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黄昏にて  作者: にわせたか
第1章 再出発の町
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40 問われる歴史(2)


人類の進化


 有史以降、人類は自己をその恵まれた知性と飽くなき欲求により繁栄に導き続けていた。

文明は発展を続けて、それに伴い人類は爆発的に増加していった。


人々は生活をより便利に、快適に、彩りを加えたい為、科学技術を進歩させていった。どんどん地球の資源は吸い上げられていった。環境を顧みない搾取に一部の声が高まっていたが、それが決定的に何かを変えることには繋がらなかった。ゆっくりと、しかし確実に世界の環境は元には戻らない傷が増えていった。

昔と比べ、急激に生活は便利になっていった。便利にはなったが、築かれていったインフラを維持する多大な労力を要するようになった。どこまでいっても人が労働を必要としなくなるようなテクノロジーの特異点を超えることはできなかった。寧ろ、人の生活はせわしなく、いつも何かに追われる日常になった。


人々は幸福を感じることが少なくなっていった。それを更なる生活の便利さに求めていったが、無駄であった。次第にどうすればそれを得られるのかも分からなくなっていった。

 人々の間でのコミュニケーションは減っていった。相対する会話はもっぱらなにか(ツール)を通してだった。人と人との繋がりはうすっぺらく希薄なものとなり、少しの起伏で擦り切れるものになった。


人間は都度、進化した。その時代に合わせた、自分達が作り出したテクノロジーを自己の身体・精神として。文明として確立していったテクノロジーはもはや、自分の体の一部となった。


やがて人は少しでもインフラに不具合が発生すると生活ができなくなっていた。地球の環境はますます悪くなり、問題が起こると、それを克服するかのように必死になり技術進歩を推し進めた。もはや何を代償に、犠牲にしても何も感じることはなくなっていた。



 人類の西暦最盛期の出来事


 人類の英知はやがて月へと進出していった。誰かが夢見たものが人類の総意となり、月の南極方面には広大な生活環境が構築されていった。目的は色々だったが、繁栄した人類が夢見た道楽の極致が月での生活であった。


 コストを度外視した地球からの資源の流出は更なる地球環境へ影響があったがお構いなしの計画であった。

 月で永住する人も増え、世代交代が進んでいった。そこで住む者は月人と呼ばれるようになり、地球のことを意識しない月人も増えていった。

 地球、月と人類は科学の進歩と共に爆発的に増えていった。人類は住む場所を求め、次に人類は更なる宇宙進出を果たした。

地球と月の間の重力が釣り合うポイントに巨大なコロニーを作り出した。最初は小さなものだったが、月から建設資材が運ばれ、最終的に円筒形の直径50km長さは300kmの巨大な居住区として完成された。


 コロニーの名前は「クライオスフィア」と命名された。


「クライオスフィア」の内部は地球と同じような環境を目指した設備になっており、概ね自己循環ができる環境が構築された。第二の地球ができたと人類は歓喜に震えた。人類にはできないことはない、正に人類史の文明発展の絶頂期であった。西暦換算で西暦5000年の頃である。


 しかし、ここから、人類の衰退は始まっていった。文明発展の影にひっそりと隠していた、人類が視線を逸らしていた問題が徐々に表面に出ていった。

 



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