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黄昏にて  作者: にわせたか
第1章 再出発の町
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44 問われる歴史(6)


亜人―――マーフォークと島の人々が接触してから、外界に出ることがなかった彼らは益々島の外への興味は無関心から恐怖へと変わっていった。


 研究者もこの存在を人間ではあるが、その特異な形質をもつことから改めて「亜人」と分類付けた。

 また、人間とは異なる特徴を、大昔にフラクタル博士によって研究がなされた想いの力(メタ・プラズマ)によるものと断定された。

 しかし、外界の情報が皆無な為、どのようなことが起きてこの亜人という存在が生まれたのかは定かではなかった。


 これまで、島の外は汚染が広がり、そんな所から自分達を害する存在など来るはずもないと島の人間達は考えていた。

それまで外に向けての警備等全くされていなかった。

しかし、一度の接触であったが、マーフォークとは話が通じず、被害者も出た為、再び彼らが来た時を踏まえ、警備が取られるようになった。


それからというもの、稀にこういった亜人、そして同じく今まで確認されていた動物が想いの力(メタ・プラズマ)によって変化したと思われる《幻獣》が島に漂着することがあり、それは島に住む人々にとって災害ともいえるものであった。

亜人、幻獣、どちらとも島の人々に敵意をむき出しにして襲い掛かっていった。

追い払う、といった生易しい方法ではこの生物達には無意味であった。島に来るものは容赦なく殺すしかなかった。

 島の人々にとって唯一幸いだったことは来襲してきた亜人、幻獣がなんとか自分達で対処できるくらいの強さだったことであった。―――この時までは……


 ◇ ◇ ◇


 時が数百年経ち、西暦で言う9900年頃。


 僅か3体の亜人、幻獣によってこの人類最後の居住地である《サーキュロン》は崩壊した。


 ―――その日の海は大荒れであった。


 元々、この島周辺は海流の流れが激しく、荒れやすい海ではあった。それに加え、天候も荒れ模様であった。漁にも出れず、こんな日に外に出ているのは警備の者くらいであった。


 激しく波が打ち寄せる中、視界が悪い外海を見ていた一人の警備員が水平線上ににょろにょろと動く触手状の影を見た。それは水平線上から荒れた空の雲まで達しているようだった。そして周りをよく見ると、……それは複数見えた。


 水平線上で目視できるくらい太く、長いものはこの警備員が生きていた中で予想もつかなかった。

 やがて、それらは段々とこの島へと向かって行き、やがてその影が海の中へと沈み、見えなくなっていった。


 警備員は周りの者と自分の見たことについて話していたが、気のせいだろうと笑いながら流された。


 数刻が過ぎ、警備員もこの雨風にうんざりしていた。

 そして、こんな雨風が降りしきる中、誰も来るわけがないだろうということで警備隊は雨を凌げる建物の中へ入ろうとした時、海面から出てきた巨大な触手が1人の胴体に巻き付き宙にさらわれた。


なんだ!? と警備隊は全員がその様子に慌てていると、すぐさま他の複数の触手が海面から出てきて、警備員の大半が餌食となった。


触手に掴まれた者はそのまま海の中に引きずり込まれたり、触手の圧力で潰されていった。

 荒れ狂う天気の中であったが、気が緩んでいた警備隊のそれまでの気楽な雰囲気から一変し、そこは阿鼻叫喚の地獄と化していた。


 そして、海面から触手の主と呼べる生物の頭から首が姿を現した。

 

 頭部はトカゲとも、蛇とも、魚とも、伝説の存在である竜とも呼べるような三角形状をしており、そのまま図太く長い首が海面まで続いていた。


 大きな口を開け、鋭い眼光で回りを見渡し、次々と人間をその海から出る触手で捕まえていく。もはや何十本あるのか分からないくらいの数だ。


この《サーキュロン》は人工島であり、島の外周りの水深はかなりの深さであった。その為、この規格外に大きい生物であっても、島に近寄ることが可能であった。


 瞬く間に、警備員を含め、ただ事ではない騒ぎを聞き、建物の外に出た住民はその触腕の犠牲となった。


 ―――記録から後、この未曾有の災厄である幻獣を《リヴァイアサン》と命名され、島中に緊急事態の放送が流されるのであった。


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