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黄昏にて  作者: にわせたか
第1章 再出発の町
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45 問われる歴史(7)


 その触手に、人間達は成すすべもなかった。警備隊は今まで島で大事に保管していた銃火器を手にリヴァイアサンに立ち向かっていった。

 大昔に製造された銃火器をメンテナンスもせずに使用したものだから、暴発したり、そもそも使い方も知らない者が多数いた。

 慌てる最中、何人かは何とかその銃口を相手に向けて、引き金を引き、発射された。

 しかし、その玉はリヴァイアサンの体を貫通することはなかった。


 そもそも当たっても、その厚い皮膚を貫通することはできなかったが、リヴァイアサンは一斉に銃弾を撃ち込まれると感づくと、その体の正面に、半透明で多角形を壁にしたような―――|《想いの力》《メタ・プラズマ》でできた、所謂バリアーを張り、銃弾を防いだのであった。


 その後も、ありったけの火力、ミサイルまでも持ち出し、なんとか目の前の怪物を追い払おうとしたが、リヴァイアサンには通用しなかった。


 瞬く間に複数の触手が伸び、持ち出された兵器を人間もろとも薙ぎ払われた。

 怪物は大きな唸り声を上げ、目の前に立ち向かっていた人達を畏怖させた。その場に居た誰もがもうだめだと感じ、頑丈な建物の中に逃げだしていった。


 ◇ ◇ ◇


 建物の中に避難したとはいえ、リヴァイアサンの脅威はなくならなかった。

 その触腕を何度も振りかざされた建物は頑丈とは言え、段々とヒビが入ってきた。


この場から逃げ出したい。・・・しかし、どこへ?


 中にいる人々は恐怖のどん底へ居た。


 島の管理者や警備員は、なるべくリヴァイアサンがいる岸の逆方面に人々の避難誘導を行っていた。そして、どうにもならないことは分かっていたが、リヴァイアサンの監視を続けていた。

外のリヴァイアサンは絶え間なくその触腕を振りかざしていた。


 そんな中、リヴァイアサンの頭部に人影が見えた。


 その人影はリヴァイアサンの頭部が巨大なので小さく見えたが、かなりの巨漢であった。

 衣服という衣服は身にまとっておらず、ボロの布切れで下半身を覆っているくらいで、ほとんど半裸の状態であった。

 

青くて長い髪、そして長髭を蓄えており、手には長い鉾のようなものを持っていた。


あんな所に人間がいるとは思えない、どう考えても亜人だと、リヴァイアサンの様子を伺っていた警備員は感じた。

どう考えても起こりえないが、あの亜人がその手に持っている鉾で怪物の頭を串刺しにしてくれたらいいのにと淡い期待を持ったが、その亜人が次に取った行動で、警備員の思いは露と消えていった。


 亜人は鉾を天に振りかざすと、直後、上空の荒れた雲は瞬く間に渦を巻き、竜巻へと変貌した。その後、鉾を海上に指すと変貌した竜巻は鉾で指示された方に移動し、海上に海の水を吸い込んだ竜巻へとなった。


すかさず鉾を建物へと向けると、その作られた竜巻は島へと移動し、猛烈な勢いを伴って周囲のヒビが入った建物に衝突した。

建物は崩れながらも竜巻に寄って激しく巻き上げられ、巻き上げられたものが周囲の建物にぶつかり被害を増していった。


鉾を持った亜人はその様子を無表情で見ると、追い打ちをかける様に、鉾を頭上で回転させた。

やがて海上にはいくつもの竜巻が出来上がり、それは島の建物を全て破壊するまで止めないとばかりに膨れ上がっていった。


―――記録から後に、大海と大気を自由に操るこの亜人は《ポセイドン》と命名された。


◇ ◇ ◇


リヴァイアサンとポセイドンが島の岸で暴れている頃、島の反対側でも、もう一人の亜人によって地獄と化していた。


建物の中は人の死で埋め尽くされていた。


通路には大勢の人が倒れこみ、その全ての命は消えていた。


通路で警備員達に向かってくる亜人―――見た目は儚げな幼い少女で全身が白く、足まで届きそうな白髪。目は緋色で背中には片翼だけの白い翼が生えていた。


相対する警備員はその見た目に反し、この周りのおびただしい人の死体を作った張本人が目の前の亜人であるということに気を緩めてはいなかった。


亜人は無表情で、何も発しないままゆっくりと目の前の警備隊へと進んでいく。


警備員達は容赦なく、手に持っている銃を目の前の少女に向かって乱射した。


乱射した銃弾は少女の目の前で反転し、銃を撃った警備員達に向かって発射した勢いのまま帰っていき、警備員達に当たった。

咄嗟に、そして偶然反転した銃弾を回避した者もいたが、大半は銃撃を自分で食らい重傷を負った。


くっ、どうなってんだ!?


警備員達は自分達に起きた状況に理解が追い付かなかった。


亜人はなにもなかったかのように目の前の警備員達に向かって相変わらず歩いてきていた。


亜人の背後から気配を悟られずに警備員が手斧を亜人に向かって勢いよく振りかざした。


手斧が亜人の頭に当たる瞬間、手斧ごとその警備員は凄まじい勢いで天井に吹き飛び、天井にめり込みながら絶命した。


その様子を見ていた警備員達は先ほどの銃弾をはじき返しこと、直接の接触攻撃が効かなく、下手をすると自分に被害が出、手出しが出来ないと判断し、逃げていった。


警備員が逃げていったあと、その亜人は先ほどの銃撃で重症を負い、その場に残された警備員達の前に歩いて行った。

もう処置をしても助からないであろう、うずくまった警備員の前に膝を曲げて屈み、亜人は手を当てる。警備員は触れた瞬間こと切れていった。


その場の全ての警備員の命を奪った後、次に人間の居そうな場所に向けてゆっくりと歩いて行った。


「全てなくなればいいのに・・・」


―――記録から後に、全ての命を拒絶するこの亜人は《シェリダー》と命名された。


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