですよ」


「いや、女神さまは、神様ではないですか・・・私は、ダメ人間ですよ」


「うふふ、人間ですけど、力は神を超えているんですよ」


それは女神さまから聴かされてたけど、実感できないし、限界とかよくわからないしな。実際、時間とか止められないじゃん


「あら、止められるはずですけど・・・設定のチェックボックス調べてみたほうがいいわ」


あ、また心読まれたよ・・・しかし、なにそれ・・・わけわからない。


「教えてあげないといけなかったわね・・・前世では人間だったんだですものね」


いやいや、今生でも人間です。


「ステイタスを唱えると画面が広がるでしょう?その右上に歯車みたいのが設定ボタンです。で、それを開くと色々な仕様だとか、できること、できないことを、逐一コントロールできるのよ。あと、画面透過性は調節しておいたほうがいいわよ。デフォでは透過度ゼロでしょう?」


俺はステイタスを開き、設定を開いた。ふむふむ。あ、色々あるんだな・・・ほんとだ、時間停止能力があるよ・・・すげえ。あと、お、画面透過性、本当だゼロじゃん。夢中になって色々みていると、女神様がじっと見つめていた。


「あ、すみません。夢中になってしまいました」


「あ、いいのよ。かわいいなって思ってただけ」


そ、そ、そんなぁ・・・俺は真っ赤になってしまった。


「や、やめてくださいよ。かわかわないで下さい」


「人間って、命が限られてるでしょ・・・だから、ひたむきよね。命の神としては、生命を与えた人間が、頑張って生きようとするのは、見ていて愛おしくなるのよね・・・あ、そうそう、アイテムボックスだけど、スタックしたものを出すときは注意してね。いっぺんに出して下敷きになったら大変よ。じゃぁそれだけ。ま・た・ね・・・」


止まっていた時はまた息を吹き返し、紅茶が勢いよくカップに流れ込んだ。いい香りだ。女神様とお茶したかったな。


「はい賢者さま」メイドさんが渡してくれた。


俺は数口飲みながら、色々考え始めた。そうか、時を止められるなんて、俺のやりたい放題じゃないか・・・むかし、透明人間になって悪いことしようと想像したことがあったが・・・


「賢者さま・・・賢者さま・・・賢者さま」総督が心配な顔で声をかけていた。


「あ、ごめんなさい。考え事してました」


「びっくりしましたよ。急に時間がとまったようになってるですから」


あれ、俺の時間を止める能力ってもしかして、俺が止まるの? 意味ないじゃん。いやいやそんなことないよね。ちょっと実験してみよう。


時よとまれ!心で叫んだ。


おおお、止まってる、総督、止まってる。おや、止まっている長さもスライドゲージで決められるみたいだ。でも他の神様がこれ同時に使ったらどうなるんだろう・・・謎だ。今度女神様に会えたら聴いてみるか・・・ともかく、戦争の最中でも慌てずに済むな。


「では賢者様、広場に皆を集めておりますので、将軍として、一言お願いします」


総督は有無を言わせず、どんどんあるいて貴賓室の扉をあけて促してくる。

え、どういうこと?・・・皆って誰よ・・・誰が将軍なのよ。なんだかまた巻き込まれてない?どうして・・・


あれ、扉を出ると、バルコニーじゃん。


バルコニーの手摺に寄ると、ものすごい歓声があがった。どこからかあのコールが・・・


「チュ・チュ・ム! チュ・チュ・ム! ・・・」なんか違うのも聴こえる。


「ミヤモティさま~」「キャー結婚して~」おい皆って都市の市民全員じゃないの?


総督が振り返って、「さぁ、賢者様、明日の会議を始めましょう」

全員で会議ってすごいですね。


ギリシャのポリスでは全員で会議してたようですけど。

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