第2節 いきなり戦場で、いきなり先頭で戦闘?
いきなり おじさんギャグのようなサブタイトルですみません。
さてピンチをどうやってきりぬけるのでしょうか・・・
目の前の戦士たちの中から将軍らしき人物が前にでてきた。
「突然現れおって・・・妖術師か? まぁよい、今こそ戦の火蓋をきろうぞ」
従者から弓を受け取った将軍らしき戦士は、弓をぎりぎり弾いて放ってきた。その矢は外れて手前の地面に刺さった。
「アーチャー達よ、後に続け~」
向うの陣から恐ろしい数の矢が飛んできた。風を切る矢羽の音がすごい音だ。おれはおろおろしてやけくそに手を動かした。もしかしたら自分に刺さる前につかめるかもしれない。
くそーなんでこうなるんだ。痛いのは嫌だよ。あのジジイ、ノウナシ、カネナシ、運の尽きなんて言いやがって。全部掴んでやる。そう言った途端、空中を真っ黒に染めていた矢のすべてが消えた。
なんだ、何が起こったんだ?ぽかーんと口を開けていると、いきり立った向うの将軍が怒って言った。
「槍隊、進撃せよ。あやつを突き刺すのだ!」
うおーという声で槍隊が突入してきた。
やばいよ、やばいよ・・・縦の隙間から、すげえ長い槍をまっすぐ突き出した何百人のも槍隊が、俺めがけて歩いてくる。くそー・・・万事休すじゃないか。待てよ。さっきあのジジイの唱えた呪文が効いたんじゃないか?
俺は試しにもう一回いってみることにした。槍がなくなればいいと思いながら・・・
「ノウナシ、カネナシ・・・」あれ、最期までいってないのに、槍隊の槍が全部消えた。先端が重い槍が急に無くなったので、バランスを崩した兵士達は総コケだ。
後ろの軍勢が大喜びで拍手喝采だ。なんだか、掴みはオッケーみたいだな・・・
しかし、いったいどうなっているんだ。俺は命がかかっているのに、実験してみることにした。やり隊の兵士は皆盾も抱えている。よし、盾が欲しいと思って、
「ノウナシ、カネナ・・・」
唱えるまでもなく、盾が消えた。皆パニックになっている。
俺はあることを思い出した。あのじじい、ずっと俺の幸せを吸い続けていたっていったよな。ていうことは、貧乏神の能力っていいものを吸い取ることなんじゃないか?
女神さまは規格外の力っておっしゃってたよな。あのじじいは俺だけの幸せを吸い取ってたけど、この世界では俺ってすげー力あるのかもな。
「そうですよ」急に女神さまが横にいた。
「驚かさないでくださいよ・・・寿命縮まるかと思いましたよ」
「あら、ごめんなさい」
女神さま可愛いな。貧乏神がこんな美人なら、いくら吸われてもいいぜ。
「えっち」
え、そんな意味じゃないですよ・・・心読まれるのって辛いです。
「女神さま、姿現していいんですか?」
「あら、時間は止めてるし、姿は人間には見えないわ。あなたは神の力の一部をもっているから見えるのよ」
そうなのか・・・なんとなく辻褄があってきたよ。俺はさっきから気になっていることを聴いてみた。
「なんか、矢とか槍とか沢山吸ったようなんですけど、どこにいっちゃったんでしょうか。あのじじいは、俺の幸せを吸い貯めて満願とかいってたんです」
「あら、言わなかったかしら、ステイタスっていうと、目の前になんか表示されるでしょう?そこにアイテムボックスってあるじゃない。そこをクリックするの」
ちょ、ちょまてよ。今女神さまクリックっていわなかったか?なんだかチートだな・・・夢見てるのかな・・・
「うふふ、夢ではなくてよ。あなたの世界でもいうでしょ。信じる者は救われるって」
「え?う~ん。とりま、ステイタス!」
俺の目の前にゲーム画面のようなのが現れた。アイテムボックスってあるけど、どうやって押すんだよ。クリックってマウスないんだよ・・・
「あは、貧乏ちゃん、目で押すのよ。目でみて押した気になるの」
いやいや、貧乏ちゃんはないでしょう?ま、気にしないで押してみた。
すげー、なんだよこの盾の数。あ、スタックっていうボタンがあるじゃん。
俺は目力で押してみた。すごいすごい、全部スタックされたよ。次に槍が出てきたぞ、よしスタックだ。次は矢だな。俺は女神さまに感謝したくて女神さまを見たら・・・もういなかった。その途端止まっていた時間が動き出したようだ。待てよ、アイテムボックスに例の賢者みたいな杖がある。ちょっと目で押してみよう。
次の瞬間俺の右手には、例の杖が握られていた。上の方が太くて丸くて下にいくと細くなる、例のうねうね杖だ。おおお、これは賢者というか、魔法使いというか、カッコいいじゃん。実は貧乏神だなんて誰も思わないよな・・・
なーんて考えていると敵陣から声が聞こえた。
「全軍、抜刀! よし、しんげきー!」
敵の将軍が騒いでる。
俺は剣をイメージして呪文を唱えてみた。
「タマナシ!」
あれ、間違えた、なんだっけ。ていうか、大事な局面でことごとく間違えて、振られたり、失敗してクビになったりとか、これは貧乏神のせいじゃなかったのか・・・
でも術は成功したようだ。敵はみんな剣が無くなって右往左往してる。よかった。あの剣で刺されたら痛いなんてもんじゃないぜ。よーし、やる気なくしてやれないかな。戦うなんて嫌だ。
おれは調子にのって、「鎧、服、やる気無し!」って叫んだ。
おおお、敵軍全員がまっぱになった。みんな股間を押さえてる。みんな逃げ出した始めたようだ。
後ろの軍隊から大笑いの声が聞こえた。大受けだ。みんな指さして敵軍を笑ってる。中には腹を抱えて転げまわってるのもいるぞ。
俺ツエー? 強いわけじゃないよね。変態的チートじゃん・・・
そうだわ、強いわけじゃないんだよ。この貧乏神譲りの能力がこの世界では桁違いなだけなんだ。
だから、気を緩めてるときに弓とか射られたら終わりだ。ゲームのアサシンなんとかみたいに、短剣でやられても即死だろうな・・・気を引き締めないとやばいぞ・・・俺。
俺の背筋に冷たい汗が流れていった。もう貧乏くじは引きたくないもんな・・・
後ろの陣から、エラそうで強そうな、将軍みたいなのが馬に乗ってやってくるのが見えた。
気を抜かないようにしようっと・・・
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