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黄昏にて  作者: にわせたか
第1章 再出発の町
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46 問われる歴史(8)


 3体の亜人、幻獣によって《サーキュロン》は再起不能になるまで破壊された。もちろん、そこに住んでいた大勢の人々は犠牲となった。


ただし、この未曾有の災害時に、突如として想いの力(メタ・プラズマ)を誰もが想像つかないほど使いこなす者が二人現れたのだ。


それはサーキュロンに元々住んでいた少年、少女で、後に三英雄と称される内の二人となる。

少年の名は一色不知火(イッシキシラヌイ)=シラヌイ、少女の名をフランネル=ヴァリアンテ。

詳細な戦いの記録は残っていないが、突如として能力に目覚めた二人はサーキュロンの住民と協力し、壮絶な争いの末に3体の亜人を倒すことはできなかったが打ち払うことに成功した。


住民の半数以上がこの災害で亡くなった。


自分達が一体なにをやったというのだ。なぜこの様な目に合わなければならない。


サーキュロンの再起不能までの破壊。循環機能は修理不可能、飲み水や食料の確保もこの人工島では難しい。

残った人々は悲しみに暮れる中、一つの決断をしなければならなかった。

―――それはこのサーキュロンを捨て、西暦末、自分達が見捨てたであろう、黄昏の大地に戻ることを。


 誰もサーキュロンの外の世界がどうなっているか知る由もなかった。しかし、ここに残っていても待っているのは死のみだと。

 幸いにも、サーキュロンには緊急用の船舶が残っており、人々は不安を胸にサーキュロンを後にした。

荒波の航海、進む方向を西方と定め、数十日の船旅の末、旧南アメリカ大陸の南端方面へと到着した。


 大陸に着いた人々にまず待っていたのは、自分達の知識で得ていた予想と反することであった。

 予想では世界は戦争により荒廃していると思われていたが、予想外に自然で溢れていた。

 周りを見渡すとそこには草木が生い茂り、鳥や動物で溢れていた。人類が昔築いた建造物は皆無ではあったが、そこは人類が再び希望を見出すには十分な光景が広がっていた。


 もちろん、完全には安心することはできなかった。なにせ、直近で自分達の楽園をあっけなく壊した亜人、幻獣の存在は間違いなくこの大陸にもいるだろうと。


 更に今までサーキュロンでの便利な暮らしを支えていた道具や設備などはない。この大陸で、人々は一から生活基盤を作り直す他なかった。サバイバル生活もなにもやってこなかった人々は原始的な生活に否応にも適応するしかなかった。


苦難の旅であった。人々は南アメリカ大陸南端から徐々に北上していった。もちろん、それまでに亜人や幻獣と出会うことは度々あった。

しかし、想いの力(メタ・プラズマ)を使いこなすシラヌイとフランネイルの活躍により、それほど被害が出るようなことはなかった。


そうして人々は今のレナトスの町がある地点までたどり着いた。そこで人々はこの大陸に来て初めて人工物を目にした。


黒く艶のある立方体の建築物、建物の上部には時計が表記されていた。

人々を迎えるかのように、どこか懐かしいメロディーを響かせながら、それは周囲の自然とは不適合な存在ではあるかのように、孤独に佇んでいた。

人々は昔の人類が残したであろうこの建物を《ヘリテージ》と呼び、ここを安住の地とした。それがこのレナトスの町の始まりであり。斜陽歴の始まりでもあった。


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