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第12節 新たなチート能力発見!

すこしヤケクソなチュチュム様


あらたな能力を発見します。

カフェから、都市一等地(俺の部屋は5等地ぐらいで倉庫だけどね・・・)にある俺の部屋に戻る途中で、アントニオ総督に声を掛けられた。


「チュチュムさまー」


俺は、そういえばお礼を言ってなかったことを思い出した。


「アントニオ、朝はありがとう。助かったよ」


「いえいえ、賢者様にお喜んでいただけまして、光栄です。家内もお祝いを貰い過ぎていて、捨てる予定でしたので、助かりましたとのことです」


神は不公平だよな・・・今日、食えなくて死にそうな人もいるのに、溢れて捨てる人もいる。あれ、俺って食えなくて死ぬ側じゃん・・・いあ、俺は空腹で死んだんじゃなかったよ。


余っているところから、足りないところに持って行くって、これ商売の鉄則か。


「アントニオ、話しは何だ?」


「はい、明後日の作戦会議なんですが、いかが致しますか?」


「うむぅー、相手の出方が分からぬからな・・・ていうか相手の国名すら知らぬぞ」


「トリーノです」


おいおい、転生したばっかりで、全然疎いんだから、わかんないよ。


俺はアントニオの瞳を見つめ、少しは説明しろよと思った。


あれ、あれ、トリーノ王国は、ボビーノの西側で、手工業で栄えてる都市国家で、元首にあたりトリーノ公は、もともとはセレンティオの商人で金貸し・・・銀行をトリーノで開いて、商業、そして経済、最終的に政治の実権を握り、トリーノ公になった。あれ、どんどん知識が流れ込んでくる。


チートだ・・・貧乏神の力は恐ろしくチートじゃないの?


ステイタスを開くと、アイテムとは別に、新しいタグができていた。開いてみると、まるでブラウザーみたいだ。そこに、トリーノっていうタブができている。おおお、まるでウィ〇ぺディアだ。


どうやら、俺の力は相手から知識までを体系的に奪い、文章化することができるようだ。


そうか、ここの世界の神様たちが、俺の心を読めるのと同じなのか。


「へ~、やはり規格外なのね・・・驚いたわ」


うは、生命の女神様、急にびっくりしますよ・・・


「ここは、私の神殿前ですからね。すぐに現れてはまずかったかしら?あと時間は止めてますよ」


「いえいえ、とんでもございません」


確かに、アントニオが間抜けな顔をしている。


動画を撮っていて、途中でとめると、目をつぶっていたり、異常に間抜けだったり、開いた口がふさがらない・・・当たりまえか・・・ていうのがあるが、それだな。


「さっき、メルカト様が来たでしょう?体質的に受け付けられないけど、悪い神様じゃないから、仲良くなったほうがいいわよって言いたかったの」


ふーん、一体何人の神様がいるんだろうね・・・日本だと八百万

(やおよろず)の神なんて言うけど・・・あれってそれ以上の数がないから、無限大ってことなのかな。


「低級神もいれればそう、無限大よね・・・」


え、そんなになのか。でも、低級神ってなんだろう。


「あはは、知りたがり屋さんね。たとえば、人間に関する神様は、比較的高級な神様なのよ。犬の神様もいれば猫の神様もいるけど、高級神ね。力関係は自然界の力関係に近いわ。低級神では、蚊の神様もいるし、中には怨霊みたいな神様も時々できちゃうしね。神様として信者を獲得して、頼られていかないと、私たちも消滅しちゃうのよ」


生命の女神さまが消滅したら・・・人間滅んじゃう・・・」


「そうよね・・・でもさ、人間って困った時に、いや困った時だけ、すぐ「神様って」いうじゃない?それが頼ることだし、一番強い信仰心だから、まず無くならないわ」


ふーん。そうなのか。でも怨霊は怖いよな・・・会いたくない。


「じゃ、またね~」


あれ、もう行っちゃうの?


「いや、あなたの新しい能力をチェックしたかったのよ。ではでは・・・」


行っちゃったよ。


時間が動き出した。


「アントニオ、よその街に商いに出かける商人を呼んでほしい。特に武器商人だ」


「はい、喜んで~」


なんか、あんまり喜んでないよね・・・とりあえず、部屋に戻るかな・・・




俺は階段を上がって、最期の螺旋階段を上がって、ふぅ、結構疲れるな。


あれ、部屋が開いている・・・


あ、そうか、さっきテレポートさせられたんだっけ。


とりあえず、中に入って点検、点検。足跡はないね。汚れてもない。よっしっと。とりま、ごろごろしようっと。やっぱ、万年床にごろ寝サイコー!


それから俺は、ステイタスを開いて、新しい能力を調べてみることにした。


これは便利だ。便利だけど、このページしかないよ・・・まて、これって、アントニオの知識を吸い取ったということは、アントニオが間違えて覚えていたら、使えないよ。


ウィ〇ぺディアで、出典が明示されていないとか、独自研究の恐れとか、時々書かれているけど、どうでもいいよなとか思っていた。こういうことだったのか。


なんだ、こっちの世界に転生してからわかっても意味ない。スマホは持ってなかったけど、図書館とか、ネカフェでインターネットで調べものしてた。あのときは楽しかったな。こっちじゃネットがないもん。


そうだ、これから呼ぶ商人さんからも吸い取ってみよう。貴族の知識とはまた違う角度の知識になるんじゃないかな。なんか楽しみになってきた。



そして商人さんがやってきた。噂の賢者様が、こんなところに住んでいるのかって、驚いている。


「さすが、質素、倹約を美徳とされるお方ですね」って、ほめてもらっても嬉しくない。好きで住んでいるわけじゃない。商人さんは、自己紹介から始めた。


「金物屋のサルヴァトーレと申します。以後お見知りおきを・・・」


おい、アントニオ・・・まったく、武器商人を呼んでくれっていったのに・・・僕がアントニオをじろりと睨むと、彼は気づいたらしい。言い訳を始めた。


「チュチュム様、生憎、この街に武器商はいないんですよ。それで、包丁とか刃物を扱っている金物屋さんを呼んだのです。いや、剣とかも注文受けてから仕入にいっていますので、武器商人といえます」


「あ、その通りでございます。ボビーノは平和な都市でございます。剣などは、在庫しても売れないのです。勿論、よその都市に伝手がございますので、購入できます」


「まぁよい。よきにはからえ~」


は、はぁーと平伏する二人。ぬ?なんか違うけどいいか。この二人結託してるよね。


「で、越後屋・・・あ、違った、サルヴァトーレ、わしの目を見るのじゃ!」


「はい?」


きたきたきた~なだれ込んできたよ。知識。うほほ。えーっと。あまり変わらないか。あとで読もうっと。



「で、おぬしに相談があるのじゃ。他所の街で買うことはできると申したが、売ることはできるか?」


「え?いや~鍋や薬缶なら売ったことがありますが・・・で、何を売られるのですか?」


「武器じゃ・・・」


サルヴァトーレとアントニオが、お互いに顔を見合わせた。サルヴァトーレが答えた。


「賢者さま、売れないことはないとは思いますが、売るものがありません」


もう、聞いてよ~・・・






「ま、ここじゃなんだから、広場にいこうかの・・・」

さっき、商売の神様はテレポートしていたけど、もしかして俺にもできるのかな。なにしろ、こっちの神様が警戒するぐらいなんだから、それぐらいはできるのかも・・・試してみる価値はありそうだ。あ、でも肉体があるということは、制約になるかもね。


 二人を引き連れ、トントントンと階段を下りていく。建物の裏口から表にまわり、広場に出た。これから商品サンプルを出してみようというわけだ。


 「おっほん!この前、ここの広場の中央に鎧や武具などを出したことを覚えておるかの?」


二人はうんうんうんという感じで小刻みに首を上下に振っている。それ、シンクロするほどバカっぽいからやめたほうがいいなと思いながら、俺は続けた。


 「今から出すから離れておれ」


俺はステイタスを開いて、サンプルになりそうなものをアイテムボックスから、広場にドロップした。カランカランという音とともに、広場の石畳みの上に剣が落ちてきた。


「お見事!」

二人とも関心している。武器屋、いや金物屋が駆け寄って、剣を拾い、振ってみたり、バランスを見たり、色々チェックしている。


「賢者様、いい品物ですね。で、如何ほどで何本程お売りになりたいのですが」


俺はステイタスを覗いて、本数を確認した。800本と少しある。量産品なのかな。スタックできるというのは、そういうことだよな。調べてみる必要があるぞ・・・


「ちょっと、沢山出すので、少し離れておれ」


おもむろに、30本ほど出してみた。空中に放り出されて物凄い音だ。広場中の人が驚いてこちらをみてる。広場に面する3階やら4階から窓を開けてみている人もいた。俺は、すまぬと大声で言った。


みんな、賢者さまかって感じで安心してスルーしてくれた。俺信頼されているよね。


サルヴァトーレは、ぶつぶついいながら、一本一本チェックを始めた。


「ほぼ同じ工房で同じころに作られたもののようです。これの由来は、この前の合戦ですか?」

「うむ。敵軍からわしが術で取り上げたものじゃ」

「うーん、ということは盗品になりますので、都市間の取引では扱えませんが・・・」


 ちょ、ちょまてよ・・・だめじゃん・・・俺は多額の借金でマイナスなのに・・・飯くえないよ・・・


「そ、そうなのか?」

「はい、残念ながら、盗品ということが分かれば、私が逮捕されます」

「この前、皆に分け与えたものはどうなのじゃ?」

アントニオがサクッと答えた。

「賢者様、自分たちで戦利品を使う分には文句を言われません」


うーん、わかりにくいシステムだな。えーい、頑張れ俺!ひねり出すのだ!

「残念じゃのぅ。一旦剣をしまうぞ」俺はもっともらしい呪文を唱えてアイテムボックスに収納した。すこし考えさせてくれ、明日連絡すると言って別れを告げた。


うーん、どうすればいいのだろう・・・考えながら広場をウロウロした。ステイタスを見ながらだ。そもそもスタックしている理はなんなんだろう。スタックできるということは、同じものだと認識していることだよな。ということは、少しでも改変すれば、スタックできなくなるのだろうか。


アイテムボックスを見ていたら、お菓子がいくつかあった。丁度お腹が空いていたので、一つドロップして手のひらに落とし、一口食べた。うは、甘すぎだよ・・・こっちの人は極端だよな・・・ちょっと捨てるのもなんだから戻そう。あれ、スタックできないや。一口齧ってるから仕方ないか。


どうしようか、もう出すのも面倒だが、このまま入れておいても食べないだろう。


こまって、考えていたら、左目がかゆくなってきた。そこでごしごしパチパチとしたら、ちょうどクリックしてしまったようで、なんかメニューが出てきた。あれ、形とか砂糖量とか、プロパティがいじれるのか。ふむふむ、ハート形に変えて、お砂糖少な目っと、よしドロップして。手のひらに落ちたのは、さっきとは全然違うお菓子だ。美味しい。これはいける。


ピーン、閃いめいちゃったよ。


 おれはさっきの剣を10本ほど分けて、プロパティを出して、改造してみた。うは~チートだぜぃ。鋼鉄の剣がいじれちゃうじゃん。ちょっとデザインを変えて、名前を刻印してみた。ススムだ。おお、なんかかっこよくなったじゃん。


 俺はそのうちの一本を出してみた。今度はゆっくりとドロップしたので、顰蹙は買わなかったぞ。すごいや。え、やるじゃん俺。俺はその剣をもって総督府へ走った。


 警備兵がパニックて、大変だぁ、賢者様が怒られて総督になぐりこみだぁ~と大騒ぎになってしまった。ちょ、ちょまてよ・・・


 わしは、牢屋に入れられてしまった・・・


 アントニオがやってきて、がっくりした感じで話しかけてきた。そんなにお怒りに触れるようなことを私がしたのでしょうかと聞いてくる。


 「違うのじゃ、新しい剣を見せたかったのじゃ!」


 「あ、これですか・・・あ、新しい剣ですね。チュチュムって銘が刻まれております。おおお、これならサルヴァトーレが売れるやもしれません。すぐに呼びます」


 そういってぴゅーって感じでいってしまった。


 ちょ、ちょまてよ。俺、牢屋のままなの???しかしこの物まね、最早病的じゃないかな。


お読みいただきまして、ありがとうございます。

いかがでしたでしょうか。


次回は、金曜深夜になりそうです。ご期待ください。

宜しくお願いします。

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