第13節 苦肉の策がチート
お久しぶりです。
あちらがすごく面白くて、こちらに手が回りませんでした。
ごめんなさい。もうすこし、更新ペースあげますね。
俺は牢屋の冷たい床に座っていた。いい加減にして欲しい。体が段々冷えてきたよ。
そういえば、家賃滞納でアパートに入れなくなってからは、野宿だったな・・・ま、はっきり言おう。野宿は得意だ。でもさ、ここ段ボールないもんな。そういえば、こっちの世界って段ボールってないのかな。紙がないんだもん、あるわけないか。ブルーシートとか、あったら便利なのにな。石油製品とかないよね。もちろんプラスティックなんてあるわけないか。
俺は、車は持ってなかったけど、よく銀色のサンシェードは持っていたよ。あれさ、車買い換えるとサイズが合わなくて捨てる人多いんだよね。不燃ごみの日にいくと、意外と落ちてる。あれさ、中にプチプチが入ってて、断熱性いいし、しかもアルミの銀だから、熱も反射するんだよね。寒くて寝れない夜なんか、よく背中に敷いてたっけ。しかし、寒くなってきた。石造りだからな。
やば・・・なんかお尻が痛くなってきたよ。気を付けないと痔になっちゃうぜ。
なんか急に思い出したけど、ちに点々で、ぢ。銀座になかったかな・・・夜になると煌々と光る看板。あれは受けるよね。いや、笑いごとじゃないよ。それになりそうなんだけど・・・
こっちじゃ洗浄暖房便座なんてないもんね。俺のアパートはついてなかったけど。あれは、お尻の病気の人には必需品らしい。
なんてくだらないことばかり考えていたら、アントニオが帰ってきた。
「遅いぞ、アントニオ!」
「申し訳ございません。サルヴァトーレにチュチュム様の剣を見せたところ、これなら売れるどころか、大売れの予感だそうです。なぁ、サルヴァトーレ?」
サルヴァトーレがアントニオの後ろに隠れていて、急に横にステップして飛び出してきた。なんだよ、調子よすぎじゃないか?うきうきしてるぞ。
「チュチュム様、これは素晴らしい商品です。たまたま、うちの金物店に武器を売りにきていた、ボビーノの商人が、是非買いたいということです。チュチュムさまにご許可をいただければ、すぐにでも50本欲しいそうです。いかがですか?」
「・・・それは良い話だが、値段次第だな」
サルヴァトーレが真っ青になった。あれ、その反応オカシイよね・・・どういうこと?
「・・・賢者さま、まだ決めておりません。というか、売れたら、その価格の2割をもらうことで押し切られました・・・すみません」
「ばかも~ん」
アントニオも平伏して謝っているが、それじゃ、俺の借金減らないじゃないか・・・
くそー、売値が決まってないんじゃ意味がない。まず、向こうの商人が100で売れても、50でしたと言われれば、どうしようもないじゃないか・・・
「で、あの剣はどこにあるのじゃ?」
「サンプルということで、持っていかれてしまいましたぁ・・・」
俺は必死で考えていた。折角転生したのに、チートな力を手にいれたのに、また、貧乏ぐらしじゃ辛いもんね。俺はステイタス画面を開いてみた。あの剣は、ススム君の素晴らしいマイファーストデザインなのだよ・・・あれ、本数が減ってないよ・・・ちょっと一本だしてみようっと、ゆっくりとドロップね。
はい、手で上手くつかめました。俺の眼力も上手くなったな。あれ、ドロップしたのに、本数が減らないぞ。まさか無限なのか?それは超チートじゃん。俺は思い切ってあと、28本だしてみた。牢屋が剣だらけになってしまった。そういえば、何でまだ牢屋に居るんだろう・・・
まぁいいか、もう一本出してみようっと、あれ出ないよ。なんだ無限じゃないじゃん。がっかりだよ~
くそー、デザインを変えてやる! おれはストレッチコマンドで、剣をのばしてみた。
なんということでしょう・・・
29本の剣が全部伸びてきたのだ。
げ、ウルトラチートじゃん。俺はステイタスのウィンドウを拡大し、よく見てみた。
あ、所有権を移転するというところにチェックが入ってないよ。ということは、例の商人の手に渡ったものも、同じように伸びているわけか・・・とりあえず、1本を残してしまってみる。まだ表示は30本のままだ。最後の一本をストレージにしまい、商人の手にある剣を戻そうとしたが、ストレージには戻らなかった。
「あはははは」
俺が急に笑い出したので、気がふれたと思われたようだ。アントニオとサルヴァトーレは複雑な表情をしているぞ。
おれは、また一本出して、二人に見せながら、ストレージで、いじった。まずは、刃のシャープネスをゼロにしてみた。剣は単なる板のようになってしまった。もう一本出すと、やはり同じだ。
そして、ススムの銘を書き換えた。払ったお金の量で、剣の鋭さが変わります。By賢者君・・・うーん、威厳がないか・・・俺はBy以下をススムにしてみた。
アントニオが文字を見て、何が起きているのか理解したようで、目を丸くしている。
「け、け、賢者さまぁ~、すごいです。これならお金を決めなくても、あとでコントロールできるじゃないですかぁ・・・」
「ふふふふ、ワシも悪よのう・・・これなら、敵の手に渡っても、ワシがいじれば、剣はなまくらになる」
「さすが賢者様、極悪ですね」
おい、それ誉めてないよ。せめて悪知恵ぐらいにしてよ~今頃ずるい商品はびっくりして、顎が落ちてしまっているだろうな・・・
この30本は、お蔵入りにして、商人に渡すのは、1本1本改造して作るとしよう。
俺は早速、残りの剣から、50本を別々に作った。そして、サルヴァトーレに渡していった。
「たぶん、すぐにその商人は怒って戻ってくるだろう。賢者様が怒って、魔法をかけたといっておけ。お金を払うほど、剣の切れ味が増すというのだぞ。そして、現金で受け取らないと、賢者様は動かないとおっしゃっているというのじゃ。よいな」
サルヴァトーレは、はは~と土下座して下がっていった。アントニオもだ・・・
ちょ、ちょまてよ。なんで俺はまだ牢屋の中なんだ・・・
くそーぐれてやる!
おれは痛くなってきたお尻を手の上に載せて、あたためることにした。いわゆる、自分座布団だな。
「さすがチートだこと」聞き覚えのある声が響いた。振り返ると女神さまが後ろにいた。
「女神さまぁ~」
「賢者様から頂きものをしたときは要注意ですね」
「え、どういうことですか」
「たとえば、服をいただいてですよ。あとで透明にとかしそうじゃないですか・・・えっち!」
「いや、待ってくださいよ、まだ何もしてませんから・・・誤解です。いや誤解以前の問題ですよ」
女神さまは、何故か真っ赤になっている。わからないな女性って。
「私はお金はないですけど、紳士ですから、そういうことはないですよ」
「本当?」
「本当です。そりゃ見たい気持ちはありますが」
いきなりビンタが飛んできた。
「痛て・・・」
「チュチュムのエッチ」そういうと、女神さまが消えていた。
俺は限界になったお尻を守るため、正座し、ステイタスでさっきの剣、50本の銘を書き直した。
「牢屋から出して、アントニオ」お腹すいたよ・・・
チートってネタを考えるのが大変です。
ネタで勝負しようとすると、ものすごい生みの苦しみがありますね。
なるべく、週一ぐらいでアップするよう努力しますので、
今後とも宜しくお願いします。