第3節 戦勝パレードと祝勝会?
さて、後ろの軍隊の将軍がやってきました。
戦勝の一番の貢献者である、貧乏ちゃんはどのような待遇なのでしょう。
筆者としては、ちやほやしてもらいだいです。
後ろの陣営の将軍は、馬から降りて、跪いた。
「私はあちらに見えます、都市ボビーノの総督、アントニオ・ド・トリッシェと申します。あなた様こそ、伝説の賢者様とお見受けします。そのもの白き衣に身をつつみ、我らが都市ボビーノの救世主とならんと、神託があった、そのお方ではないかと存じます」
おいおい、それってなんか聞いたことあるぞ。あっちはカワイイ女の子で、青き衣だろう。ここで間違うと俺ってアサシンにやられそうだしな・・・まぁ軽く話に乗っておくか、でも調子にのらないように、半分だけちょこんと乗ろう
えーっと半分乗るといったて、どうしようかな。
よく見ると、後ろの軍勢って雑兵みたいで、ばらばらの服をきている。あまり豊かではないようだ。鎧なんて着てないぞ。敵の軍勢の素晴らしい装備を思い出した。どうも、まだ貧乏神の呪いが生きているようだ。まいったな。味方する方を誤ったようだぞ。どうしよう。ええい、とりま、ここは賢者オーラの発揮だな。
「うむ。よきにはからえ~」
あれ、緊張しすぎて最後のほうは裏返っちゃったよ。自分らしい言葉にすればよかったかな・・・あれ・・・でも将軍は、感激して、涙を流している。おいおいどうして?大げさ?・・・
「さすが音楽的なお答え。知性を感じます。賢者様、お名前をお聞かせください」
おいおい、勘違いにも程があるよ。
さて、困ったぞ。この総督は、イタリア人っぽい名前だったな。これで変なイタリア人名でも言おうものなら、胡散臭さマックスで、あとでアサシンで終わりかもだ・・・
どうしよう・・・実は俺の名前は宮本進だ。なんだかな・・・もうすこし平成生まれっぽい名前がよかったなぁ・・・キラキラネームは嫌だけどさ。なんだよ進って、昭和じゃん。ま、嘘をつくより、本名のほうがいいよな・・・
スパイの訓練でも、夜中に叩きおこされたり、べろべろに酔わされて前後不覚の時に、自分の名前を質問されるっていうのがあったぞ。潜入するときの名前いえないとアウトだもんな。本当のこといっておけば、ミスは確実に減らせるはずだ。
「お、お、お、わしは、宮本進じゃ」
僕って賢者らしくないよね。わしにしてみた。
「おおお、やはりミヤモティ・チュチュム様でしたか」
将軍は、感極まり、後ろに向かって叫んだ。
「皆の者聴け―。この賢者様はやはり神託の通り、チュチュム様であったぞ!」
おいおい、俺って滑舌そんなに悪いかな・・・せっかく無理してわし~じゃっていったのに、そこはスルーって感じだ。
その途端、一列に並んだ戦士だけでなく、後ろに見える城壁の上から、門の中から、大勢の人が叫んだ。
「うおおおおおお」
ちょっと、なに?チュチュムって誰?なんだか激しく馬鹿にされてない???俺、ミヤモト。ミヤモティじゃない。ススムね。ちょ ちょまてよ・・・
「チュ、チュ、ム!チュ、チュ、ム!チュ、チュ、ム!・・・」
後ろの戦士たちと都市の人たちが全員で、俺のことをコールしてる。
なにそれ、やっぱり貧乏神の呪いか?・・・転生しても俺ってずっとこうなのね・・・泣きそうになってきた。
「チュチュムさま、どうぞ、ここではなんですので、都市にお入りください」
俺は総督に招待された。
副官らしい人が馬にのって近づいてくる。
アントニオは副官っぽい人に目で合図し、手綱を渡すと、副官は総督の馬を引いて走っていた。副官はあこがれてますって感じの目でチラ見してた。
総督は、歩きながら俺を都市の門に誘導していってくれる。
よかったよ。馬を貸してもらっても乗れないし。貧乏神の呪いで落馬してクビの骨折っちゃうかもだし。
「やはり神託の通りでした。巫女様が、「我らの都市を救うため、神の力をもつ賢者様がきてくださるようです。その方は、チュチュム様と申します」と告げられたのです」
ああ、それでススムがチュチュムに聞こえたのか。しかしミヤモティってなんだよ・・・
「ミヤモティ様」
「なんだ?」
「私の3歳になる息子が、賢者様と同じお名前です。とても光栄に存じます。まさかチュチュム様のお名前が、ミヤモティだなんて・・・息子が聴いたら鼻血を出すかもしれません」
総督さんは、頬を紅潮させて興奮気味だ。
「それはそれは、わしも光栄じゃ」
門が近づいてくると、雑兵ちっくな人たちが全員跪いている。城壁の上の兵士も敬礼している。門に入ると、たくさんの花びらが降ってきた。上を見ると女性達が花の花びらを降らしてくれている。
「チュチュムさま~」
お、若い女の子の声。いいね~もしかして、モテ期到来?生まれてはじめてかもなぁ・・・いや、俺死んだばかりだった。うー俺、悲しいぜ。おっと気を引き締めないとな。
これもあの貧乏神の野郎の落とし穴かもしれないぞ。
俺たちは、そのまま門を通り、多くの歓声に迎えられながら、まっすぐ進んだ。
最初の広場につくと、そこには白馬2頭立ての白いオープン馬車が待っていて、これに乗れと言われた。奥に座ると隣に総督がのり、俺の前に副官が乗り込んで、お、お、女の人が総督の前に乗り込んできた。あれ、女神さまにクリソツじゃない?
「チュチュム様。副官を紹介させて頂きます。私の嫁の弟で、ロレンツォと申します。こちらが神託の巫女マリーと申します」
「おぅ。よきにはからえ~」
さっき褒められたのを復元しようとしたら、なんか変なイントネーションになっちまった。でも、みんな笑ってる。あれ間違えたかな。
「賢者様って面白い方なんですね」
女神さま似の巫女さんが微笑んでくれた。
「あ、あの、マリー様?」
「マリーとお呼びくださいませ」
「あ、あの、マリーさん。戦闘の少し前にお会いしませんでしたか」
しまった。女性とほとんど話したことないから、なんか賢者っぽくないというか地がでちゃったよ。ていうか、前にあったことがあるって、ダメなナンパ法だったよな・・・なんか変な顔してる。まずいな。
「いや、命の女神と仰る方にお会いしたのですが、貴女に似てましたよ」
全員が驚いている。
「あ、ではお祈りが届いたのですね・・・命の女神メアリー様にお願いしていたのです」
「ああ、そうだったんですか・・・あなたにソックリでしたよ、女神さま」
一同驚愕したままだ。
「もしかして、チュチュム様が賢者なのにお若く感じるのは、神様だからなのですか?神は年を取らないと言われてます」
やばい、まずい、危険だ。誤魔化さないと・・・
「いやいやいや、女神さまに召喚された、列記としたダメ人間ですよ。女神さまと少し話して、それでね、気づいたら、あそこにいたんですよ」
「おおお、そうだったんですか。やはりわが都市は命の女神さまのご加護のもとにあったんですね。女神さまと直接お会いできるなんて、やはり特別なお方だ・・」総督が喜色満面の笑顔で言った。
巫女さんが、驚きの表情で質問してきた。
「・・・賢者様は、いにしえの古代民族ダメン、神の血を引きし高貴な一族の末裔なのですね」
「なに?そうなのか?」総督が驚いている。
「神殿に伝わる古文書にはダメン族にかかわる歴史がありました。そして賢者はその一族よりあらわれ、チュチュムというと・・・賢者様、召喚される前はどちらにいらしたのですか?」
しまった。しまった。もう俺だめじゃん。余計なこと話すから、話がおかしくなっていくんだ。なんだよダメン族って。ダメ人間です。ダメ人間のススム・・・でも誤魔化さないと・・・
「いやラーメン屋の前で八王子にいこうか迷ってたんです・・・じゃよ」
焦った俺は、本当のことを垂れ流して、語尾だけ賢者風にしてしまった・・・う、失敗。なんか馬車から偽者として蹴り落とされたりして。青くなっていると・・・
「ラメーンヤというとあの神々の試練で有名な伝説の山じゃないですか。八王子ということは、八王国の王子のところですね。よかったわ、私がお願いしてなければ、八王国の方に行かれたかもしれないんですね・・・」
巫女さんは、長い睫をばさばささせて、ため息をついた。
あの巫女様・・・ふぅーという顔はカワイイですけど、すごい勘違いされてますよ。
馬車は動きだし、パレードとなった。沿道のみんなから歓声を浴びながら、都市の主要な道をぐるりと回ったようだ。子供たちが後ろのほうを並走して走っている。なんだか箱根駅伝みたいだな。どこの世界も子供はおんなじか・・・
馬車はまた広場に戻った。長細い広場だ。正面が神殿らしい。その横にある、神殿より小さいけど豪華な建物の前で、馬車がとまった。
「賢者様、こちらが総督府でございます。今日はこれから祝勝記念の大宴会でございます。もちろん主賓はチュチュム様です。どうぞ」
アントニオ総督が先に馬車をおり、俺側のドアをあけてくれた。おれは、馬車から降り、赤い絨毯の上をアントニオについて歩いて中に入った。
うわ・・・疲れた・・・もう新大久保の俺の安い部屋に戻りたいよ・・・万年床のせんべい蒲団にくるまって、寝てしまいたい。くそー貧乏神のやろう・・・見つけたらタダじゃおかないっと思ったけど、今日たぶん生まれた女の子なんだよな・・・かわいそうか。
玄関あけたら2分でご飯ってCMあったけど・・・早く食べたいよ・・・
ここの総督府は玄関あけたら、小広間で、階段が二つ対照的に並んで、曲がりながら2階に上っていくタイプでその2階のバルコニーのような床の下に1階の両開きのドアが四つ並んでた。
「こちらでございます」
メイドさんたちが並んでいてドアを開けてくれた。
「さぁ食うぞぉ~」俺の心は高鳴っていたが・・・
いかがでしたか?
ミヤモティ・チュチュムさんは、大変ですね。
明日はまた夜に更新したく思います。
頑張りますので、ご評価お願いします。