第5話:変人の過去
結磨様の過去がすべてわかっちゃいます!
僕たちは人気のない公園に移動した
それと同時に長崎がきつく僕をにらんできた
「あたしは人を信じない」
「…なんで?」
「あんたみたいなマザコンにはわからない」
うっと僕は後ずさった
何でこいつ僕がマザコンだって知ってるんだよ!
僕は超がつくほどのマザコン
小5までの好きな人はお母さん
外出をするときはお母さんの手をつなぐしお風呂もいまだにお母さんと入ってる
寝るときもお母さんと一緒だし…ってそんなことどうでもいいんだよ!
「マザコンって関係ないじゃん!」
「あたしのお母さんはあたしが小4のときに死んだ」
…え?
あまりに唐突ですぐには全然把握できなかった
死んでる?
長崎結磨の母親が?
結磨様の母親が?
「今まで友達だと思ってた人からの同情の目、離れる人はすぐに離れていった」
ああ…わかる
いつものようには接せなかったんだ
「態度が変わらなかったのは初音と翔麻ちゃんだけだった」
…田辺は知ってたんだ
長崎が同情の目で見られていたことに
でもだからってなんであんな噂を流す?
逆に友達が増えたほうが…
「だから友達なんてそんなものなの、そんな思いするくらいなら、あたし、友達なんて要らないよ!」
…だから長崎に友達ができなくなるようなことをわざわざ?
「でも1人にはなりたくないってこと?」
長崎は何も言わずにうなずいた
「寂しいね」
少し笑って「いいの」と答えた長崎は少し悲しそうだった
…でも僕は、そんなこと聞いても今も態度変わってないよね?
それでも僕は友達じゃないの?
「…もう人は信じられないんだから」
絶妙のタイミングで結磨が発言した
…ああ、そうか
でもそんなの…
「でもそんなの…お母さん望んでないよ!」
「いいの、あたしの人生なんだから」
何でだよ
僕は一生長崎の友達にはなれないの?
僕も田辺になりたい
僕も…「初音」になりたい
「じゃぁ挑戦してみてもいい?」
「え?」
「僕が君の友達になれるか」
友達になりたい
僕を信用して
君のコト、本当に…
「勝手にして、一生無理だと思うけどね」
無理なんかじゃない
不可能なんかない
今までの笑顔も、
今までの会話も、
すべて嘘だったのかもしれない
それでも
君がどんな性格だったとしても
君がどんなに笑わなかったとしても
大好きなんだよ
次からは、龍が結磨様の友達になろうと超頑張ります!
<作者より>
結磨様は誰も信じない!
そう決めたの!
<結磨様より>